3歳+中山得意がキーワード ~有馬記念

有馬記念の過去10年の成績を見ていると、嫌でも目につくのが3歳馬の強さでしょう。昨年までの10年で3歳馬は5・2・3・16と半分勝っており、連対率27%は4歳馬の19%、5歳馬の8%と比べてもかなりの差があります。
この原因はひとえに斤量の恩恵が大きいということがあげられるのではないでしょうか。

3歳馬は日本ダービーの翌週から古馬と走るようになりますが、6月に行われる最初のG1宝塚記念では、完成度を考慮して4歳上牡馬58kgに対して3歳牡馬53kg(牝馬はいずれも-2kg)と5kgの減量となります。ちなみにこれは距離によって異なり、1400m以上2200m未満では-4kg、1400m未満では-3kgとなります。距離によって斤量の影響が異なるということなのでしょう。
その後月を追うごとに古馬と3歳馬の斤量差は縮まっていき、有馬記念が行われる12月には2200m未満では-1kg、2200m以上では-2kgとなります。

もちろん馬の成長には個体差があり一概には言えないのでしょうが、過去の有馬記念での3歳馬の強さを見ると、この時点での-2kgは3歳馬に有利と言えるのではないかと思うのです。
過去10年で有馬記念を勝った3歳馬を主な勝ち鞍とともに見てみると、下記のようになります。
 2016年サトノダイヤモンド(菊花賞1着)
 2018年ブラストワンピース(新潟記念1着)
 2021年エフフォーリア(皐月賞、天皇賞(秋)1着)
 2022年イクイノックス(天皇賞(秋)1着)
 2024年レガレイラ(ホープフルS1着)
共通するのは、同世代相手のG1か古馬相手の重賞を勝っていること。この条件をクリアした3歳馬なら、有馬記念で勝つ可能性が十分にあるといえるでしょう。

今年3歳馬は2頭出ていましたが、エキサイトバイオは菊花賞3着と上記の条件を満たしておらず、皐月賞を勝ったミュージアムマイルだけが満たしていました。
しかもミュージアムマイルは天皇賞(秋)で同じ3歳馬のマスカレードボールに次ぐ2着となり、ほかの古馬には先着。2200mを超える距離ではダービー6着と結果が出ていないという不安はありましたが、過去にはマイル得意な馬でも好走した例は多く、あまり心配いらないのではと思われました。

さらにミュージアムマイルを押す材料となったのは、中山での成績の良さでしょう。弥生賞こそ4着に敗れますが、皐月賞では圧倒的1番人気のクロワデュノールを中団から差し切って1着。さらにセントライト記念も中団から速い上りで差して1着と、中山成績は2・0・0・1の良績だったのです。
逆に東京では日本ダービー6着、天皇賞(秋)2着と勝てず、中山向きの器用さがセールスポイントだと言えると思います。
このことが、ジャパンCは見送って有馬記念に挑戦するという陣営の選択につながったのではないでしょうか。

そしてミュージアムマイルはその陣営の想いに見事にこたえる走りを見せました。
ややスタートで後手を踏んだミュージアムマイルですが、C.デムーロ騎手はすぐにリカバリーして中団後方の外につけます。
インタビューでC.デムーロ騎手は、ダノンデサイルが1番強いと思っていたので、それをマークしていったということを言っていましたが、ダノンデサイルの2馬身後をぴったりとついていきます。
そのまま4コーナーを回ると直線はダノンデサイルの外に持ち出し、懸命に前を追います。残り200mの時点ではコスモキュランダが2馬身ほど抜けて先頭に立ち、ミュージアムマイルは4馬身ほど離れた5番手。そこから末脚を伸ばすと、残り100mでダノンデサイルとタスティエーラを捉えて2番手。そしてゴール直前でコスモキュランダをかわすと、1/2馬身差をつけてゴールに飛び込みました。

C.デムーロ騎手は、昨年シャフリヤールでレガレイラとの追い比べにハナ差で敗れて悔しい2着だったのですが、そのリベンジを果たして7度めの騎乗で初めての有馬記念制覇となりました。
またミュージアムマイルは皐月賞に続くG1 2勝。ここまでJRA賞最優秀3歳牡馬はかなりの混戦だったのですが、マスカレードボール、クロワデュノールなどを抑えて、大きく受賞に近づいたのではないでしょうか。

そして中山得意といえば忘れてはいけないのは、2着に入ったコスモキュランダです。
コスモキュランダは、昨年弥生賞ディープインパクト記念でシンエンペラーを抑えて重賞初制覇を飾ると、皐月賞ではジャスティンミラノとのたたき合いには敗れたものの、ジャンタルマンタルには先着してクビ差2着。その後は不振だったものの、その中でもセントライト記念2着、今年のAJCC3着と中山では好走していたのです。中山だと走りが違う1頭だといえるでしょう。

そしてそのコスモキュランダが、今回初めてブリンカーをつけてきたことと、AJCC3着以来久々に横山武騎手とのコンビを復活させたことから、勝負掛かりではないかと思えたのです。
さらにパドックで見たコスモキュランダは、落ち着いてクビを使って伸びやかな歩様を見せ、トモの踏み込みも深く、ジャパンCに比べると格段に良くなっているように見えました。
近走の成績を見ると人気がないのは仕方ないですが、さすがに単勝111.5倍の11番人気は甘く見すぎと思いました。

さらに3着のダノンデサイルは昨年3着で中山2・0・1・0、4着レガレイラは昨年1着で中山3・0・0・1、そして5着サンライズジパングは近走ダート中心ということもあり、中山芝0・0・1・1ですが、2歳時にホープフルSで3着がありました。
こうしてみると、上位の馬はすべて中山のG1で3着以内に好走した経歴があったわけです。

毎年有馬記念では中山得意な馬に注意が必要だと思うのですが、今年はいっそうその想いを強くしました。来年以降の参考にしたいと思います。

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