先週の高松宮記念で種牡馬ロードカナロアのすごさについて触れて、大阪杯でロードカナロア産駒が勝てば、今年のJRA G1で無傷の3連勝となると書いたのですが、なんと産駒のワンツーという結果になりました。
ダート1600mから芝1200m、芝2000mのG1をすべて勝つのですから、その種牡馬としての遺伝力及び産駒の能力の高さには、本当に驚かされます。
大阪杯といえば先行馬と関西馬が強いというのは定番で、単純に考えればベラジオオペラが最も有力であると思うのですが、競馬はそんなに単純なものではありません。
今年は関東馬にも有力馬がそろっており、ダービー以外はすべて1着で毎日王冠、中山記念とG2連勝から臨むシックスペンスが1番人気、昨年の桜花賞馬でオークス2着、秋華賞3着と安定しており香港ヴァーズでも3着だったステレンボッシュがモレイラ騎手騎乗もあり3番人気、昨年の天皇賞(秋)で3着に逃げ粘り前走金鯱賞2着のホウオウビスケッツが5番人気となりました。
対する関西馬は連覇を狙い昨年の有馬記念4着以来のベラジオオペラが2番人気、もう1頭のロードカナロア産駒で前走日経新春杯を3馬身差で圧勝したロードデルレイが4番人気でした。
レースは逃げると思われたデシエルトが出遅れるも、外から一気に前に行くと、2コーナー手前でハナにいたホウオウビスケッツを交わして先頭。交わされたホウオウビスケッツはその影響で掛かってしまいリズムを崩してしまいます。そのままデシエルトは大逃げとなり、1000mは57.5のハイペース。それをベラジオオペラは離れた4番手の内で冷静に追います。
直線でホウオウビスケッツと外のシックスペンスの間を突くと、残り200mで先に抜け出したホウオウビスケッツを交わして先頭。そのままじりじりと後続を突き放していきます。最後は外からロードデルレイが伸びてくるものの、1馬身差抑えて1着でゴールを駆け抜けました。
鞍上の横山和騎手は高々と左手をあげて、連覇を祝う歓声にこたえていました。
勝ちタイムは、従来の阪神芝2000mのレコードを1秒も更新する1.56.2の好タイム。デシエルトが速いペースで逃げたことが影響したとはいえ、すばらしいレコードタイムを記録しました。
実はこのタイム、同じロードカナロア産駒のアーモンドアイが2019年の天皇賞(秋)で記録したタイムとまったく同じ。こちらは当時の東京芝2000mのレコードタイムに0.1秒およばなかったものの、すばらしい記録でした。
これを見ると、中距離でも速い決着が得意というロードカナロア産駒の特徴が見えてくるように思えます。
また個人的には3着に入ったヨーホーレイクの健闘をたたえたいと思います。ヨーホーレイクは屈腱炎による長期休養もあり、7歳馬にして今回がまだ13戦目。大阪杯は6歳以上の成績が良くなく、G1になってから6歳以上は34頭参戦して、わずかに2017年のステファノス(牡6)が2着に入っただけでした。しかし今回初めて7歳馬として馬券内の3着に入ったのです。
いつも重賞でしぶとく上位に顔を出すイメージがあり、今回も押さえで買ったのですが、馬群の中を伸びてきて、ゴール直前で内のエコロヴァルツを交わしました。
かなり数が少なくなったディープインパクト産駒の1頭として、まだまだ活躍を期待したいと思います。
そして終わってみると、関東馬は5着のホウオウビスケッツが最先着と全滅に終わりました。シックスペンスは先行しながら7着、ステレンボッシュは終始後方のまま13着と期待に応えられませんでした。今後も大阪杯での関東馬の受難は続くのでしょうか。馬券的には明確な傾向が続くと、検討の手間が省けて楽ではあるのですが。とりあえず来年も覚えておいた方が良いでしょう。
連覇を果たしたベラジオオペラですが、上村調教師は暑さが苦手と気になることを言っていました。たしかに連対は気温が低い時期ばかりで、昨年の宝塚記念は差のある3着まで。こちらも覚えておいた方が良さそうです。
そして未明にはドバイワールドカップデーの一連のレースが行われました。その結果はある意味驚くものだったと思います。
まずはドバイワールドカップ。前走でサウジCを勝ったフォーエバーヤングが、海外のブックメーカーでも2倍を切るオッズと聞きましたが、JRAの発売でも単勝1.1倍と圧倒的な人気に支持されました。それはいったん突き放されたロマンチックウォリアーを、ゴール直前で差し切るという前走の勝ち方だけでなく、他の出走馬にそれほどの大物がいないということもあったでしょう。
好スタートを切ったフォーエバーヤングを坂井騎手が促し最初こそ3番手ぐらいにつけたものの、向こう正面ではややポジションを下げて5番手。3コーナー過ぎからは坂井騎手の手が動くものの、上がっていく気配が見えません。そのまま直線に入ると前の2頭が突き放し、さらにウィルソンテソーロにもかわされて4番手。そこからずるずると下がっていくかと心配しましたが、残り200mからようやく加速すると前との距離を徐々に詰めていきます。
しかし最後は内から交わされたヒットショー(米)に突き放され、前にいたミクスト(米)には追い付けず、3着に終わりました。
坂井騎手によると、道中は促してもなかなか進んでいかず、レース後は歩くのがやっとなぐらい疲れていたとのことなので、個人的には前走の厳しいレースの疲れが抜けていなかったのではと思います。慣れない環境で、中5週というローテーションでは、きつかったのではないでしょうか。
しかし大敗もあるかという感じの中で、盛り返して3着を確保したのは能力と気力のなせるものでしょう。これでケンタッキーダービー、BCクラシックに続く3回目の3着ですが、それ以外はすべて勝っており、すばらしい成績であることは間違いありません。
順調なら秋はBCクラシックをめざして渡米することになるでしょうが、まずは休んで疲れを取り、十分に英気を養って次に備えてほしいと思います。
そして快挙はドバイターフのソウルラッシュ。先に抜け出したロマンチックウォリアーを、サウジCのフォーエバーヤングのように追っていくと、並んだところがゴール。写真判定の結果、ハナ差交わしていました。
ロマンチックウォリアーもおそらく疲れがあったとは思いますが、昨年の安田記念の1/2馬身差を逆転したソウルラッシュの走りも見事でした。しかも勝ったことがなかった芝1800mでそれを成し遂げたのは称賛に価すると思います。
次走は安田記念を予定しているそうですが、昨年の最優秀マイラーとして凱旋勝利を期待したいと思います。
もう1頭はドバイシーマクラシックのダノンデサイル。直線鋭い脚で抜け出すと、後続を寄せ付けず1 1/4差の快勝でした。3歳時は不安定な面もあったのですが、古馬になってからはすばらしい末脚で連勝と、さすがダービー馬という貫録を見せています。
昨年の最優秀3歳牡馬として、今年は古馬中長距離戦線を引っ張っていく存在となることを期待しています。
最後に国内で発売は無かったのですが、UAEダービー(G2)でのアドマイヤデイトナの走りも見事でした。逃げて粘ると最後まで交わさせずにぎりぎり逃げ切りました。
今回出走した4頭中3頭の前走は東京ダート1600mのヒヤシンスSだったのですが、このレースを勝ったのがルクソールカフェ。先週の伏竜Sを5馬身差で圧勝してケンタッキーダービーの出走を確実にしており、順調ならアドマイヤデイトナと2頭で参戦することになるでしょう。
この2頭で、昨年のフォーエバーヤングの無念を晴らすことができるか、今年も注目です。