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2012年04月29日

オルフェーヴルの折り合いという呪縛に左右されました ~天皇賞(春)

天皇賞(春)は、14番人気のビートブラックが4馬身差で圧勝するという大波乱に終わりました。
ビートブラックは調教の動きが素晴らしく、またパドックでも調子が良さそうで、かなり気にはなったのですが、さすがに近走の成績から、残念ながら手が出ませんでした。

大方の予想通りゴールデンハインドが逃げて、ビートブラックは2番手。オルフェーヴルはそっと出して下げて、馬群の後ろで折り合いに専念させて、後方から2,3番手。2頭が離し気味でも1000mは1分ちょうどと、今の時計の早い京都では決して早いペースではありません。
さらにビートブラックの石橋脩騎手が1000mから出していこうと思ったと言っているように、1コーナー過ぎからどんどん前2頭と後ろの馬群の差が開いていきます。しかし2000mは2.01.9と無理のないペース。3コーナーが近づいても動かないオルフェーヴルに、馬群の中の有力馬も金縛り状態。

さすがに3コーナーでゴールデンハインドは騎手の手が激しく動きますが、菊花賞3着と長距離実績のあるビートブラックは、まだ余裕の手ごたえ。
ようやく3コーナーで各馬が動き、オルフェーヴルも外から進出を開始しますが、4コーナーをまわって直線を向いた時点でも、ビートブラックと3番手以下は7,8馬身差。しかもビートブラックはしっかり伸びて末脚は衰えません。
トーセンジョーダンやジャガーメイル、ウインバリアシオンなどが伸びてくるも、オルフェーヴルは絶望的な位置。結局大きく離したままビートブラックが優勝しました。

オルフェーヴルの池添騎手は、前走の教訓から折り合いに最大限の注意を払い、馬群の後方に入れましたが、逆にそれで動けなくなってしまいました。当然前が離して逃げているのはわかっていたでしょうが、引っかかる危険を考えると追うわけにもいかず、後方でひたすら我慢します。
こうなると他の有力馬もオルフェーヴルを警戒して動くことが出来ず、結果として2頭の大逃げを許すことになりました。
ゴールデンハインド、ビートブラックにしてみれば、人気薄の気楽さもあり、一か八か行き切るしか選択肢がないわけで、後ろは気にせずに自分のペースに徹して逃げます。これが奏功しました。

どの馬も、オルフェーヴルが折り合いに専念せざるを得ないという状況から、それぞれがベストと思える戦いをした結果なわけで、阪神大賞典でのオルフェーヴルの逸走という事態が、今日の結果にいかに大きな影響を与えたかということに、改めて感慨を覚えます。

人気薄の逃げ切りといえば、近いところでは2009年のエリザベス女王杯のクィーンスプマンテ、テイエムプリキュア、古くは1992年の有馬記念のメジロパーマーなどが思い出されます。前者はブエナビスタ、後者はトウカイテイオーという人気馬がいて後続が動けず、人気薄の逃げ馬が逃げ切りました。
それぞれ直線が平坦な京都と、直線が短い中山という馬場特性も味方したといえるかもしれません。

忘れた頃に起こる、G1での人気薄の逃げ切りですが、それを事前に予想するのは至難の業です。またいつか、こういう悔しい思いをして、今日のことを思い出すのでしょう。

2012年04月15日

一か八かの判断が勝負を分けました ~皐月賞

ゴールドシップの強さは、共同通信杯でディープブリランテを並ぶ間もなく差しきったのを生で見た時に、よくわかっていました。しかし、それ以来の休み明け(過去10年で来たことがない)や、東京でこその差し脚などから、やはりダービー狙いかなと思ったのと、どうも調教もパドックの様子も、今ひとつピリっとした感じがなかったので、少し狙いを下げてしまいました。

レースはメイショウカドマツとゼロスの激しいハナ争いから、やや重にも関わらず1000mが59.1と、早めの流れ。しかも毎週末のように雨に見舞われたこともあり馬場が悪く、ほとんどの馬が内をあけて走るので、実際よりも長い距離を走ることになります。
そして4コーナー。先行馬が内をあけてコーナーを回るので、後方の馬はさらに外に行くしかありません。人気のグランデッツァ、ワールドエースは後ろから2,3番手を追走していたので、かなり外に振られることになりました。
しかし最後方を追走していたゴールドシップの内田騎手は、ここで思い切って内を突きます。

