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2013年06月24日

いわゆる”3強”の序列は決まったのか ~宝塚記念

宝塚記念は、天皇賞(春)で圧倒的な1番人気を裏切って5着に破れたゴールドシップが、去年のオルフェーヴル同様に雪辱を果たして、見事に復活の優勝となりました。

そもそも今回の宝塚記念は、昨年G1を3勝して最優秀3歳牡馬となったゴールドシップと、昨年G1を4勝して3歳牝馬として初の年度代表馬に選ばれたジェンティルドンナ、現役最強馬の呼び声高いG1 5勝馬のオルフェーヴル、そして天皇賞(春)でG1初制覇ながらダービーや天皇賞(秋)では惜しい2着に入ったフェノーメノの、4強対決と言われていました。
1週前追い切りでオルフェーヴルが肺出血で出走を回避し、4歳馬3強対決となったものの、勝ち目がないと回避を決めた馬が多かったのか、わずか11頭立てというさみしいメンバーになってしまいました。
しかし逆に3頭のどの馬が勝つのかというのは、かなりの関心を呼んだと思います。

個人的には、時計のかかる馬場ということから、良馬場の切れで勝負するジェンティルドンナよりも、荒れ馬場に強いステイゴールド産駒の、ゴールドシップ、フェノーメノに注目していました。宝塚記念は過去4年でステイゴールド産駒が3勝していることからも、ここでの強みは明らかだと思います。
特に、ゴールドシップは天皇賞(春)で圧倒的な1番人気を裏切って5着に破れたこともあり、内田騎手が馬の気持ちを盛り上げるためにも、栗東に2週間も滞在して調教をつけていました。もちろんその効果は未知数ですが、最終追い切りでは、いつになくまじめに坂路を上がってきており、これなら力を出せるのではないかと思ったのです。

レースでは、好スタートを切って難なく3番手につけたジェンティルドンナに対して、いつものようにスタートから追いっぱなしのゴールドシップでしたが、今回は内田騎手もあきらめずに追って、ジェンティルドンナのすぐ外の4番手まで進出します。それを見た観衆からは、いつもの最後方とは違う位置のゴールドシップに、思わず驚きの声が上がりました。その直後につけたフェノーメノとともに、3強は好位でレースを進めます。

予想通り大逃げをうったシルポートには惑わされないものの、向こう正面ではやや力んで走るジェンティルドンナは岩田騎手の手綱が動かず、対するゴールドシップの内田騎手は追いっぱなしと対照的な姿。そして3頭は4コーナー手前から追い出されると、3番手で並んで直線へ。

しかし直線に入ると、フェノーメノがやや置かれる形になり、ジェンティルドンナもいつもの伸びが見られないなか、ゴールドシップが徐々に伸びて前のダノンバラードをかわし、坂上からはいつものように一気に後ろを突き放して、ふたたび強い勝ち方で復活のゴールとなりました。

では、これで3強対決に決着がついたと言えるのでしょうか。
残念ながら、それは言えないと思います。まず今回の舞台である6月の阪神芝2200mは、開催終わりで雨もあってかなり荒れており、上がりは34秒台がせいぜいと時計の掛かる馬場。これは雨の皐月賞を内をついて勝ったゴールドシップに、もっともあっている馬場といえます。
逆にJCで上がり32.8でオルフェーヴルに競り勝ったジェンティルドンナにとっては、高速馬場があっているのでしょう。また、強い勝ち方をしたオークスもJCも東京芝2400mであり、阪神はチューリップ賞4着、桜花賞1/2馬身差1着など、東京ほどの強さは見せていない感じです。
それは、高速馬場だったダービー、天皇賞(春)でいずれもゴールドシップに先着しているフェノーメノにも、言えることだと思います。

この3頭にオルフェーヴルを加えた4頭は、順調ならまた秋に対戦する機会もあるでしょう。それが天皇賞(秋)やJCであれば、重にならない限りジェンティルドンナやフェノーメノ有利だと思いますし、有馬記念であればゴールドシップやオルフェーヴルが有利のような気がします。

