やはり馬体が重い馬の方が有利なのか ~阪神JF

今年の阪神JFは28年ぶりに重賞勝ち馬の出走がないということが話題になりました。
アルテミスSは実際に見に行って、勝ったフィロステファニの強さが印象的で、将来性に期待したのですが、残念ながら屈腱炎を発症して引退し繁殖入りすることが、11/13に発表されました。
ファンタジーSを勝ったフェスティバルヒルも剥離骨折が判明して休養。その他の2歳重賞はすべて牡馬が勝っているので、結果として重賞勝ち馬が不在というメンバーになったのです。

そんな中1番人気(2.6倍)に推されたのは、芝1800m新馬、芝1600mOP野路菊Sと連勝で臨むエピファネイア産駒のアランカールでした。母はオークス馬のシンハライトという良血。野路菊Sはスタートで出遅れて最後方になりながら、4コーナーから上がっていくと、1番の上りで3 1/2馬身突き放すという派手な勝ち方を見せました。
このレースを見た時にはアランカールで仕方ないかとも思ったのですが、気になったのは2戦とも7頭以下の少頭数だったことと、前走の馬体重が438kgと軽量だったことでした。

ある記事で知ったのですが、過去10年の阪神JF勝ち馬を馬体重に注目して見てみると、最も軽かったのは2018年のダノンファンタジーの460kgだったのです。
しかも1番人気で着外に敗れた馬を見てみると、特に近年は馬体重が軽い馬が多いのです(2021年ナミュール 430kg 4着、2023年サフィラ 442kg 4着、2024年ブラウンラチェット 428kg 16着)。
これを見る限り、中心に据える馬は460kg以上の馬格のある馬にするのが安心だと思われます。

ただし2着には、リスグラシュー(2016年 434kg)、クロノジェネシス(2018年 436kg)、ラブリイユアアイズ(2021年 428kg)、ビップデイジー(2024年 436kg)と、多くの軽量馬が入っているので、必ずしも馬体重が重い馬しか連対しないというわけではないのですが。

2番人気(5.0倍)は、前走G3中京2歳S(中京芝1400m)で中団からクビ差2着のドレフォン産駒スターアニス。こちらは前走で478kgと立派な体をしているのですが、1400mまでしか経験なくマイルが初というところがネックでした。
近年は特にマイル以上の実績が必要とされており、過去10年の連対馬で1600m以上の経験がなかったのはレシステンシア(2019年1着)とラブリイユアアイズ(2021年2着)の2頭のみ。そのため個人的には当初は無印にしていたのですが、調教もパドックもとても良かったので押さえには入れました。
しかしこの馬を2番人気に推すファンの目の確かさには、のちのち驚かされることになります。

3番人気(7.1倍)は中山芝1600m1勝Cサフラン賞で強い勝ち方をしたアドマイヤマーズ産駒アルバンヌ、4番人気(7.2倍)は阪神芝1800m未勝利を勝ったロードカナロア産駒キャラボーグと続きました。

スタートでアルバンヌがやや立ち遅れたもののすぐに馬群にとりつきますが、かわって大きく下げたのが1番人気のアランカール。おそらく北村友騎手の速く流れるという読みからの作戦なのでしょうが、どんどん下がっていく姿を見て心配になります。
ハナを切ったのは赤松賞を逃げ切ったヒズマスターピース(7番人気)。縦長となり、最初の600mは33.7と、かなり速めのペースで流れます。3コーナーからアランカールが外を通って上がっていき、4コーナーでは中団後方の外。直線は必死に追いますが、なかなか差が詰まりません。
そんな中、直線外から上がってきたのがタイセイボーグ(6番人気)。残り200m手前で先頭に立ちますが、すぐに外から交わしていったのがスターアニス。タイセイボーグも内で粘りますが、さらに内からギャラボーグが伸びてきます。
しかしスターアニスは末脚を伸ばして先頭でゴール。2着は若さを出して左右によれながらもギャラボーグが1 1/4差で入り、さらにクビ差3着がタイセイボーグとなりました。

実はこの上位3頭の馬体重を見てみると、1着スターアニスが478kgでメンバー中4位。2着ギャラボーグが500kgで1位、3着タイセイボーグが486kgで3位と、いずれも重い馬たちだったのです(2位ヒズマスターピース 488kgは逃げて15着)。
つまり馬体重上位4頭のボックスを買えば、3連複を4点であてられたわけです。まあ結果論ですが。

スターアニスは中団から2位タイとなる上り34.5で、最後に1 1/4馬身差突き放すという強い勝ち方を見せました。やはり重賞で牡馬相手にクビ差2着という実績は、結果的にこのメンバーでは抜けていたということなのでしょう。来年の桜花賞をはじめ、活躍は大いに期待できると思います。
ドレフォン産駒としてはジオグリフ(2022年皐月賞)に続く2頭目のJRA G1馬となりました。ほかにミッキーファイトも今年帝王賞、JBCクラシックと交流G1を勝っており、ドレフォンは芝・ダート両方で活躍馬を出す人気種牡馬となっていくでしょう。
また母エピセアロームは2011年に阪神JFを2番人気で8着に敗れており、その敵を討った孝行娘ということになります。

ちなみにアランカールは5着に敗れ、馬体重460kg未満の1番人気馬は着外に敗れるという法則が、この6年続くという結果になってしまいました。
今年のように馬券内全馬が重い馬ということは稀ですが、少なくとも勝ち馬については重い馬が有利という傾向は続いているので、来年も予想の参考にしたいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です