メジャーエンブレムはテスコガビーにはなれなかった ~桜花賞

今年の桜花賞の個人的な関心は、「メジャーエンブレムはテスコガビーになれるか?」でした。

テスコガビーとは今や半ば伝説と化している、1975年の牝馬2冠を制した馬。6戦5勝2着1回という成績で桜花賞に臨んだテスコガビーは、前哨戦の阪神4歳牝馬特別(現フィリーズレビュー)をレコードタイムで逃げ切って優勝したこともあり、1.1倍の圧倒的な人気に支持されました。
レースは好スタートから逃げ、4コーナーを回って直線に入ると、後続をどんどん引き離します。そこで中継していた杉本アナの発した「先頭はテスコガビー。後ろからはなんにも来ない。」という言葉が名言として残るほど、どんどんと後続を引き離し、2着とは1.7秒差の大差での圧勝。その時の桜花賞レコード1分34秒9は、13年間破られませんでした
41年前のレースなので、さすがに実際に見てはいないのですが、YouTubeで見ると、その強さに圧倒されます。

そのテスコガビーを引き合いに出すほどの衝撃を与えたのが、今年のクイーンCでのメジャーエンブレムのパフォーマンスでした。さすがに1.7秒もの差はつかなかったものの、3ハロン34.4で逃げての0.8秒(5馬身)差の圧勝は、かなり印象的でした(勝ちタイム:1分32秒5)。
また他馬とのスピードの違いで先頭を走っているだけで、決して逃げようと意図しているわけではないことや、牡馬と見まがうばかりの迫力ある大きな馬体など、伝説的に語られるテスコガビーの特徴と、かなり共通点があることも、より期待を抱かせる要因となりました。

トライアルのチューリップ賞でシンハライトとジュエラーが叩き合い、1分32秒8の好タイムでハナ差の好勝負を演じても、メジャーエンブレムへの高い評価は変わらず、最終的に1.5倍の圧倒的な1番人気に支持されたのです。

レースは、メジャーエンブレムがスタート今一つということもあり控えたため、3ハロンが34.8と平均ペースで流れます。メジャーエンブレムはデビュー以来初めて中団でレースを進め、徐々に進出して直線ではいったん先頭に立つものの、後方から鋭く追い込んできたシンハライト、アットザシーサイド、ジュエラーに抵抗する間もなく交わされると4着に破れました。
最後はチューリップ賞同様にシンハライトとジュエラーのクビの上げ下げになり、今回は後方から1番の上り33.0で追い込んだジュエラーに軍配が上がりました。

パドックで見たメジャーエンブレムは見事な馬体で落ち着いてゆったりと歩いており、トモも力強くて踏み込みも深く、ひいき目に見てもほかの馬とは大人と子供ほどの違いを感じました。これはもしかして、本当にテスコガビー並みのパフォーマンスが見られるかと期待もしたのですが・・・。

敗因はいろいろあるのでしょうが、個人的には逃げなかったことに疑問を感じました。スタートが今一つで他の馬が押していたので、無理にいかない方がいいという判断をルメール騎手がしたのかもしれません。しかしためて切れるタイプではなく、また初めて馬群の中でレースをすることで馬にとまどいが生まれる危険もあります。加えてスタミナに不安があるわけでもないので、結果論ではありますが思い切って行った方がよかったのではないかと思うのです。その方が、同じ負けでも納得できたでしょう。
もちろん勝ったジュエラーもハナ差2着のシンハライトも、力を出し切った素晴らしいパフォーマンスで、レースの結果自体は納得のいくものでした。

さて今日の結果を受けてのオークスですが、おそらく父ダイワメジャーのイメージもありメジャーエンブレムの人気はかなり落ちるでしょう。逆に上位のジュエラー、シンハライト、アットザシーサイドは血統的に距離にはあまり不安がなく、この3頭が人気の中心になると思います。

テスコガビーはオークストライアルで負けたこともあり、オークスはやや人気を下げて2.3倍の1番人気でしたが、うまくスローに落として逃げて8馬身差で2冠を達成しました。
はたしてメジャーエンブレムの巻き返しはあるのか。クイーンCと同じ東京での強いパフォーマンスを、個人的には期待したいと思います。

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