いずれにしても、馬場や距離、ローテーションで簡単に着順が変わってしまうぐらい、力は接近しているのではないかと感じました。
今回負けてしまった馬たちも、夏の間に英気を養って、また元気にターフに戻ってきて、今回のような好勝負を見せてもらいたいと思います。

2013年06月05日

あれから18年・・・・

昨日6/4は、ライスシャワーの18回目の命日でした。
実はFacebookのJRAの記事で思い出したのですが、未だに多くの方の心に残っているようで、たくさんのコメントが寄せられていて、改めて印象深い馬だったんだなと思います。

とはいえ、3歳(当時は4歳)春までは地味な存在だったのですが、距離延長が幸いして、日本ダービーでいきなりミホノブルボンの2着に劇走し、一躍注目を浴びます。さらに秋は菊花賞まで勝って、ミホノブルボンの無敗の3冠という夢をつぶす、ヒールの役割となってしまいます。

そんなライスシャワーがもっとも輝いたのは、93年の天皇賞(春)でしょう。
前年まで2連覇していた、長距離の絶対王者メジロマックイーンを相手に、ただでさえ小柄な馬が-12kgの420kgと究極の仕上げで臨んできたのです。
最終追い切りでは、ゴールを過ぎてもムチを入れ続ける的場騎手の姿に驚いたのを覚えています。
レースでは、3コーナーすぎから動いたメジロマックイーンの白い馬体を、まるで獲物を狙うハンターのように追って上がってくる黒い馬体は、今でも強く印象に残っています。
そして直線では、そのメジロマックイーンを突き放して、2 1/2馬身差の快勝。思えば、あれがライスシャワーの絶頂でした。

その後、秋に復帰するも、天皇賞(春)の究極の仕上げの反動か、見る影もないような惨敗を繰り返し、翌94年の日経賞で2着とようやく復活の目処がたち、天皇賞(春)連覇かと思いきや骨折が判明。休養に入ります。
この94年はナリタブライアンが3冠馬となり、有馬記念でも女傑ヒシアマゾンを抑えて圧勝したのですが、離れた3着争いを制したのは、久々の出走となったライスシャワーでした。このとき、来年はライスシャワー復活があるかなと、なんとなく思ったのを覚えています。

しかしそのことを思い出したのは、95年の天皇賞(春)の3コーナー手前で、ライスシャワーがセオリーを無視した早仕掛けで、ぐんぐんと馬群を引き離した時でした。有馬記念のあとも、人気で惨敗を繰り返し、すっかり忘れていたのです。
しかしその最後の直線は、2年前に颯爽とメジロマックイーンを下した姿とは程遠く、脚があがって息も絶え絶えという感じで、懸命にゴールを目指して走っていました。そして最後は、大外を追い込んできたステージチャンプと離れてほぼ同時にゴール。ステージチャンプの蛯名正騎手が思わずガッツポーズをするほど、ゴール前の脚色は違っていました。
そして写真判定の結果、ハナ差でライスシャワーが残っていたのです。

95年は、1月に阪神淡路大震災があり、阪神競馬場も大きな被害を受けて競馬開催ができない状況でした。そのため宝塚記念は場所を京都競馬場に移し、日程も1週繰り上げて6/4に行われました。
ファン投票の1位は、2年ぶりに天皇賞(春)を制したライスシャワーが選ばれました。しかし93年は宝塚記念を回避していたので、個人的には出ないのではないかと思っていたのですが、陣営は出走を決断します。その理由は、ファンに1位に選んでもらったということのほかに、たぶん得意の京都で行われるということもあったと思います。

あとから考えると、あの天皇賞(春)でハナ差で負けていたら・・・・、あるいは地震がなくて宝塚記念が予定通り阪神競馬場で行われていたら・・・・、あの悲劇はなかったのではとも思うのですが。

