荒れるG1の今年の荒れ方 ~安田記念

安田記念といえばもっとも荒れるG1というイメージですが、今年は1番人気のモーリスがこの10年来たことがない前走G3勝ちで、2番人気のフィエロはやはり連対例のない重賞未勝利。3番人気のヴァンセンヌは東京新聞杯勝ちで京王杯SC2着とそこそこですが強調材料に欠ける面もあります。
ということで、人気馬が皆飛ぶパターンを想定人も多かったのではないでしょうか。

そもそもモーリスのダービー卿CTの3 1/2差の勝ちは鮮やかだったものの、3連勝はすべて中山で東京実績はなく、またダービー卿CT組は毎年安田記念では苦戦していることからみて、同じパフォーマンスは難しいのではないかとも考えられたのです。またあの中山で上り33.0というのも、ちょっと速すぎる感じです。

しかしそんな懸念も吹き飛ばすようなすばらしいパフォーマンスで、モーリスは見事に安田記念を制しました。最後はヴァンセンヌにクビ差まで迫られましたが、抜かせなかった勝負根性もすごいと思います。
ということで終わってみれば1番人気、3番人気の組み合わせで、意外と固い決着となりました。ところがさすが安田記念で、3着は12番人気のクラレント。この馬は驚異的な左回り巧者で、右回りを走ったここ4戦は2桁着順3回を含むすべて着外だったのですが、その前の2戦は左回りの新潟で重賞を連勝しており、久しぶりの左回りで激走して穴をあけました。
この1番人気-3番人気-12番人気の組み合わせは、くしくも2年前とまったく同じ人気順の決着。さすが荒れる安田記念の面目躍如という感じです。

これでモーリスは堀厩舎に転厩してから無敗の4連勝でG1ホースになるという、まさにシンデレラストーリーを演じました。スクリーンヒーロー×カーネギーという一見地味な血統ではありますが、その母系はメジロモントレーからメジロボサツにさかのぼる由緒正しいメジロ牧場の血を受け継いでおり、オールドファンにはうれしい勝利だったのではないでしょうか。
そして堀厩舎は先週のダービーに続いての2週連続のG1制覇で、安田記念はリアルインパクト、スクリーンヒーローに続く3勝目。この春のG1も皐月賞、ダービーに続く3勝目と、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いです。連対率も先週時点で驚異の3割超えで、これは東西の全厩舎を通して唯一の数字です。

これで春のG1は宝塚記念を残してひと段落ですが、これからのモーリスやドゥラメンテをはじめとする堀厩舎の活躍からは、しばらく目が離せそうにありません。

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