ゴールドシップは過去5戦で重や不良の経験はなく、わずかにやや重の札幌2歳Sで2着があるだけ。しかし同じ血統(ステイゴールド×メジロマックイーン)のオルフェーヴルは不良のダービーを圧勝したように、重の鬼でもあります。
やや重発表とはいえ、馬場は荒れており、かなり時計がかかる状態であるのはまちがいなかったでしょう。しかし内田騎手は、そんな馬場でも自信を持っていたようです。

そして直線に向いた時には、前には2,3頭しかいません。他の馬たちは、外に振られて懸命に立て直そうとしていますが、すでにその時点でかなりの差がついています。
そこからゴールドシップは一気に伸びて先頭に立つと、外から追い込んできたワールドエースを寄せ付けずに2 1/2馬身差の圧勝でした。

結果として1~6番人気(5番人気を除く)の馬が1~5着を占めたわけで、ハイペースになったことで力どおりの決着になったと思いますが、着順は4コーナーでの判断が明暗を分けました。特に2着のワールドエースは、最初のつまずきと4コーナーの選択ミスがなければ、1着もあったでしょう。グランデッツァも、もう少し上位はあったと思います。

ゴールドシップはむしろダービー向きと思っていたので、ワールドエースともども、有力なダービー馬候補となるでしょう。逆に左回りも直線長いコースも未経験のグランデッツァや、距離延長が不安なディープブリランテは、少し心配です。
毎日杯を勝ったヒストリカルや、青葉賞、京都新聞杯から来る馬もいるので、今日の結果をもとに、またあらためてダービーに向けて検討していきたいと思います。

2012年04月08日

明暗を分けた2強 ~桜花賞

桜花賞の事前の感触は、個人的には特に2頭が実績的には抜けていると思えました。それが、デビュー2戦目でG1の阪神JFを鮮やかに差しきって優勝したジョワドヴィーヴルと、牡馬相手のシンザン記念で抜け出して優勝したジェンティルドンナです。

ところがこの2頭が、人気を分け合ったチューリップ賞で3,4着に敗れて、俄然混戦ムードとなります。しかもチューリップ賞で直線一気に2 1/2馬身差で優勝したハナズゴールのレースぶりは、かなりの強さを感じさせるものでした。
しかしハナズゴールは直前の怪我で回避となり、結局2強という形で本番を迎えることになったのです。

レースはアラフネがやや遅めの流れで引っ張り、ジェンティルドンナは中団で、ジョワドヴィーヴルは後方で折り合います。そして直線で、実績馬であるヴィルシーナとアイムユアーズが抜け出すと、そこに猛然と差してきたのがジェンティルドンナ。しかしジョワドヴィーヴルは外に持ち出して追い出しを図るも、伸びは今ひとつ。

坂を上って3頭のたたき合いになり、アイムユアーズがわずかに遅れて、内のヴィルシーナと外のジェンティルドンナの差し比べになるも、最後はジェンティルドンナが力強く抜けて、1冠を奪取しました。
対するジョワドヴィーヴルはジリジリと伸びるものの、阪神JFほどの鋭い差し脚を見せることはなく、0.6秒差の6着に終わりました。ジェンティルドンナがメンバー最速の34.3で上がったのに対して、ジョワドヴィーヴルは34.6。残念ながら、見せ場すら作れませんでした。

ジェンティルドンナはチューリップ賞では2週間前に熱発し、体調が整わない中でも最後にらしさを見せて4着。今回は調教を見ても明らかに体調アップが見込めました。
対するジョワドヴィーヴルは、特に問題なく臨んだチューリップ賞で、1.3倍の圧倒的な支持を裏切る不可解な負けで3着に破れました。今回陣営は上積みはあると言っていたものの、調教はなんとなく物足りなさを感じさせ、またただでさえ体がないのに、馬体重は-4kgの416kgとデビュー以来最低になってしまいました。

牝馬は格より調子と言いますが、今日の結果はやはり調子がものをいったように思えます。
この2頭の次の対決は、順調に行けばオークスとなるでしょう。ジョワドヴィーヴルも力はあるので、当然巻き返しは期待できます。ただ気になるのは、依然としてディープインパクト産駒がG1ではマイルでしか勝ち星を挙げていないことです。2頭を初め、距離が伸びて良さそうなヴィルシーナもディープインパクト産駒です。
この3頭がジンクスを破るのか、それとも左回りでは別馬のイチオクノホシや、安定感が不気味なメイショウスザンナなどが台頭してくるのか、早くも次が楽しみです。