ジャスタウェイって、いつの間に強くなったの? ~安田記念

今年の安田記念は、ジャスタウェイが単勝170円という圧倒的な支持に応えて、見事に優勝しました。これでG1 3勝を含む4連勝。しかもその中にはドバイデューティフリーの6 1/4馬身差圧勝もあり、そのために現時点で世界のレーティングで130ポンドと、日本馬として初の首位という快挙も成し遂げています。

そんなジャスタウェイには大変失礼な話ですが、パドックやスタンドでよく聞かれた会話が「ジャスタウェイって、いつの間にこんなに強くなったんだろうね。」というものでした。たしかに個人的なジャスタウェイの印象としては、重賞で好走はするんだけど、なかなか勝てないというのが、強かったと思います。
実際に昨年の天皇賞(秋)でも、毎日王冠で最速の上りで2着だったので注目はしていましたが、あくまでもジェンティルドンナの連下という位置づけでした。それがふたを開けてみると、ジェンティルドンナを4馬身突き放す圧勝。しかし、ジェンティルドンナが休み明けでやや掛かったこともあり、フロック的な見方もあったと思います。
そのためか、次走圧勝した中山記念でも2番人気。
ようやくドバイの快勝で、その強さを認識させられたというのが、本当のところではないでしょうか。

実際にジャスタウェイの戦績を見てみると、2歳では重賞は勝てなかったものの、年が明けてアーリントンCで重賞初制覇。その勢いでNHKマイルC、ダービーと挑戦するものの、6着、11着と歯が立ちませんでした。秋には毎日王冠で2着に好走するものの天皇賞(秋)は6着。結局3歳終わりの時点で2勝馬で重賞1勝という、G1出走馬の中ではかなり地味な成績でした。
4歳になっても勝てず、エプソムC、関屋記念、毎日王冠と重賞で3戦連続2着を記録。この時点で「勝ちきれない馬」という印象が、ほぼ決まったと思います。しかしその次の天皇賞(秋)から快進撃が始まり、今や世界No.1にまで登りつめ、今日の凱旋優勝となりました。

近年強い馬というのは、ほぼみんな3歳の早い時期から活躍する馬が多く、古馬になってから急に強くなる馬というのは、あまり記憶にありません。
クラシックに無縁だった強い馬というと、最近ではロードカナロアが思い浮かびます。しかしそもそも距離適性からクラシックを目指さなかっただけで、すでに3歳春の時点でOPを含む3勝をあげ、かつ5戦すべて連対という状況だったので、古馬になって急に強くなったわけではありません。
その前となると、かなりさかのぼりますがサクラローレルが比較的近いでしょうか。サクラローレルは3歳の1994年に青葉賞3着、セントライト記念8着で結局クラシック出走はかなわず。明けて中山金杯で重賞初制覇を飾ると、中山記念から天皇賞(春)と連勝します。その年は有馬記念も勝って、年度代表馬に選ばれました。
こうしてみると、ジャスタウェイは実に20年に1頭の奇才と言えるかもしれません。

ジャスタウェイの父ハーツクライはダービー2着はあるものの、活躍したのは古馬になってからという印象が強く、実際に初G1制覇は、ディープインパクトを破った4歳の有馬記念でした。その古馬になってから成長する性質は産駒にも受け継がれているようで、ジャスタウェイの他にもウインバリアシオン、アドマイヤラクティなど息長く活躍しているイメージがあります。
しかし今年はオークスのヌーヴォレコルト、ダービーのワンアンドオンリーと2頭のクラシック馬を誕生させ、ちょっと潮目が変わってきた印象もあります。これらの馬が古馬になってさらに成長したら、ジャスタウェイに続く世界的な活躍も夢ではありません。
今後のハーツクライ産駒の動向からは、目が離せませんね。

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