« 2014年04月 | メイン | 2014年06月 »

2014年05月25日

届くか届かないかは天地ほどの違い ~オークス

今日のオークスは、桜花賞3着で単勝2番人気に支持されたヌーヴォレコルトが、中団から抜け出してハープスターの追撃をクビ差抑えて、初重賞制覇をクラシックの舞台で実現しました。

2着に敗れたハープスターは、桜花賞までで5戦4勝。唯一の敗戦は阪神JFで道中やや詰まり、レッドリヴェールをハナ差とらえなかっただけで、そのレッドリヴェールがダービー参戦で不在となったため、事実上の1強と見なされ、単勝1.3倍の圧倒的な1番人気に支持されていました。
ただしその脚質は最後方からの追い込みという極端なもの。桜花賞も4コーナー最後方から極限の上り32.9で追い込み、レッドリヴェールにクビ差の辛勝でした。

ここ2週のG1(NHKマイルC、ヴィクトリアマイル)がいずれも逃げ切り勝ちで終わったように、今の東京芝は先行有利の状況と言われており、それはハープスターの川田騎手もよくわかっていたと思います。そこで、はたしてハープスターはどんな戦法をとるのかが焦点でした。
ハープスターの良さを発揮するためには、今まで通り最後方から追い込むのがよいのですが、それでは届かない危険があります。とはいえ中途半端に前に行くと、馬がとまどったり気分を損ねたりして、末脚が不発に終わる危険もあります。

レースでは、ハープスターはスタートしてすぐに抑えたものの、最後方までは下げずに後ろから4番手ぐらいで向こう正面に入ります。しかし3コーナーで他馬が動き出しても反応せず、4コーナーは後ろから2番手で回り、すぐに外に出して追撃を開始。
ところが、前を行くニシノアカツキが外にはじかれると、それに驚いたように一瞬外によれ、そこから1頭だけ離れた外を猛然と追い込みます。

対するヌーヴォレコルトは桜花賞でハープスターに1馬身差の3着。チューリップ賞では2 1/2馬身差の完敗でしたから、ずいぶん差を詰めました。とはいえ、上りは約1秒も遅く、それもあって今日は2番人気とはいえ9.8倍とかなり離れた評価でした。
ヌーヴォレコルトの岩田騎手とすれば、ハープスターよりも早めにスパートして、ゴールまで抜かせないという戦法しかなく、実際にそのような形となりました。中団でレースを進めると、馬場の真ん中をじりじりと進出し、残り200mで満を持して抜け出すと、猛然とゴールを目指します。

先に抜け出したヌーヴォレコルトに外から猛然とハープスターが襲いかかりますが、その末脚の差は桜花賞ほどはありません。ハープスターはじりじり伸びるものの、結局ゴールまで交わすことはできませんでした。

追い込みで勝った騎手のインタビューでは、ここで追い出せば勝てると確信を持っているわけではなく、結果として交わすことができたという話をよく聞きます。どんな優れた騎手でも、ゴールからの距離を逆算して追い出すのではなく、あくまでも感覚で追い出すのでしょう。
その結果としてハナ差でも交わせば賞賛され、交わせなければ非難を受けるということなのだと思います。

たとえば2009年のオークスで、ブエナビスタはハナ差とはいえ勝ったので、安藤勝騎手は賞賛を一身に受けましたが、あれが負けていたら後ろから行き過ぎたとか、いろいろ批判を受けたと思います。
おそらく今回の川田騎手も、いろいろ言われるでしょう。もう少し前に行った方がよかったとか、最初から不利を受けないような大外に出した方がよかったとか、あるいは思い切って最後方から行った方がよかったのではとか・・・。
ただし、正解は誰にもわかりませんし、結果として交わせなかったために、いろいろ言われてしまうのだと思います。そういう意味では、届くか届かないかはある意味運ですが、その結果は天と地ほども違い、つくづく騎手とは因果な商売だなとも思います。

ハープスターの今後のローテーションはまだわかりませんが、決定的な負けというわけではなく、悲観するような内容でもないと思いますので、秋には元気にまた大きなところを目指してほしいと思います。

2014年05月18日

ジンクスが多いG1? ~ヴィクトリアマイル

今年のヴィクトリアMは、大方の予想を裏切って、11番人気のヴィルシーナが逃げ切って連覇を達成するという結果になりました。

このヴィクトリアMは今年で9回目と歴史の浅いG1ですが、その中でいろいろなジンクスがささやかれるようになりました。その中の1つ「連覇がない」というのがあったのですが、今回あっさりと覆されました。これはウオッカ、ブエナビスタ、アパパネなどの名牝でさえ成し遂げられなかったので、結構続くのではないかと思っていたのですが、意外な形で終わりました。
しかし、新たなジンクスが生まれたようにも思います。では、気づいたものをいくつかあげてみましょう。

