チューリップ賞、弥生賞が終わってクラシックの展望は

春のクラシックの有力な前哨戦であるチューリップ賞、弥生賞ディープインパクト記念が終わり、いよいよ有力馬が絞られてきました。とはいえ近年はトライアルから本番を制する例は少なく、調教技術の進化もあるのか、間隔をあけた馬が好走することが多いので、トライアルの分析はあまり意味がないようにも思えるのですが。

そこで牡牝にわけて、ここまで印象に残った馬について分析してみます。
まずは牝馬から。昨年桜花賞の1,2着馬はともに阪神JFからの直行だったように、同じ舞台で行われることもあって、やはり阪神JFは無視できません。昨年の勝ち馬アルマヴェローチェは桜花賞に直行することが発表されていますが、その阪神JFも札幌2歳Sから3か月ぶりで勝っているので4か月ぶりも問題ないでしょう。
勝ち方も中団から大外を一気に伸びて、1番の上りで1 1/4馬身差で勝つという見どころ十分な内容。当然桜花賞の有力候補となるだけでなく、距離伸びても期待できそうで、オークスまで視野に入ってくると思います。
ただし2着のビップデイジーがチューリップ賞で2.9倍の1番人気に支持されながら、1/2馬身差3着に負けたのが気になります。パドックでの様子もかなり良く、個人的には期待していたのですが、先行しながら差されてしまいました。とはいえ休み明けで着差は少なく、賞金的に余裕があるので本番を見据えた仕上げだったでしょうから、本番では十分に巻き返しが期待できるとは思います。

その他3歳牝馬重賞戦線で気になったのは2頭。
まずはフェアリーSを勝ったエリカエクスプレス。例年フェアリーS組はあまりクラシックで活躍するイメージがないのですが、エリカエクスプレスはやや掛かり気味に先行すると、4コーナーは馬なりで上がっていって、直線は後続を突き放し3馬身差で快勝。
時計が速い中山ですが、勝ちタイムの1.32.8は高レベルと言えます。しかも関西馬であり、桜花賞では注目の1頭となるでしょう。2戦とキャリアが少ないのは不安ですが、克服しても不思議はないと思わせる余裕のある勝ち方でした。

もう1頭はクイーンCを勝ったエンブロイダリー。好スタートから2番手で折り合うと、直線は余裕で抜け出し残り200mからは独走状態。2着に2 1/2馬身をつける快勝でした。勝ちタイムの1.32.2もかなり優秀です。
美浦の森一調教師は開業1年ですが、ルメール騎手とコンビを組むことが多く、信頼を勝ち得ているようです。ただしクイーンCを勝った関東馬は桜花賞では凡走するケースも多く、オークスの方が期待できるかもしれません。血統的にはマイル向きと思いますが。

トライアルのチューリップ賞は9番人気のクリノメイが勝ち、7番人気のウォーターガーベラが2着と荒れました。
クリノメイはデビュー2連勝ながら3戦目の阪神JFで14着と大敗。そこから巻き返した形ですが、阪神JFでは14番人気だったように2連勝もレベルが疑問視されていたわけで、あくまで伏兵の域を出ない印象です。
2着のウォーターガーベラは鋭い末脚で追い込んでハナ差2着の惜敗でしたが、今年すでに重賞を3走しており、さすがにもうおつりはないのではないかと思われます。

フィリーズRはショウナンザナドゥ(3番人気)が勝ちチェルヴィアット(14番人気)が2着。
ショウナンザナドゥはアルテミスS3着、阪神JF4着と好走はするもののなかなか勝てなかったのですが、後方から1番の上りで3/4馬身差で勝ちきりました。惜敗続きにピリオドを打ったのですが、逆に阪神JF組のレベルの高さを示したともいえるでしょう。

これらの結果からは、阪神JF上位組に加えて、気になる2頭のエリカエクスプレスとエンブロイダリーが桜花賞では中心になるのではというのが、個人的な見立てです。

次に牡馬ですが、こちらは東スポ杯2歳S、ホープフルSと連勝中のクロワデュノールが中心というのは、衆目が一致するところでしょう。皐月賞に直行するようなので、状態面が気になるところです。

東スポ杯は先行して、逃げたサトノシャイニングをつかまえるのにやや苦労して、3/4馬身差の辛勝。しかしそのサトノシャイニングが、きさらぎ賞を3馬身差で圧勝したことを見れば、レース自体のレベルの高さがうかがえます。
さらにホープフルSでは中団から早めに進出し、直線は鋭い末脚で抜け出して2馬身差で快勝。そこで3着だったファウストラーゼンが弥生賞を勝ったことで、こちらのレースの価値も高く評価することができるでしょう。

そこでクロワデュノールを負かす馬がいるか、いるとすればどの馬かということが、春の牡馬クラシックのテーマとなります。
ホープフルS2着のジョバンニは若葉Sに出走予定とのことですが、クロワデュノールより速い上りを記録していることもあり、早め先頭で粘るファウストラーゼン(ただし東京は厳しいでしょう)とともにその候補になるでしょう。

ほかには共同通信杯を勝ったマスカレードボールも気になります。ホープフルSは4番人気で11着と大敗してしまったのですが、アイビーSと東京芝1800mで2勝。中山はどうかとも思いますが、力があることは間違いないでしょう。

もちろんサトノシャイニングもかなり有力ですが、ほかには京都2歳Sを勝ったエリキングも気になります。先行すると、差してきたジョバンニを突き放し1 1/4馬身差で快勝。そのレースぶりはかなりインパクトがありました。
その後残念ながら骨折してしまい、皐月賞には直行ということで5か月ぶりがどうでしょう。さすがに勝つのは厳しいと思いますが、万全の体調で出走してくれば、好走してもおかしくないでしょう。

このようにクロワデュノールをめぐる戦いとなりますが、その牙城を崩すのは、なかなか大変かもしれません。付け入るスキがあるとすれば、休み明けというところでしょう。
ホープフルSからの直行で皐月賞を制したのは、サートゥルナーリアとコントレイルだけ。レイデオロ、キラーアビリティ、レガレイラは敗れているほか、イクイノックスも東スポ杯以来で2着に負けており、3歳初戦が皐月賞というのは、なかなかハードルが高いのが実情です。
近年は共同通信杯や京成杯からのローテーションが好成績なので、1,2月の重賞で好走した馬が逆転候補として挙げられるでしょう。

また上にあげた馬たちの多くは、すでにクロワデュノールと勝負付けが済んでいるともいえるので、案外未対戦の馬に足元をすくわれることがあるかもしれません。


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