やはり強い馬が勝った? ~菊花賞

今年の菊花賞は、単勝1.6倍と圧倒的な1番人気に支持されたエピファネイアが、その期待にそぐわぬ力を見せて圧勝しました。
エピファネイアは春の2冠はロゴタイプ、キズナのそれぞれ2着でしたが、今回その負けた2頭も、弥生賞で破れた上位3頭も出走せず、かつ2冠レースで上位に入った馬さえいない。また神戸新聞杯も圧勝と、力的には負けるはずがない状況だったといえるでしょう。
その数少ない不安要素は、春に見せた折り合いを欠くこと。特に3000mの長丁場では、掛かって体力を消耗することは致命的です。また降り続いた雨により不良にまで悪化した馬場も、未経験という意味では不安要素でした。

スタートして最初に押して飛び出たネコタイショウ、さらにそれを交わしてバンデが先頭に立つのは、大方の想定どおりでした。しかしそれに続く、やや折り合いを欠いたエピファネイアがターフビジョンに映ると、大きなどよめきが起こりました。1週目の3コーナーの坂の下りで、必死に抑える福永騎手の姿を見たとき、エピファネイアの馬券を買っている人は、かなりの不安を抱かされたでしょう。
しかし直線に入るとなんとか落ち着きを取り戻したようで、前の2頭とは少しはなれて、リズミカルな走りでリラックスしているように見えます。それは2週目の坂の下りでも変わらず、よい手ごたえのまま、直線を向きます。

直線に入ると、必死に追う先頭のバンデに馬なりで並びかけ、追い出されると一気に伸びて後続を引き離します。
不良馬場もものともせず、あっというまに差を広げると、2着のサトノノブレスに5馬身差をつける圧勝でゴール。見事に圧倒的な1番人気に応えました。

強い馬が勝つといわれる菊花賞ですが、意外にも過去10年で1番人気で勝ったのはわずかに4頭。しかし、そのうち単勝1倍台で勝った3頭は、その後古馬になってもG1を制しています。
それは2005年のディープインパクト、2011年のオルフェーヴル、2012年のゴールドシップの3頭。いずれもその世代を代表する最強馬と言われ、G1に出れば必ず人気を集めました。

今年のエピファネイアも、ディープインパクトの100円や、オルフェーヴル、ゴールドシップの140円にはおよびませんが、単勝160円とかなりの支持を集めました。ただし、もしキズナが凱旋門賞ではなく菊花賞に出ていたら、あるいはロゴタイプが順調でかつ菊路線を選択していたら、ここまでの支持は集められなかったでしょう。
そういう意味では、今後の活躍はエピファネイアと関係者のがんばりにかかっているともいえます。

春の2冠がいずれも2着で、そのあと菊花賞を制したのは20年ぶりだそうです。20年前の菊花賞馬といえばビワハヤヒデ。個人的には、初めて菊花賞を生で見た、思い出のレースでもあります。
その後のビワハヤヒデは、怪物と言われるほどの活躍を見せました。エピファネイアにもぜひ活躍してもらって、キズナやゴールドシップ、ジェンティルドンナ、そしてオルフェーヴルなどとの手に汗握る対決を見せてもらいたいと思います。

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