NHKマイルCの傾向と対策とは

NHKマイルCが荒れることはわかっていても、昨年のように1,2番人気で決まる年があると、つい油断してしまいます。そして今年もまた大荒れの結果となりました。その要因を分析し、傾向を見ることで来年以降の対策につなげたいと毎年思うのですが、なかなかうまくいかないことが悩みの種です。

まず今年荒れた大きな原因は、ペースがかなり早くなったことでしょう。逃げ馬不在で先行馬もそれほど多くないことから、ペースは落ち着くのではと思っていたのですが。
最初に逃げたのは、新潟2歳Sを先行して押し切ったトータルクラリティでした。朝日杯FS13着、ファルコンS10着と先行して結果が出ず16番人気と人気を落としていたのですが、起死回生を図ってイチかバチか逃げの手に出たのでしょう。好スタートからハナに立ったランスオブカオスを、200mで交わして先頭に立ちます。
さらに600mで、エルフィンSを先行して勝った17番人気ヴーレヴーがトータルクラリティを交わして先頭。そのラップは33.4と過去10年で最も早い流れになってしまいました。

この影響を大きく受けたのが、1番人気を背負ったアドマイヤズームでしょう。スタートして200~300mぐらいで落鉄していたようですが、調子の良さゆえかトータルクラリティ、ヴーレヴーを追って3番手を楽に追走。そのまま馬なりで直線を向きます。さらにその直後には2番人気のイミグラントソングもいて、2頭とも手ごたえがよく、そのまま行くかとも思ったのですが、そんなに甘くはありませんでした。

残り300mぐらいまではアドマイヤズームは先頭、イミグラントソングも3,4番手で粘っていたものの、一気に後続にかわされて馬群に沈んでしまいます。
代わって外から伸びてきたのは、中団を追走していたパンジャタワー。内のモンドデラモーレ、ランスオブカオスなどと競り合いになりますが、残り200mを過ぎて抜け出すと、ゴール前は内から伸びてきたマジックサンズと離れたたたき合いに。さらに2頭の間から伸びてきたチェルビアットと3頭が並んだところがゴール。

先頭に立つパンジャタワー 2025年5月11日 東京競馬場

結局1着パンジャタワー(9番人気)、2着マジックサンズ(3番人気)、3着チェルビアット(12番人気)となり、3連単は150万円を超える大穴決着となりました。

まず人気馬の敗因ですが、これはハイペースを先行したことが大きかったでしょう。1番人気アドマイヤズームは3番手、2番人気イミグラントソングは4番手から進めて直線は失速。それぞれ14着、11着と大敗しました。実際に先行した馬はすべて11着以下となり、唯一好位から残ったランスオブカオスも5着でした。
アドマイヤズームは落鉄が急激に減速した一因かもしれませんが、それがなくても上位は難しかったと思います。

逆に上位に来たのは、中団以降から速い上りを使った馬たちでした。パンジャタワーとチェルビアットは中団から3位と4位の上りで、マジックサンズは後方から1位の上りで差してきたのです。
もちろんそれぞれ差し脚に実績はあり、パンジャタワーは京王杯2歳Sで1番の上り33.8で1着、マジックサンズは皐月賞で1番の33.8で6着、チェルビアットは桜花賞で4番の34.5で6着と、G1・G2で速い上りで上位にきていました。
乱ペースを前提にして考えれば買えない馬券ではないようにも思えますが、そもそもこのような展開を予想すること自体が難しかったので、荒れた結果になったのも仕方ないでしょう。

パドックのパンジャタワー 2025年5月11日 東京競馬場
パンジャタワーと松山騎手 2025年5月11日 東京競馬場

そしてこの結果を受けて来年以降の対策として考えられるのが下記になります。ぜひこれを参考にして、来年こそはしっかり当てたいと思いますが・・・。
(1)前走1着馬は過信しない
これはNHKマイルCの法則としてはかなり有名なもので、実際に過去10年で3着内に入った30頭のうち、前走1着だったのはわずか3頭のみ。そのうちともに勝って連勝となったのは2022年のダノンスコーピオン(前走アーリントンC1着)だけで、かなり強力です。実際に今年の上位3頭もすべて前走は4着以下に負けていました。
特に前走ニュージーランドTとファルコンSの1着馬はすべて着外となっており、どんなに強い勝ち方をしても買ってはいけないレベルです。
その理由としては、前哨戦で目いっぱいの競馬をした結果、おつりが残っていないということが大きいのではないでしょうか。今年該当したイミグラントソング、ヤンキーバローズともに見せ場なく敗れていて、この説を裏付けていると思います。

(2)前走適度に負けている実績馬を選ぶ
これは上記の逆になります。競馬で負ける理由はさまざまですが、もともと力がないというのは論外として、道中の不利や騎手のミス、展開のあや(包まれたり仕掛けどころを間違えたり)、出遅れなどのアクシデント、本番を見据えてあえて仕上げ切っていないなどにより、実力はあるのに負けるということはよくあります。
実はNHKマイルC過去10年で、前走4着馬が9頭出走していて、そのうち4頭が連対(連対率44%)というおもしろいデータがあります。4着という数字にはあまり意味はなく、適度に負けているというところが大事なのだと思います。
その負けた原因を分析して対処したとか、本番に向けて仕上げた結果、実力をしっかり出せるようにしたなどの理由で、前哨戦とは見違えるようなレースを見せたという例が多いのではないでしょうか。
おそらく今年の上位3頭は、ハイペースの展開の利に加えて、すべてこれに当てはまったように思えます。特にパンジャタワーの前走ファルコンS1番人気4着は、なるほどと思わされました。

(3)前走クラシック出走馬は重視する
これもかなり有名な法則で、過去10年で見てみると、皐月賞組(3・1・0・9 連対率31%)、桜花賞組(2・3・0・13 連対率28%)と、ほかの組を圧倒しています。これはやはりクラシックを目指して高いレベルで切磋琢磨してきた馬の方が、力をつけているということなのでしょう。
ということで個人的には皐月賞組のマジックサンズ(前走6着)と桜花賞組のマピュース(前走4着)を重視していたのですが、桜花賞は6着のチェルビアットが正解でした。

(4)1番人気は信頼度が低いが1~3番人気が1頭は連対する
過去10年で1番人気は1・2・1・6で連対率30%。勝ったのは1番人気の桜花賞で4着に敗れた2歳女王メジャーエンブレムだけで、のちにG1を勝つグランアレグリアやセリフォスも着外に敗れているので、かなり強力な傾向と言えます。
1~3番人気が1頭も連対しなかったのは2023年に1回だけありますが、それでも3着には3番人気の馬が来ています。そのため上位人気3頭のうち1頭を軸にするのが、的中を得るコツになります。
今年も荒れたとはいえ、3番人気のマジックサンズが2着にきました。そして1番人気と前走1着馬の上位人気2頭を軽視すれば、マジックサンズを軸に据えることは難しくなかったのです。ただし前日販売では3番人気はランスオブカオスで、どの馬が3番人気になるかを予想する方が難しいかもしれません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です