調教技術の進歩と、強い馬と戦ったダメージについて ~安田記念

今年の安田記念の本命候補は、ジャンタルマンタルとソウルラッシュでした。
ジャンタルマンタルは朝日杯FSを勝つと、3歳時は皐月賞3着に続いてNHKマイルCを制覇。現4歳世代ではNo.1マイラーであることは間違いないでしょう。
対するソウルラッシュは昨年のマイルCSを勝ってJRA賞の最優秀マイラーに選ばれたのですが、前走は芝1800mのドバイターフに出走。世界最強の1頭である昨年の安田記念優勝馬ロマンチックウォリアーをハナ差差して勝ち、7歳馬ながら世界的なマイラーとなったのです。

最終的にジャンタルマンタルを本命にすることにしたのですが、その決め手となったのが、タイトルにもあげた「調教技術の進歩」と「強い馬と戦ったダメージ」でした。

ジャンタルマンタルはNHKマイルCを勝った後、昨年の富士Sへの参戦を予定していたそうですが熱発で回避。7か月ぶりとなる香港マイルに出走したのですが、熱発の影響もあったのか先行しながら13着とキャリア初の大敗を喫してしまいます。
そして安田記念が香港以来6か月ぶりのレース。つまりこの1年でわずか1戦しかしていないのです。

かつての常識では、休み明けは大きなマイナスでした。調教だけではレースで戦う馬の体や気力を鍛えることは難しく、レースを使うことでそれらを作り上げていくというのが、当然のことと考えられていたのです。
そのため休み明け2戦目や3戦目が走りごろと言われており、今でもそう考えるファンは、特に年配の人に多いのではないでしょうか。

しかし近年の外厩を使った調教技術の進歩は目覚ましく、休み明けという概念はほぼなくなってきているのと思います。
クラシックを狙う馬も、なるべくレースを使わないということが常識になりつつあり、トライアルが有名無実になってきていると感じられます。今年のダービー馬クロワデュノールも、ホープフルSから皐月賞に直行することを選択。皐月賞は惜しくも2着に敗れたものの強い競馬を見せ、ダービーではその雪辱を果たしました。

そしてジャンタルマンタルですが、休み明けの懸念を払しょくさせられたのは、最終追い切りでの走りでした。坂路を一直線に駆け上がってくるその姿は迫力満点で、脚を高く上げて蹴りも力強く、まさにほれぼれするような走りだったのです。
かつては休み明けといえば、ちょっとのんびりした感じで気迫が感じられない馬もいたのですが、外厩でしっかり乗り込まれてきたのでしょう。6か月ぶりを感じさせず、すでにすっかり勝負モードになっているように見えました。

そして次の「強い馬と戦ったダメージ」ですが、これはソウルラッシュへの懸念の理由として感じたのです。
今年のサウジカップでフォーエバーヤングは、先に抜け出したロマンチックウォリアーを1歩ずつ追い詰めていき、ゴール直前で見事に差し切って優勝しました。そして次走のドバイワールドカップはそれほど強い馬がいないこともあり、当然のように連勝が期待されていました。
ところが坂井騎手が懸命に叱咤するもなかなか進んでいかず、最後は何とか脚を伸ばすものの3着まで。レース後は歩くのがやっとなぐらい疲れていたということで、明らかにロマンチックウォリアーとの死闘の影響が大きかったのでしょう。

そしてそのロマンチックウォリアーは、ドバイターフに圧倒的1番人気で出走するも、ソウルラッシュに差されて2着。これもフォーエバーヤングとの戦いの疲れが、最後に影響したのではないかと思ったのです。
ということは、ソウルラッシュもロマンチックウォリアーを交わすためにかなり力を使ったはずで、その影響は最後に現れるのではないかと懸念したのです。そのため最終的に、ジャンタルマンタルがソウルラッシュより上と予想しました。

レースは短距離に実績のあるウインマーベルとマッドクールが前に行き、ジャンタルマンタルは3番手、ソウルラッシュは中団後方の外を進みます。
短距離の先行馬がハナに行ったわりに600mは35.0と落ち着いた流れ。この時点でジャンタルマンタルに向いた展開だと思われました。
直線に向いても追い出しを我慢するジャンタルマンタルの川田騎手は、残り400mを切っても追わずにキープ。マッドクールとウインマーベルについていきます。
残り300mを切ってようやく川田騎手が追い出すと、残り200mで内の2頭を交わして先頭。そこからはまるでNHKマイルCのビデオを見るように後続を突き放していきます。最後は外からガイアフォースとソウルラッシュが迫るものの、1 1/2馬身差でマイルG1 3勝目のゴールを駆け抜けました。

ジャンタルマンタル 2025年6月8日 東京競馬場

対するソウルラッシュは、中団から外を追い上げてよく伸びてはきたのですが、最後に外からガイアフォースの強襲を受けて競り負ける形の3着。残念ながら懸念は当たってしまいました。
前走ほどの伸びが見られなかったということは、もしかしたら疲れが残っていたのかもしれません。

ソウルラッシュ 2025年6月8日 東京競馬場

最後に来年に向けてのヒントを1つ。
ある記事で指摘されていたので気になっていたのですが、過去5年の安田記念の連対馬10頭の前走は、すべてG1だったのです。つまり前走がG2以下の馬の連対はないということ。
これを今年の出走馬に当てはめると、候補は7頭に絞られます。実は遊びでこの7頭の馬連ボックスを買ってみようかと思っていたのですが、すっかり忘れてしまいました。
そして終わって確かめてみると、7頭のうち4頭が4着内を占めるという結果に。3連単ボックスでもプラスになりますし、うまく絞ればさらに回収率をあげることが可能だったのです。

ただ個人的にはガイアフォースを拾えなかったことが残念でした。調教が良かったので気にはなっていたのです。昨年は買っていたので、買えない馬券ではなかったということで、また反省事項が増えてしまいました。

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