オルフェーヴルの折り合いという呪縛に左右されました ~天皇賞(春)

天皇賞(春)は、14番人気のビートブラックが4馬身差で圧勝するという大波乱に終わりました。
ビートブラックは調教の動きが素晴らしく、またパドックでも調子が良さそうで、かなり気にはなったのですが、さすがに近走の成績から、残念ながら手が出ませんでした。

大方の予想通りゴールデンハインドが逃げて、ビートブラックは2番手。オルフェーヴルはそっと出して下げて、馬群の後ろで折り合いに専念させて、後方から2,3番手。2頭が離し気味でも1000mは1分ちょうどと、今の時計の早い京都では決して早いペースではありません。
さらにビートブラックの石橋脩騎手が1000mから出していこうと思ったと言っているように、1コーナー過ぎからどんどん前2頭と後ろの馬群の差が開いていきます。しかし2000mは2.01.9と無理のないペース。3コーナーが近づいても動かないオルフェーヴルに、馬群の中の有力馬も金縛り状態。

さすがに3コーナーでゴールデンハインドは騎手の手が激しく動きますが、菊花賞3着と長距離実績のあるビートブラックは、まだ余裕の手ごたえ。
ようやく3コーナーで各馬が動き、オルフェーヴルも外から進出を開始しますが、4コーナーをまわって直線を向いた時点でも、ビートブラックと3番手以下は7,8馬身差。しかもビートブラックはしっかり伸びて末脚は衰えません。
トーセンジョーダンやジャガーメイル、ウインバリアシオンなどが伸びてくるも、オルフェーヴルは絶望的な位置。結局大きく離したままビートブラックが優勝しました。

オルフェーヴルの池添騎手は、前走の教訓から折り合いに最大限の注意を払い、馬群の後方に入れましたが、逆にそれで動けなくなってしまいました。当然前が離して逃げているのはわかっていたでしょうが、引っかかる危険を考えると追うわけにもいかず、後方でひたすら我慢します。
こうなると他の有力馬もオルフェーヴルを警戒して動くことが出来ず、結果として2頭の大逃げを許すことになりました。
ゴールデンハインド、ビートブラックにしてみれば、人気薄の気楽さもあり、一か八か行き切るしか選択肢がないわけで、後ろは気にせずに自分のペースに徹して逃げます。これが奏功しました。

どの馬も、オルフェーヴルが折り合いに専念せざるを得ないという状況から、それぞれがベストと思える戦いをした結果なわけで、阪神大賞典でのオルフェーヴルの逸走という事態が、今日の結果にいかに大きな影響を与えたかということに、改めて感慨を覚えます。

人気薄の逃げ切りといえば、近いところでは2009年のエリザベス女王杯のクィーンスプマンテ、テイエムプリキュア、古くは1992年の有馬記念のメジロパーマーなどが思い出されます。前者はブエナビスタ、後者はトウカイテイオーという人気馬がいて後続が動けず、人気薄の逃げ馬が逃げ切りました。
それぞれ直線が平坦な京都と、直線が短い中山という馬場特性も味方したといえるかもしれません。

忘れた頃に起こる、G1での人気薄の逃げ切りですが、それを事前に予想するのは至難の業です。またいつか、こういう悔しい思いをして、今日のことを思い出すのでしょう。

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