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2015年11月29日

なぜか牝馬が強いG1 ~ジャパンカップ

G1がある日の競馬場では、「G1データマスター」というさまざまなデータを紹介する短い番組が時々ターフビジョンで流れるのですが、今日その中の一つに牝馬の成績がよいというのがありました。実際に秋に行われる中長距離G1で見ても、天皇賞(秋)や有馬記念に比べて、牝馬の勝利数や勝率、連対率が高いのです。

ジャパンカップといえば現在は国内最高賞金を誇る、いわば最高峰のG1ともいえるのですが、その歴史を見てみると、意外と牝馬にかかわるトピックスが多いことに気が付きます。

まず記念すべき第1回(1981年)の勝ち馬は、アメリカの6歳(現5歳)牝馬メアジードーツでした。競馬の国際化をにらんで創設されたジャパンカップですが、競馬後進国日本で開催されるということで、当然トップクラスの出走はなく、盛りを過ぎた馬や実績に欠ける馬をなんとか集めたというのが実態だったそうです。
そのレースで、当時G2までの勝ちしかなくパドックでは牛のようだと笑った牝馬に、レコードを1秒も更新されたのは、関係者には相当なショックだったでしょう。

さらに、ひどいコズミで来日以来1度も時計を出さず、その代わりに日夜厩舎周りをひたすら歩かせて筋肉をほぐし、それだけで勝ってしまった第3回(1983年)のスタネーラ(アイルランド 6歳[現5歳])。
早めのペースを先行し、最後の直線はオグリキャップと壮絶な叩き合いの末に、当時の芝2400m世界レコードで勝った第9回(1989年)のホーリックス(ニュージーランド 7歳[現6歳])。

ところが日本の牝馬は第7回(1987年)にダイナアクトレス(5歳[現4歳])が3着、ヒシアマゾンが第15回(1995年)、ファビラスラフィンが第16回(1996年)、エアグルーヴが第17回(1997年)、第18回(1998年)と4年連続2着に入ったものの、勝利は遠いものでした。

その長い未勝利の歴史にピリオドを打ったのが、第29回(2009年)のウオッカでした。ダービーや天皇賞(秋)、安田記念で牡馬を打ち破ってG1を勝ったものの、JCは3歳は4着、4歳は3着と勝てず。しかしついに5歳でルメール騎手を背に1番人気に応えたのです。

それからは堰を切ったように日本の牝馬の活躍が続きます。翌2010年の第30回はブエナビスタが抜け出して1位入線したものの2着に降着。しかし第31回(2011年)は見事に雪辱を果たします。さらに第32回(2012年)はジェンティルドンナがオルフェーヴルとの叩き合いを制して勝つと、第33回(2013年)は連覇に成功。
そして今年、記念すべき35回はショウナンパンドラが後方から鋭い末脚を発揮して差し切り勝ち。過去10年で5頭目(実質6頭目)の日本牝馬の優勝となりました。

その活躍の理由はいろいろあるのでしょうが、個人的には牝馬の切れが生きる舞台というのが、大きいような気がします。ディープインパクト産駒の活躍が目立つのも、そういう理由からではないでしょうか。
ジャパンカップは鋭い末脚の牝馬を狙えというのが、しばらく続くような気がします。

2015年11月23日

驚くべき強さでした ~マイルCS

モーリスが出走メンバーで一番力があるのはわかっていましたが、やはり半年ぶりが大きな不安でした。これで勝ったら怪物だと思っていたのですが、まさに怪物並みのパフォーマンスを見せてくれたのではないでしょうか。

モーリスに驚かされたのは、今春のダービー卿CTでした。後方から一気に抜け出すと、あとは差が開く一方でメンバー一番の上り33.0で3 1/2馬身差の圧勝。新馬戦ならともかく、実力馬が集まった重賞であれだけの力差を見せる勝ち方は、ほとんど見たことがありません。かなりショッキングな情景だったのですが、逆に鮮やかすぎて、ハンデ戦で斤量差があったこともあり、さすがにG1で同じことは難しいだろうと安田記念では狙いを下げてしまいました。
しかしそんな浅はかな考えをあざ笑うような鮮やかな優勝。着差こそクビ差でしたが、やや掛かりながらも後方から追い込んできたヴァンセンヌに交わさせず、着差以上の強さを感じさせました。

