
日本最大のブリーダーである社台グループは、生産牧場、育成牧場、種馬場から、いわゆる外厩と言われる調教設備など、競馬に関するさまざまな施設を持っています。そんな社台グループが運営する観光牧場が、苫小牧市にあるノーザンホースパークです。
新千歳空港から車で15分ほどと交通の便が良いこともあり、とても人気のある施設で、多くの観光客が訪れます。
馬と触れ合えるテーマパークということで、ポニーショーや体験乗馬、馬車の乗車など馬にかかわるさまざまなアクティビティを楽しめるのですが、元競走馬と会うこともできます。種牡馬を引退したり、繁殖には携われなかったものの乗馬として第二の生活を送るいろいろな馬たちを、身近に見ることができるのも、ノーザンホースパークの魅力のひとつです。
ここは北海道を訪れるたびに、帰る直前に寄ることが多いのですが、6年前に引き続き今回も訪問してきました。
駐車場に車を止めると、すぐ前にパドックがあり、そこにいたのがディープインパクトの母ウインドインハーヘアでした。1991年生まれなので34歳とかなりの高齢ですが、まだまだ若々しく元気。すでに玄孫が生まれていますが、サラブレッド最高齢記録をめざしてがんばってほしいものです。

その隣のパドックにいたのが、香港の雄ゴールデンシックスティです。香港のマイルと2000mのG1を10勝していて、日本の馬たちはまったく歯が立たないぐらい強かったことが、強く印象に残っています。
香港は馬産を行っておらず、基本的に牡馬はすべて去勢されるため、引退後に種牡馬になる道はなく、身の振り方が難しいと言われています。
そんな中、馬主のスタンレー・チャン氏が何度も通って環境を気に入り、ぜひ預けたいと希望したのがノーザンホースパークだったそうです。
今年の2月に来日して、検疫を経て5月から公開されています。そして乗馬としてのリトレーニングを受けて馬場馬術にも挑戦するそうです。気性も競走馬時代とは比べものにならないほど落ち着いて、仲の良い馬もできて、幸せな生活を送っているようでほほえましく思いました。

他にもキンシャサノキセキ(2010年,2011年 高松宮記念)、ブラストワンピース(2018年 有馬記念)といったG1馬の他、フォゲッタブル(2009年 ステイヤーズS)、オーソリティ(2020年 青葉賞、2020年,2021年 アルゼンチン共和国杯)などの活躍馬も多く在籍していますが、中でも人気だったのが、8月に仲間入りした白毛のハヤヤッコです。昨年のアルゼンチン共和国杯を10番人気で制するなど、息長く活躍してファンの多い馬だったので、人気があるのも納得です。
ずっと馬房の中で飼い葉を食べていて、なかなか顔を上げてくれなかったのですが、気が向いたのか窓から顔を出して、隣のオーソリティと並んで2ショットを見せてくれました。

しかしキンシャサノキセキとブラストワンピースは残念ながら外に顔を出してくれず、厩舎内で網の向こうの写真しか撮れませんでした。


ここの厩舎は中に入って自由に見学ができるのですが、途中で乗馬を終えて馬に乗った男性が入ってきたのです。驚いたのが、それがノーザンファームのトップ吉田勝己氏だったことです。今年喜寿になられるそうですが、背筋もピンとしていて馬に乗る姿はとても若々しくかっこよく見えました。
とても慣れているようで、若いころから乗っておられたのでしょうが、おそらく乗馬も元気の秘訣なのでしょう。
ノーザンホースパークで会えた馬たち
ウインドインハーヘア、ゴールデンシックスティ、ラストインパクト、フォゲッタブル、ハヤヤッコ、オーソリティ、セダブリランテス、キンシャサノキセキ、ブラストワンピース
上記の情報は、2025年9月29日時点のものです。
見学日程や時間、条件や馬の顔ぶれは変更になることがあるので、訪問する際は事前に必ず「競走馬のふるさと案内所」のホームページ( https://uma-furusato.com/ )を確認してください。またそこにある「牧場見学ガイド」を参考に、ルールを守って見学していただけるようお願いします。