エイシンフラッシュの勝因、ヴィクトワールピサの敗因 ~日本ダービー

今年のダービーは、単勝7番人気の伏兵扱いだったエイシンフラッシュの優勝となりました。1番人気のヴィクトワールピサは意外に伸びずに3着、2番人気のペルーサは出遅れも響いて6着に敗退しました。
最近10年は、すべて3番人気以内の馬が勝っており、人気薄での勝利となると97年のサニーブライアン(6番人気)以来、7番人気ということではその前年のフサイチコンコルド以来となります。
さらに2着は5番人気のローズキングダムで、3番人気以内の馬が連対しなかったのは、なんと87年(1着メリーナイス:4番人気、2着サニースワロー:22番人気)以来23年ぶりのことになります。

戦前は皐月賞馬ヴィクトワールピサと青葉賞勝ち馬のペルーサが2強状態で、特にNHKマイルC勝ち馬のダノンシャンティが取り消してからは、余計その色が濃くなりました。
たしかにヴィクトワールピサは6戦5勝で皐月賞を含む重賞3連勝中、ペルーサは4戦全勝で青葉賞は2.24.3で2着に4馬身差の圧勝と、文句をつけられない戦績でした。

それに対してエイシンフラッシュは、京成杯はハナ差1着で、皐月賞はヴィクトワールピサと同じ上がりで1 1/2馬身差3着まで。皐月賞が休み明けだったとはいえ、かなり地味な印象でした。
またローズキングダムも朝日杯FSを快勝したものの、3歳になってからは伸び一息で3,4着と連対をはずし、しかも馬体減が止まらず、ダービーでは人気急降下となってしまいました。

それではそれぞれの勝敗を分けたのは、何だったのでしょう。
まずエイシンフラッシュは調教がすばらしかったように、休み明けをたたいて、大幅に体調アップしていたことが大きいと思います。パドックでもぴかぴかの毛づやで悠然と歩いていました。
あとは瞬発力勝負に強かったと言うことなのでしょう。レースの上がりが3ハロン33.4と上がりの勝負になったのですが、それをエイシンフラッシュは32.7と究極の末脚で差しきって勝ちました。
もっともこれまでの最速が34.4だったので、成績からそれを読み取ることはできなかったのですが、休み明けの皐月賞で、ヴィクトワールピサと同じ上がりタイムで3着にきたということは、その可能性を秘めていたということなのでしょう。

これは2着のローズキングダムにも言えると思います。新馬戦では33.9の上がりを発揮して、34.1の上がりのヴィクトワールピサを寄せ付けずに快勝。その後は馬場の悪い中山で結果を残せていなかったのです。また今回、デビュー以来初めて馬体増で出走できたように、ようやく身が入ってきたのかもしれません。

それに対してヴィクトワールピサは、直線入り口ではエイシンフラッシュやローズキングダムと同じような位置にいながら、直線は反応がよくなく、なんとかゲシュタルトとの3着争いを制したという感じでした。
上がりも33.1とエイシンフラッシュより0.4秒も遅く、これでは差しきることは不可能です。
ヴィクトワールピサの不安は、持ちタイムと上がりが平凡なことだったのですが、やはり早い上がりのレースには対応できなかったということなのかもしれません。

ペルーサは出遅れが大きいと思いますが、直線に入って行き脚が鈍ってしまったように見えました。最後は再び差してきているので、やはり強い相手と戦ったキャリアの少なさが出てしまったのではないかと思います。
どうしても青葉賞組は、皐月賞組に比べると厳しい競馬の経験が少ないことが多いので、それが本番に出てしまったのではないでしょうか。

エイシンフラッシュの戴冠は、人気薄ということでフロックではないかという危惧を抱く人もいるでしょう。しかし上がり32.7で差しきる芸当は、フロックではできないと思います。
これからのキャリアの中で、ぜひ世代の横綱としてはずかしくない戦績を残していってくれることを、期待したいと思います。
また負けた馬たちにも、実力を磨いてまたぜひすばらしいレースを見せて欲しいものです。

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