これでマイルの頂点を極めたと思ったのですが、秋はやや順調さを欠き、初戦に予定していた毎日王冠を回避。体調が整わないような厩舎コメントもあり、不安をかきたてられました。そして32回のマイルCSの歴史の中で、一度も優勝馬が出ていない安田記念以来の半年ぶりというローテーション。
最終的に5.7倍の4番人気という評価になったのですが、それも致し方ないでしょう。

レースではモーリスは好スタートを切るも中団の外に下げ、折り合って進みます。4コーナー手前から追い出されると、直線は外から差を詰めて一気に先頭に立つと、後続を寄せ付けず、メンバー2位タイの上り33.1で1 1/4馬身差の圧勝。春秋のマイルG1を制して、マイル王に輝きました。

実は堀厩舎のG1での長期休み明けというと、天皇賞(秋)にダービー以来で出走したサトノクラウンが思い出されるのですが、この時は好位を進みながら直線は失速して17着大敗。春の面影はまったく感じられない負け方でした。
これがややトラウマになってもいたのですが、モーリスは見事に立て直しました。これは調教師および厩舎の名声をさらに高めるでしょう。11/15終了時点で44勝と東西を通した調教師成績1位で、G1もドゥラメンテとモーリスで4勝。これは池江厩舎の43勝と4勝とほぼ同じです。
G1ではラブリーデイとミッキークイーンを抱える池江厩舎がかなり有利ではありますが、西高東低の中央競馬において、関東を盛り上げるためにも堀厩舎にはがんばってもらいたいものです。
モーリスの次走は香港らしいですが、世界にもその力をぜひ見せて欲しいと思います。

2015年11月15日

血統の勢い? ~エリザベス女王杯

エリザベス女王杯は、6番人気のマリアライトが中団外から早めに抜け出すと、ヌーヴォレコルト、タッチングスピーチなどを抑えて、初重賞制覇をG1の舞台で飾りました。いろいろ気になることはあるのですが、その一つは血の勢いでしょうか。
マリアライトは父ディープインパクト、母クリソプレーズ、母父エルコンドルパサーという血統で、父ディープインパクトは最も勢いのある種牡馬であるのは間違いないのですが、注目は同じ母を持つ兄弟です。

1つ上の兄クリソライトは父ゴールドアリュールということでダートで走っているのですが、デビューから9戦連続連対でその9戦目にG1ジャパンダートダービーを制覇。G2ダイオライト記念などの交流重賞を勝ち、今年の帝王賞でも2着に入るなど、ダートの第一線で活躍しています。
1つ下の弟リアファルは父ゼンノロブロイで、最初はダートで活躍しG2兵庫チャンピオンシップ2着にも入ったのですが、芝に転向すると準OPをいきなり勝ちます。そして神戸新聞杯を逃げ切って連勝すると、菊花賞は1番人気で見せ場たっぷりの3着。

2頭の兄弟のG1での活躍を横目に、ディープインパクト産駒のマリアライトはさぞ肩身の狭い思いをしていたのではないかと思います。まあ馬自身というよりも、厩舎スタッフのプレッシャーが想像以上だったでしょう。
兄弟はいずれも栗東の音無厩舎に所属していますが、マリアライトは美浦の久保田厩舎。兄弟に比べると父ディープインパクトということで期待も大きかったでしょうし、このまま活躍できなければ厩舎の力を問われる事態になりかねません。その意味では、この1勝は喜びはもちろんですが、安堵も大きかったのではないでしょうか。

これで3兄弟そろい踏みとなり、あらためて血の勢いを感じたのですが、逆のことが2着に敗れたヌーヴォレコルトに言えると思います。
去年の秋華賞の時にも書いたのですが、ハーツクライ産駒の京都重賞での勝負弱さです。昨年の京都2歳Sをベルラップが勝って、ようやくハーツクライ産駒の京都芝重賞2勝目をあげたのですが、東京10勝、阪神5勝などと比べるとあきらかに差があります。
そのため個人的にはヌーヴォレコルト中心に予想していたのですが、2着の可能性が大きいと思っていたところ、案の定の結果となりました。

血統は競馬予想の大きなファクターの一つですが、個人的にはあくまで参考程度のレベルと思っています。しかし時には今回のように逃れられない血の宿命というかジンクスのようなものもあり、それは意外と当たることが多いような気がします。