トライアルの評価 ~秋華賞

今年の秋華賞の予想で、人気を見て一番違和感を覚えたのが、紫苑S組が上位に支持されていることでした。上位では、1番人気ビッシュ、3番人気ヴィブロス、4番人気パールコードが紫苑S組。対するローズS組は2番人気ジュエラー、5番人気レッドアヴァンセと、明らかに紫苑S組の方が人気があったのです。

その紫苑Sは、秋華賞の関東におけるトライアルのオープン特別として2000年に創設。当初は中山芝1800m(2002年は新潟芝1800m)で行われていましたが、2007年から中山芝2000m(2014年は新潟芝2000m)となり、今年からG3に格付けされ、同時にそれまで2着までだった秋華賞への優先出走権が、3着までに拡大されました。

しかしトライアルとはいっても、紫苑Sで優先出走権を得た馬たちの秋華賞での成績は、まさに惨憺たるものでした。2015年までの紫苑S1,2着馬の秋華賞での成績は下記のとおり。
1着馬:0・0・1・12
2着馬:1・0・1・13
1着馬は特にひどく、最高は2001年のオークス馬レディパステルの3着で、それ以外は5着以内もなし。2着馬は2014年のショウナンパンドラが優勝して、初めてにして唯一紫苑Sから連対。あとは2002年のシアリアスバイオが3着に入っただけでした。

その理由として考えられるのが、以下の2点でしょう。
1.西高東低の中、力の劣る関東馬中心のトライアルである
2.力の劣る関西馬は、実力馬の集まるローズSを避けて可能性が上がる紫苑Sを選択
つまり同じトライアルとはいえ、ローズSより出走馬のレベルがどうしても下がるのです。

今年から紫苑SはG3となったものの、桜花賞馬ジュエラー、オークス馬シンハライトはいずれもトライアルとしてローズSを選択。もちろん力のある関西馬にとって、本番も関西で行われる秋華賞のトライアルに、わざわざ輸送が必要な紫苑Sを選択するメリットはなく、今年も傾向は変わらないのではと思えたのです。

ところがローズSを快勝し、本番でも1番人気確実だったシンハライトは故障で秋華賞を回避。代わって紫苑Sを力強く差し切って勝ったビッシュが、オークス3着の実績もあり1番人気に支持されました。
しかし個人的には関東でしか強いパフォーマンスを見せておらず、関西への輸送が初めてというところに不安を感じたのです。しかも春は410kgを切る軽量で、紫苑Sでも420kgしかなく、そのためか軽い追切りで馬体維持を優先しているように見え、不安は増しました。
そしてその不安は的中。ビッシュは見せ場もなく10着に終わりました。

しかし秋華賞のゴール前、先頭で粘るパールコード(前走紫苑S5着)を鋭い末脚で差し切ったのは、紫苑S2着から臨んだヴィブロスでした。なんと紫苑S組の1,2着となったのです。
いきなり紫苑S組が爆発した原因は、重賞昇格によるレベルアップなのか、今のところ原因はよくわかりませんが、もしかして大きく傾向が変わったのかもしれません。しかし紫苑S組は1着馬より2着馬という傾向が変わっていないのは、興味深いところです。

これで来年からは紫苑S組だからと色眼鏡で見ることなく、公平に判断する必要がありますね。

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