クラシックの行方は見えたか? ~共同通信杯

この10年で5頭のクラシックホースと、それ以外に3頭のG1ホースを生み出している注目の共同通信杯が行われました。
今年は12頭の参戦でしたが、重賞勝ち馬は不在。そんな中でクラシックを占ううえで注目すべきは、以下の3頭だったでしょう。

まずは朝日杯FSでキャリア2戦目ながら3着に入ったレイベリング。そこで勝ったドルチェモアは評価が高いものの、NHKマイルCに進むことが発表されています。そこで接戦に持ち込んだレイベリングがどんなレースを見せるかで、朝日杯FS組2着のダノンタッチダウンあたりの力量も見えてくると思われます。
次にホープフルSで2番人気ながら4着に敗れたファントムシーフ。ホープフルSは東スポ杯で4着に敗れたドゥラエレーデが勝ったことでレベルが疑問視されていますが、そこで人気になったファントムシーフが勝てば、ホープフルSの評価も見直す必要があるでしょう。
そしてもう1頭が東スポ杯で2番人気に支持され、ドゥラエレーデには先着したもののクビ差2着に敗れたダノンザタイガー。馬っぷりがよく、国枝師悲願のダービー獲得なるか注目されていますが、ここで勝てば東スポ杯を勝ったガストリックともども、一気にクラシックの有力馬に浮上してくると思われます。

そのほかに注目されたのは、新馬戦でいずれもムーア騎手が乗って快勝した、1戦1勝馬のタッチウッドとタスティエーラ。特にタスティエーラは同じ東京芝1800mを3 1/2馬身差で快勝したこともあり、一時は1番人気に支持されました。

期待感をもってパドックを見たのですが、そこで目についたのは3頭でした。
まずはダノンザタイガー。落ち着いてゆったりとした歩様で歩いており、トモの踏み込みは深く、馬体の良さも目につきます。
次にタッチウッド。2戦目とは思えない落ち着き具合で、集中してしっかり歩いており、毛ヅヤの良さも目立ちます。すぐ後ろを同じ2戦目のタスティエーラが歩いていたのですが、こちらはやや落ち着きがなく若駒らしい振る舞いで、人気はこちらですが、見た目ではタッチウッドの方が良いと感じました。
そしてファントムシーフ。共同通信杯は前走重賞組の成績が良くないこともあり、検討段階ではやや軽視していたのですが、素軽く元気な歩様でクビを使ってキビキビと歩き、トモの踏み込みも良く、印象度では一番よく感じられました。

【ファントムシーフ】元気でキビキビした動きは好印象でした

対して期待していたレイベリングは、気合乗りよいものの、トモの送りは浅めで全体の印象度は今一つでした。

レースはタッチウッドがスタートのタイミングがあわずやや出遅れたものの、すぐに馬群に追いつくと、じわじわと前に行って400mすぎに先頭に立ったファントムシーフを、一気に交わして逃げる形になります。タッチウッドはやや行きたがっているように見えたものの、バシュロ騎手は先頭に立つとすぐになだめてペースを落ち着かせます。1000mは1.00.4とやや遅めの流れに。
2頭でやや離し気味に4コーナーを回ると、タッチウッドが先に追い出し、いったんファントムシーフを突き放します。しかし直線でルメール騎手のファントムシーフはじわじわとタッチウッドとの差を詰めると、残り100mを過ぎて先頭に立ち、最後は1 1/4馬身差をつけて1着でゴール。
2着はタッチウッドが粘り、最後にダノンザタイガーとタスティエーラが差を詰めてきたものの、ダノンザタイガーはクビ差3着、さらにハナ差でタスティエーラが4着という結果になりました。

【ファントムシーフ】逃げたタッチウッドを残り100m過ぎにかわします

ファントムシーフは絶対的な強さは感じさせないものの、その安定したレースぶりは好印象を抱かせるものでした。ホープフルSはやや脚を余した感じもあったので、これが本来の姿なのでしょう。ただし今回は先行したこともあり、上りタイムは今一つ。力はあるものの、もうワンパンチほしい感じでした。
タッチウッドは勝負や賞金加算を考えて今回も逃げたのでしょうが、今後を考えると抑えるレースも見てみたいと思いました。直線でいったん突き放し粘るレースぶりも見所がありましたが、4コーナーでのコーナリングがスムーズさを欠くなど、まだ若さを随所に見せており、今後の成長に期待という感じです。
ダノンザタイガーはスローを後方から進め、直線で前が詰まるなどスムーズさを欠きながらも、1位タイの上りで3着まで来たことは評価できると思います。ただどうしても勝ちきれないので、もう一段の成長が必要という印象です。ただ血統的には距離伸びてよさそうなので、ダービーでは期待できるのではないでしょうか。
そして期待したレイベリングは、残念ながら後方のまま9着と惨敗。現状では一歩後退という感じでした。

共同通信杯の結果を受けても、今年の牡馬クラシック戦線が混戦というイメージは変わりませんでした。
ここまでで一番印象的な重賞の勝ち方をしたのは、京成杯のソールオリエンスだということは、衆目が一致するところだと思います。ただし京成杯は例年それほど多くのクラシックホースを輩出するレースではなく、そのレベルがどうかという疑問は残ります。
いよいよ来月からは弥生賞などのトライアルも始まりますが、中心馬不在のままでクラシックに突入しそうな雰囲気です。こうなると、最も展開に恵まれ、不利なく走れた馬がクラシックを制するということになりそうです。不利はともかく、展開を読むということ、そして体調面を見極めることが予想にあたっては大事になるでしょう。
前哨戦をしっかり分析し、パドックをよく見ることで、ぜひ勝ち馬をあぶりだしたいと思います。

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