今回も年末に当たり2025年を振り返って総括し、JRA賞を個人的に予想するとともに、ベストレースを選んでみたいと思います。
今年を振り返ってみ見ると、初めてとか久しぶりということが結構あったような気がします。
初めてでは、フェブラリーSでキング騎手による初のJRA平地G1女性騎手制覇ということがありました。また三浦皇成騎手が、スプリンターズSでG1騎乗127戦目で初勝利となったのも印象的でした。
もちろんフォーエバーヤングによるブリーダーズカップクラシックの日本馬初制覇も大きなニュースでしたし、個人的にはホープフルSでロブチェンがG1昇格後初めて新馬勝ち後の2戦目で勝利したというのも驚かされました。
初めてのJRAにおける女性調教師である前川恭子調教師が開業したことも、時代の変化の象徴だと思いますし、前川厩舎のサンライズジパングが有馬記念で5着に突っ込んできたことも、今後に期待が持てる結果だったと思います。
久しぶりという意味では、ジャパンCでフランス調教馬カランダガンが外国馬として20年ぶりに勝ったということが印象的でしたし、中央ではありませんが暮れの東京大賞典でディクテオンが地方馬として同じく20年ぶりに勝ったニュースも、偶然とはいえ同じ20年を隔てて大きく変わったということで、今後の変化が感じられる出来事でした。
それでは、JRA賞について部門ごとに振り返りながら予想してみます。
まずは確実なところから。
●最優秀2歳牝馬
アルテミスSで強い勝ち方をしたフィロステファニが屈腱炎で早々に引退が決まり、ファンタジーSを勝ったフェスティバルヒルも剥離骨折が判明して休養。その他の2歳重賞では牝馬の1着はなく、全体に低調な印象で迎えた阪神JFですが、勝ったのは今年から重賞となった芝1400mの中京2歳S2着から臨んだスターアニス。血統的にも短距離向きかと思われましたが、強い勝ち方を見せました。現時点での完成度も高く、受賞に問題はないでしょう。
●最優秀3歳牝馬
今年のG1勝ち馬は、エンブロイダリー(桜花賞、秋華賞)、カムニャック(オークス)の2頭。桜花賞は昨年の2歳女王アルマヴェローチェとはクビ差も3着馬は2 1/2馬身離し、秋華賞はうまく逃げたエリカエクスプレスを捉えて1/2馬身差の勝利。オークスこそ9着に敗れましたが、クイーンCを含む重賞3勝でG1 2勝は立派な成績で、エンブロイダリーの受賞に特に異論は出ないのではないでしょうか。
●最優秀4歳以上牝馬
G1を勝ったのは、アスコリピチェーノ(ヴィクトリアM)、レガレイラ(エリザベス女王杯)、ダブルハートボンド(チャンピオンズC)の3頭。3頭とも今年G1 1勝を含む重賞2勝をあげていますが、レガレイラは有馬記念で1番人気に推されて0.2秒差4着と好走。そのインパクトはあとの2頭を大きく上回るものでした。ここはレガレイラでいいと思います。
●最優秀マイラー
今年古馬マイルG1をどちらも制したのはジャンタルマンタル。これで朝日杯FS、NHKマイルCを含めて牡馬マイルG1を初めて完全制覇した馬となりました。また国内のレースでは皐月賞3着も含めて6・2・1・0とすべて3着内という安定した成績。ここは満票での受賞となるのではないでしょうか。
●最優秀障害馬
今年のJ・G1はともにエコロデュエルが制覇。中山GJでは、デビュー19年目で初のJ・G1勝利となった草野騎手の、必死さと馬への愛が伝わるジョッキーカメラの映像が感動を呼びましたが、中山大障害では余裕の走りで5馬身差の圧勝。同一年のJ・G1連覇はアップトゥデイト(2015年)、オジュウチョウサン(2016,2017年)につづく3頭目ということで、障害界のスターホースへの道を歩みだしたといえるでしょう。その記念すべき1年目となるかもしれません。
それでは、以下は迷うところを。
●最優秀2歳牡馬
ここはホープフルSが2017年にG1に昇格してから、毎年朝日杯FSとホープフルSの勝ち馬のどちらかが選ばれます。意外と朝日杯FS組が選ばれることが多いのですが、それは2歳暮れの時点で完成度が高いのは短距離寄りの馬が多く、実績馬が朝日杯FSに集まりやすいということがあるのかもしれません。今年も重賞勝ち馬が朝日杯FS4頭に対してホープフルS2頭となりました。
朝日杯FSを勝ったのは前走デイリー杯2歳S2着のカヴァレリッツォで、ホープフルSを勝ったのは新馬勝ちから臨んだロブチェン。どちらが将来性があるかはもちろんわかりませんが、現時点での完成度はカヴァレリッツォの方が上ではないでしょうか。
●最優秀3歳牡馬
G1を勝ったのはミュージアムマイル(皐月賞、有馬記念)、クロワデュノール(日本ダービー)、エネルジコ(菊花賞)、パンジャタワー(NHKマイルC)、マスカレードボール(天皇賞(秋))の5頭。秋の古馬G1を2勝しており、今年の3歳牡馬のレベルは高かったと言えるでしょう。
