やはりコース実績が大切 ~フェブラリーS

フェブラリーSが行われる東京ダート1600mは、ある意味特殊なコースと言えるでしょう。JRA全10場の中で、ワンターン(コーナーを2回まわる)のダート1600mがとれるのは東京競馬場だけなのです。そもそもダート1600mというコース自体が東京しかなく、他場の場合中距離は1700mあるいは1800mとなりますが、すべてコーナーを4回まわることになります。
それもあってかフェブラリーSでは以前からリピーターが多い印象があり、予想に際してはコース実績を重視するようにしてきました。

それを実感したのは、ゴールドドリームが2017年に勝ったあと、2018年、2019年と連続2着に来たあたりですが、強く認識したのはカフェファラオが2021年、2022年と連覇した時でした。

カフェファラオは2021年にフェブラリーSを1番人気に応えて勝った後、かしわ記念は5着に敗退し、芝の函館記念に出て9着に負けた後、暮れのチャンピオンズCは11着と大敗。この時は有力な1頭と考えていたので、そのふがいない負け方にショックを受け、2022年に連覇を狙ってフェブラリーSに出てきた時は、2番人気にも関わらず軽視してしまいました。
しかしカフェファラオは直線で力強く脚を伸ばすと、2着に2 1/2馬身差という強い勝ち方で快勝したのです。そのレースを見てあらためて、東京ダート1600mはコース実績がある馬を重視する必要があるということを思い知らされたのです。

それ以来、フェブラリーSでは前年の上位馬が出てきた場合、その間の成績にかかわらず買い目にいれるようにはしていたのですが、コスタノヴァにはそれをさらに強調すべき出来事がありました。
それは昨年の同じ東京ダート1600mで行われた武蔵野S。このレースでコスタノヴァは2.8倍の1番人気に支持されますが、スタートでゲートから出ず、3~4馬身出遅れてしまいます。普通だと万事休すですが、外からじわじわと差を詰めてきたコスタノヴァは、勝ったルクソールカフェには3 1/2馬身と大きく離されたものの、2着争いをハナ差で制したのです。
このレースを見て、あらためてコスタノヴァの強さを再認識するとともに、このコースがベストな舞台だと実感させられたのです。

その1か月後に行われたチャンピオンズCにはコスタノヴァは出走しなかったのですが、そのレースを制したのが、デビュー以来ダートで7戦6勝、前走みやこSをレコードで制した牝馬ダブルハートボンドでした。先行勢が軒並み崩れる中、唯一残るという強い勝ち方で、底を見せていない魅力もあります。
そのため東京コースもマイルも初めてですが、3.0倍の1番人気に支持されました。
調教では軽やかな走りで栗東の坂路を駆け上がり、51.9という優秀なタイムを馬なりで出して、好調さがうかがわれます。パドックでも落ち着いていながら適度な気合乗りで周回し、トモの踏み込みはやや浅めながらも力強く、とても良く見えました。

ダブルハートボンド 2026年2月22日 東京競馬場

コスタノヴァは3.4倍の2番人気。その理由は武蔵野Sから3ヶ月以上間隔があいているということと、出遅れ癖が大きかったでしょう。過去10年で前走が前年11月だった馬は、2,3着それぞれ1頭ずつで勝った馬はいなかったのです。
ただし木村師は、コスタノヴァの頭の中を整理させるためにあえて間隔をあけたと言っており、個人的にはマイナスとは思いませんでした。実際に調教は覇気あふれる走りで、パドックも適度な気合で伸びやかに歩き、トモの踏み込みも深く力強く、個人的には16頭の中で1番良く見えました。
またブリンカーをつけることで集中力が増し、出遅れを防ぐことも期待できたのです。

コスタノヴァ 2022年2月22日 東京競馬場

5.4倍の3番人気は、古豪ともいえる7歳馬のウィルソンテソーロ。2024年のJBCクラシックと昨年の南部杯と交流G1は2勝しているものの、中央ではチャンピオンズCで3年連続2着というもどかしい成績。
しかし昨年は南部杯を4馬身差で圧勝し、チャンピオンズCではダブルハートボンドに鋭い末脚でハナ差まで迫り、力は互角であることを証明していました。
調教は合わせた相手に遅れたものの、これはいつものことなので問題なく、パドックでは雄大な馬体で落ち着いて周回し、トモの踏み込みも深く、上位2頭に遜色ない出来と映りました。

ウィルソンテソーロ 2026年2月22日 東京競馬場

レースでは、コスタノヴァもしっかりとスタートを切ります。ハナを切ったのはシックスペンスで、ダブルハートボンドは5,6番手でそれを追い、その直後にウィルソンテソーロで、その後方の外にコスタノヴァという隊列。600mは35.1と平均やや遅めのペースで進みます。
4コーナーでダブルハートボンドはやや外に膨れるように回ると、直線では直後にウィルソンテソーロがぴったりと着き、さらに外からはコスタノヴァが末脚を伸ばしてきます。
ところがダブルハートボンドの伸び脚が今一つで、残り200mで外からウィルソンテソーロが並びかけ、さらに外からコスタノヴァも迫ってくると、そこからダブルハートボンドの闘志に火が付いたようで、残り100mでは3頭が並んで先頭に躍り出ます。
しかし外のコスタノヴァの脚色がよく、じわじわと伸びると2着ウィルソンテソーロに1/2馬身差をつけて先頭でゴール。さらに1/2馬身差3着がダブルハートボンドという結果となりました。

先頭に立つコスタノヴァ 2026年2月22日 東京競馬場
コスタノヴァとルメール騎手 2026年2月22日 東京競馬場

コスタノヴァは、フェブラリーSがG1に昇格したあと、コパノリッキー(2014,2015年)、カフェファラオ(2021,2022年)に次ぐ3頭目となる連覇を達成。特に東京のダートでは無類の強さを誇る存在となりました。
ウィルソンテソーロはJRAのG1で4度目の2着。ただしこれはJRAだけでなく、地方や海外も合わせた全G1の成績が2・7・0・7とまさにシルバーコレクター。陣営とすると、なんとも歯がゆい成績でしょう。
ダブルハートボンドは初めて連対を外したものの、馬券圏内となる3着は確保。先行勢が軒並み沈む中、粘って力があるところは見せました。今後は地方に挑むのかあるいは海外に挑戦するのか、可能性は広がると思います。

今年からフェブラリーSの賞金が上り、1着賞金は3,000万円あがって1億5,000万円となりました。しかしこれでもサウジCの1着賞金の1/10以下で、5着賞金にも届かないとのこと。フォーエバーヤングをはじめ力のある馬ほど海外に挑戦することが多くなるのは仕方ないでしょう。
特にこの時期はサウジCとドバイWCの開催時期とかぶるため、フェブラリーSの空洞化は今後ますます避けられないと思います。
賞金をあげるのにも限界があるし、時期の見直しもいろいろ制約があるでしょう。しかしダートG1の権威を守るためにも、知恵を出し合って改善を図っていってほしいと思います。

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