1.6歳以上の連対なし
9回目の今年を含めて、のべ31頭の6歳以上の馬が挑戦しましたが、6歳馬2頭の3着が最高で、いまだに連対した馬はいません。ほとんどは人気薄だったのは事実ですが、1桁人気に支持された馬は、今年のホエールキャプチャを含めて9頭います。
そのうち特に人気が高かったのは、2007年のスイープトウショウ(6歳、2番人気)、ジョリーダンス(6歳、5番人気)、2009年のカワカミプリンセス(6歳、2番人気)、2012年のフミノイマージン(6歳、5番人気)、そして今年のホエールキャプチャ(6歳、2番人気)です。しかしこの中で最高着順は、今年のホエールキャプチャの4着。
このメンバーを見ると、やはり偶然ではなくジンクスと言えるのではないでしょうか。

2.前走1着馬の連対は稀
今年も含めて9回の連対馬のべ18頭の前走着順を見ると、1着だった馬は2008年の1着馬エイジアンウインズ(阪神牝S 1着)と2009年の2着馬ブラボーデイジー(福島牝S 1着)のわずか2頭。他のG1レースを調べてはいませんが、これは極端に少ないのではないかと思います。

3.「牝馬は格でなく調子」は通じない
これは2.と相通じるものですが、昨年のホエールキャプチャ、今年のヴィルシーナと、前年勝ったのを最後にずっと不調が続いていた馬が、このレースで劇的に復活するシーンを見ると、このレースに限っては「牝馬は調子よりも格」と言いたくなります。それは今年2着のメイショウマンボにも言えるかもしれません。

4.前走は3月以降に出走が必須
これは3着までに広げても過去9回の全馬にあてはまり、前走が2月以前の馬は1頭も3着以内にきたことがありません。
今年のホエールキャプチャは、1,2に続いてこのジンクスにも当てはまってしまい、いわば三重苦という感じでした。その中で4着にきたのは、立派だったと言えるかもしれません。

これらのジンクスについて、それなりに理由をつけることは可能かもしれません。しかし実績のある強い馬も逆らえなかった事実を見ると、理由はともかく信じるしかないのかもしれません。
とりあえず馬券検討に大いに参考になるジンクスでもあるので、来年はこれを全面的に援用すると、意外と高額配当にありつける可能性もあります。
とはいえ、連覇がないというジンクスのように、あっけなく終わるものもあるかもしれませんが。

2014年05月11日

なぜこんなに荒れる? ~NHKマイルC

今年のNHKマイルCは、1着こそ圧倒的な1番人気のミッキーアイルが逃げ切ったものの、2着はブービー17番人気のタガノブルグ、3着は12番人気のキングズオブザサンが入り、馬連・馬単は万馬券、3連単は60万円超えと昨年ほどではないにしても、荒れた結果となりました。
NHKマイルCは、昨年までの10年で馬連万馬券は4回、3連単は4桁が1回あるものの、10万円超えは6回(うち100万円超えは3回)とかなりの荒れ模様。10番人気が2勝、2着1回に、17番人気が1勝と、数あるG1の中でも、かなり荒れるレースといえるのではないでしょうか。

では、なぜこんなに荒れるのでしょう。ちょっと思いつく理由をあげてみました。
(1)さまざまな過程を経て出走してくるので力関係が把握しづらい
(2)脚質が確定していなかったり掛かる馬もいて展開が読みづらい
(3)安田記念を見てもわかるように、そもそも東京の芝1600mは荒れやすい

(1)さまざまな過程を経て出走してくるので力関係が把握しづらい
これがもっとも大きな理由のような気がします。短距離から距離を伸ばしてきた馬や、クラシックを目指していながら距離に限界を感じて路線を変えてきた馬、それも牡馬だけでなく牝馬も混じると、さらに力関係がわかりにくくなります。
さらに3歳の春ぐらいだと、距離適性よりも絶対能力の差の方が、結果に与える影響が大きいのではないかと思います。そのため、短距離が得意な馬や、逆に2000m以上に適性がある馬でも、マイルをこなしてしまうことはよくあります。これらも予想を外す大きな要因となるのではないでしょうか。

(2)脚質が確定していなかったり掛かる馬もいて展開が読みづらい
今年は人気のミッキーアイルが逃げ馬ということで展開のカギを握っていましたが、同じ逃げ脚質のダンツキャンサーがからめばペースが上がる可能性がありました。しかし結果としてミッキーアイルのマイペースの一人旅になったことで、ギリギリ逃げ切ることができたと言えるのではないでしょうか。
またその影響か、サトノルパンなどは掛かってしまい、4番人気ながら9着と期待に応えられませんでした。