G1 2勝のミュージアムマイルは頭一つ抜けていますが、日本ダービーはクロワデュノール、マスカレードボールに完敗し天皇賞(秋)も2着まで。マスカレードボールは日本ダービー2着に続いて天皇賞(秋)を勝ち、ジャパンCでもカランダガンのアタマ差2着と大健闘しました。またクロワデュノールも凱旋門賞は大敗しましたが、渡仏後に出走したG3では凱旋門賞馬になるタリズに勝利して、帰国後のジャパンCでも見せ場のある4着。いろいろ迷う点はありますが、最終的にはミュージアムマイルで落ち着くのではないでしょうか。
●最優秀4歳以上牡馬
昨年までのように中心となる馬が不在で、秋の古馬3冠は3歳馬と外国馬に勝たれて1勝もできませんでした。今年国内の芝G1を勝ったのは、サトノレーヴ(高松宮記念)、ベラジオオペラ(大阪杯)、ヘデントール(天皇賞(春))、ジャンタルマンタル(安田記念、マイルCS)、メイショウタバル(宝塚記念)、ウインカーネリアン(スプリンターズS)の6頭。海外ではソウルラッシュ(ドバイターフ)、ダノンデサイル(ドバイシーマC)、タスティエーラ(クイーンエリザベス2世C)が勝っています。
話題としては亡き松本好雄オーナーにG1勝利をささげたメイショウタバルや、「ベリーベリーホース」のダノンデサイルなどもありますが、単純にG1 2勝ということでマイラーと重複しますがジャンタルマンタルでしょうか。ただ票は割れると思います。
●最優秀スプリンター
スプリントG1は、サトノレーヴ(高松宮記念)とウインカーネリアン(スプリンターズS)が勝利。ウインカーネリアンは三浦騎手の初G1制覇が話題になりましたが、ほかにドバイのアルクオーツスプリント2着、シルクロードS3着があるものの今年は1勝のみ。対するサトノレーヴも他は未勝利ながら、香港のチェアマンズスプリント、イギリスのクイーンエリザベス2戦ジュビリーSでともに2着と好走し、スプリンターズSも4着。
どちらも決め手に欠けるものの、G1 2着の数と安定感でサトノレーヴでしょうか。
●最優秀ダートホース
ここは今年最も議論を呼ぶ部門ではないでしょうか。JRAのG1を勝ったのはコスタノヴァ(フェブラリーS)とダブルハートボンド(チャンピオンズC)。ダブルハートボンドはほかにみやこS(G3)を勝っていますが、コスタノヴァは根岸S(G3)を勝って武蔵野S(G3)は大きく出遅れながら2着に追い込む強いレースを見せました。
ただ今年はフォーエバーヤングの存在があります。JRAのレースには1度も参戦しなかったものの、2月のサウジCではロマンチックウォリアーをクビ差で差し切って1着。ドバイWCは3着に敗れたものの、満を持して渡米したブリーダーズカップクラシックでは、昨年1,2着の強力馬2頭を抑えて見事に1着でゴール。ダートの本場の最高峰レースをついに勝ったのです。
かつてJRAのレースに一度も出なかったエルコンドルパサーが1999年に最優秀5歳以上牡馬&年度代表馬に選ばれた例はありますが、2023年にドバイWCと川崎記念、東京大賞典を勝ったウシュバテソーロは、最優秀ダートホースに選ばれず特別賞に終わったという例もあります。
2023年はダートにレモンポップという強力馬がいた影響もあるので、今年はやはりフォーエバーヤングが選ばれるのではないかと思います。
そして年度代表馬ですが、候補はG1 2勝馬のうち、ミュージアムマイルとフォーエバーヤングに絞られると思います。例年であれば、G1 2勝が3歳クラシックの皐月賞と、暮れのグランプリ有馬記念で、ほかに旧八大競走およびジャパンCを複数勝った牡馬が不在なら、ミュージアムマイルで決まりだと思います。
ただしフォーエバーヤングが勝ったのが、世界最高賞金のサウジカップと、ダートの本場アメリカで事実上のダート世界王者決定戦ともいえるブリーダーズカップクラシックの2戦。その価値は国内G1をはるかに超えるものと言わざるを得ないのではないでしょうか。
ということで、ここではフォーエバーヤングを押したいと思います。
続いて2025年のベストレースです。
馬券を当てたという意味では、エリザベス女王杯や有馬記念も個人的には盛り上がったのですが、感動的なレースという意味ではジャパンCでしょう。
日本の時計の速い芝に、ヨーロッパの年度代表馬といえども果たして対応できるのかというのが一番の関心事だったのですが、そこにカランダガンとバルザローナ騎手が見事な回答を示してくれました。20年ぶりの外国馬の勝利ということですが、海外の一流馬を招待している以上は日本でその強い姿を見たいと思いますし、来年以降さらに強い馬の来日がかなえば、ジャパンCの開催意義もあると思うのです。
以前のように日本馬と外国馬の真剣勝負で、わくわくするようなレースを見られることを期待したいと思います。
そして忘れてはならないのが、フォーエバーヤングのサウジCとブリーダーズカップクラシック。
世界最強馬の1頭であるロマンチックウォリアーにいったんは突き放されながら、じりじりと迫って差し切ったサウジCも、迫ってくる昨年の覇者シエラレオーネを振り切ったブリーダーズカップクラシックも、ゴール前の攻防はまさに手に汗握るもので興奮させられました。
これらのレースも、長く語り継がれるような価値があると思います。