京都競馬場のライスシャワーの碑は、私も行った時には必ず訪れます。何年たっても、ちゃんと花が供えてあったりして、忘れられていないんだなと、ちょっとホッとしたりします。これからも、忘れられないように、語り継いでいきたいと思う馬の1頭です。

2013年06月02日

距離適性を越えた2頭の「異能」の戦い ~安田記念

今年の安田記念は、例年以上にさまざまな路線から有力馬が参戦したイメージがあり、かなりの混戦模様になりました。特に高松宮記念を圧勝したロードカナロアの取捨は、迷った人も多かったのではないでしょうか。

実際に高松宮記念が芝1200mのG1に昇格(当初は高松宮杯)してから、その勝ち馬が安田記念を制したことはありません。この10年を見ても、5頭が高松宮記念を勝って参戦し、そのうち2頭は1番人気に支持されたものの、最高着順は2007年スズカフェニックスの7着と、すべて着外に沈んでいます。
しかもロードカナロアは、1600mへの出走は3歳1月の1戦のみで、その後はほとんど1200m戦を使われています。
東京のマイルは1800m以上に実績がある馬が有利といわれるように、中距離戦でも戦えるスタミナが必要とされており、スプリンターにはつらい舞台と言えるのです。

しかし、ロードカナロアは追い切り後の岩田騎手の強気の発言や、2走前に1400mの阪急杯を58kgで圧勝した実績などから、単勝4.0倍という微妙な評価ながら、1番人気に支持されました。
レースはシルポートが早めのペースで逃げ、ヴィルシーナやカレンブラックヒルというG1馬が先行する厳しい流れを、ロードカナロアは中団外で追走。直線は外に出すと、じりじりと伸びて、残り100mで先頭に立つと、追い込んできたショウナンマイティをクビ差抑えて、4つ目でかつ初のマイルでのG1勝利をつかみました。

勝因はいろいろあげられるとは思いますが、高松宮記念の時にも書いたようにロードカナロアは世界トップクラスのスプリンターであるということが、やはり一番大きいのではないでしょうか。
日本馬が一度も勝ったことがない香港スプリントを2 1/2馬身という決定的な着差で制し、さらに58kgで帰国初戦の阪急杯を勝つと、高松宮記念もコースレコードで圧勝。過去のスプリントG1の覇者たちとは、ちょっとレベルが違う実力の持ち主だといえます。
それが2ハロン(400m)の距離延長を、難なくこなせた要因ではないでしょうか。

そして異なる路線といえば、2着のショウナンマイティも2000m前後を主戦場として戦ってきた馬で、こちらは2ハロンの距離短縮がどうかというのがテーマでした。
しかも追い込み脚質ということで、前半はスピードについていけず、最後は脚を余すのではないかという不安があったと思います。

しかし個人的には、実はあまり心配していませんでした。それは、ショウナンマイティの栗東坂路における調教時計を見たからです。1週前に一杯に追って出したのが、4ハロン50.0。最終追いきりも51.8という優秀なものでした。
中長距離に出走する馬は、G1を勝つ馬でも栗東坂路では53~54秒台が一般的です。それに対してスプリントG1に出走する馬は、速いと50秒を切ってくる馬もいます。
それを考えると、ショウナンマイティのスピードは十分にマイル戦に対応できるものだと思われたのです。

レースではショウナンマイティは出遅れ気味に出ると後方を追走。直線は外に出されると究極の上がり32.8で追い込んできて、あわや差しきるかというクビ差2着に入りました。
産経大阪杯でオルフェーヴルの1/2差まで追い込んだ脚も見事でしたが、それ以上のすばらしい追い込みをマイル戦で見せた、その柔軟性には、やはり驚かされました。

こうして本職のマイラーを抑えて、2頭の異能によるワンツーとなったわけですが、実はこれこそマイル戦の醍醐味といえるのかもしれません。短距離馬も中距離馬も参戦できるという意味では、出走馬のバリエーションが豊富になるわけで、予想は大変ですが、その分楽しみでもあります。
今後も、こんなおもしろさを味わわせてくれるような、高いレベルのマイル戦を期待したいものです。