昨年秋はG1を3歳馬が勝ちまくったことから、3歳世代は強いという評価がされました。しかし実は毎年この時期に、3歳世代は強いということが言われているような気もします。つまり秋は斤量差(3歳馬が斤量が軽い)があるにもかかわらず、力の差はそこまでないため、3歳に有利に働いているのではとも思われるのです。
それでは年が変わって、明け4歳馬が本当に強いのか、3か月の競馬が終わって、そろそろ評価ができるのではないでしょうか。
今日の大阪杯は、ドバイと重なったために5歳有力馬のレイデオロ、スワーヴリチャード、ディアドラの出走はなかったものの、クラシックを勝ったアルアイン、キセキや力量上位のサングレーザー、ペルシアンナイトが参戦。4歳世代のクラシック馬エポカドーロ、ワグネリアンや、昨秋G1を勝ったステルヴィオ、ブラストワンピースと芝2000mという根幹距離で戦うことで、世代間の評価を決める戦いとも言えたと思います。
まず昨年秋(10~12月)の世代別の古馬平地重賞勝ち数を見てみましょう。
3歳:7勝 4歳:8勝 5歳:5勝 6歳:1勝
イメージほど3歳馬の勝ち数が多くない気もしますが、実は11月中旬までは3歳馬の古馬重賞への参戦が少なかったのです。
そしてG1においては、 マイルCSをステルヴィオが勝ち、3歳馬として古馬G1を初制覇。この後JC、チャンピオンズC、有馬記念と古馬G1はすべて3歳馬が勝ちます。これが3歳馬が強いというイメージを形成する大きな要因になったともいえるでしょう。 実際、マイルCS以降の古馬平地重賞勝ち数は以下のようになります。
3歳:7勝 4歳:2勝 5歳:2勝 6歳:0勝
では今年の1~3月の古馬平地重賞の世代別勝ち数はどうでしょうか。
4歳:10勝 5歳:9勝 6歳:6勝
明け4歳世代の勝ち数が一番多いものの、5歳世代とほとんど差はなく、実は強い4歳とは必ずしも言えないのです。
そして大阪杯ですが、3.2倍の1番人気に支持されたのは、昨年の有馬記念でレイデオロ以下を下して優勝した4歳馬ブラストワンピース。以下4歳馬はダービー馬ワグネリアンが4番人気(8.2倍)、マイルCSを勝ったステルヴィオが6番人気(12.2倍)となりました。
対する5歳世代は、昨年JCで逃げてレコードタイムに貢献したキセキが2番人気(4.1倍)、昨年2着のペルシアンナイトが3番人気(7.3倍)、金鯱賞で好走したエアウィンザーが5番人気(9.3倍)と両世代互角の様相となります。
混戦を制して勝ったのは、好位から内を抜けてきた9番人気の5歳馬アルアイン。皐月賞以来の勝ち星となり、うれしいG1 2勝目をあげました。2着は2番手から脚を伸ばした2番人気のキセキ。5歳馬のワンツーとなり、4歳勢はワグネリアンの3着が最高で、ブラストワンピースは後方から脚を伸ばしたものの6着に終わりました。
残念ながら、強い4歳世代という表現は影を潜めつつあるように思います。しかし今日の未明にドバイターフを勝ったアーモンドアイのパフォーマンスは素晴らしく、世代評価に関係なく強い馬は強いということを、あらためて感じさせられました。
アーモンドアイは秋には凱旋門賞を目指すとか。スピードに勝るアーモンドアイが、はたしてロンシャンの重めの馬場を克服できるのか。いろいろ心配事はありますが、初の快挙に向けて期待を込めて楽しみに待ちたいと思います。