(3)安田記念を見てもわかるように、そもそも東京の芝1600mは荒れやすい
よく言われるのが、東京のマイルは最後の直線が長く坂もあるので、普通のマイル以上のスタミナが要求されるということです。そのため、短距離しか実績のない馬には厳しく、1800m以上に実績のある馬が有利とされています。
実際にその傾向があるのは確かですが、それにこだわりすぎると、短距離実績しかない馬を買い逃したり、スタミナはあるがスピードのない馬に乗ってしまって外すということになります。こんなはずじゃないのにと思う経験をしたことは、よくあるのではないでしょうか。
よく東京は実力が出やすいコースといわれますが、マイルは上記のようなことから、難しいイメージがあります。

とはいえ、NHKマイルCでは過去10年で1番人気が5勝しており、キングカメハメハやディープスカイのように、その後にダービーを勝つような力のある馬は、ちゃんと人気に応えて快勝しています。他にもグランプリボスやカレンブラックヒルなど、その後も活躍するような強い馬も人気で勝っており、力が抜けている馬がいれば、固く収まるわけです。
そういう意味では、1番人気に応えて一見辛勝とはいえきちんと勝ちきったミッキーアイルは、今後の活躍が大いに期待できるのではないでしょうか。

2014年05月04日

なぜ1番人気が勝てないのか ~天皇賞(春)

今年の天皇賞(春)は、4番人気のフェノーメノが中団から抜け出し、クビ差で連覇を飾りました。鞍上の蛯名騎手は連覇だけでなく、皐月賞に続いてG1連勝。しかも関東馬による連勝ということで、さぞかし喜ばれていることでしょう。おめでとうございます。

フェノーメノは昨年の天皇賞(春)を勝った後、宝塚記念は4着となり、そのあとは怪我で約9か月の休養。
休み明けの日経賞は先行したものの伸びきれずに5着に敗退。昨年の出来にはないのではということで、単勝11.5倍の4番人気という評価になっていました。3強あるいは4強対決と言われながら、1頭だけ単勝2桁となり、不安が大きいと思われたのでしょう。
レースではフェノーメノは中団の内を追走し、向う正面から徐々に順位を上げ、直線に入ると馬場中央から抜け出し、後方からレースを進めたウインバリアシオンやホッコーブレーヴ、キズナの追い込みをクビ~1馬身差で封じました。昨年ほどの強さは感じさせなかったものの、距離や馬場適性を感じさせるレースぶりで、この条件での強さを印象付けました。

そしてもう一つ大きく関心を引いたのは、今年こそ1番人気が勝てるかということだったのではないでしょうか。
かつては固いG1と言われた天皇賞(春)ですが、2003年に7番人気のヒシミラクルが勝ったころから荒れるG1となり、過去10年で1番人気は2006年のディープインパクトが勝っただけの1・0・1・8。特にここ2年は1.3倍の圧倒的1番人気に押されたオルフェーヴル、ゴールドシップが11着、5着に敗れ、ジンクスになってきた感があります。
そして今年も1.7倍と圧倒的な1番人気に支持されたキズナが4着に敗れ、1番人気8連敗。そしてなんと1倍台の馬が3年連続3着にも入れないという事態になってしまいました。

その理由をいろいろ考えてみたのですが、毎年それぞれ原因は異なるようで、これというものは思い浮かびません。しかし1つ言えるのは、この時期の京都は馬場が良く前が止まりにくいので、追い込み脚質の馬は届かないことが多いということです。
過去10年の連対馬の4コーナーでの位置取りを見てみると、もっとも後ろの馬でも8番手で、少なくとも真ん中より前にいないと連対できないという傾向がうかがえます。
ただしそれを意識しすぎると、昨年のゴールドシップのように早めに進出したものの直線では伸び切れずということになる危険もあります。

今年1番人気になったキズナは、鞍上が天皇賞(春)6勝の武豊騎手なので、そのあたりは百も承知でしょうから、どう乗るのか非常に興味を持って見ました。もしかして少し前目につけるかと思ったのですが、始まってみると後ろから2番手という定位置でレースを進め、3コーナーでも動きません。
3コーナー過ぎから先に動いたウインバリアシオンについて上がっていきますが、4コーナーでも中団やや後ろの外。そこからメンバー1位タイの上り34.0で追い込んできますが、結局1馬身ほど届かず4着。

調教師も騎手も明確な敗因は計りかねているようですが、上りが1位とはいえ伸びきれなかったのは、適距離ではないという解釈もできるでしょう。また位置取りが後ろ過ぎたということも言えると思います。ただし着差はかなり詰めており、やはり能力があることは示したと思います。
キズナの次走は宝塚記念になるようですが、そこには今日の上位馬に加えて、ドバイで勝ったジェンティルドンナやジャスタウェイも出走する予定だとか。
もし全馬が揃えば、まさにドリームレースにふさわしい顔ぶれとなります。今からとても楽しみです。