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2011年05月29日

不良馬場で上がり34秒台とは ~日本ダービー

今日の日本ダービーは、オルフェーヴルが1番人気に応えて、すばらしい末脚で2冠を達成しました。

道中は中団の後方を折り合って追走し、4コーナーでは外に出します。そこで外のナカヤマナイトと内のサダムパテックの狭い間隙に突っ込むも、体を寄せてきた2頭に挟まれて、一旦は完全に行き場を失ったように見えました。
しかしそれをこじ開けるように抜け出すと、皐月賞と同じように一気に伸びて、あっという間に先頭に踊り出ます。そこに後ろから追い込んできたウインバリアシオンが迫りますが、1馬身半ほどの差はつまらず、最後はやや突き放すような形でゴール。勝ちタイムは2.30.5でした。
オルフェーヴルとウインバリアシオンの着差は1馬身3/4でしたが、そこから3着は7馬身も離しました。

それもそのはず、この2頭の上がりは不良にもかかわらず、なんと34.8と34.7。この2頭以外はすべて36秒以上かかっているので、これだけ離れてしまうのも仕方ないでしょう。
さらに1つ前に行われた芝1800m準オープンのむらさき賞でも、最速は54kgと軽量の牡4歳カネトシパサージュの34.9。わずか0.1秒しか違いませんが、距離(芝2400m),負担重量(2頭は57kg),年齢(大きく成長するのは3歳秋以降)を考えると、2頭の上がりは出色の時計だと思います。
さらに同じ不良で行われた2年前のダービーでのロジユニヴァースの勝ちタイム2.33.7、上がり39.2と比べても、優秀であることはよくわかります。

これで2006年のメイショウサムソン以来の2冠馬となり、いよいよ秋には史上7頭目の3冠馬に挑むことになります。しかし不良の芝2400mを走ったダメージが、ちょっと心配です。
実際に2年前のダービー馬ロジユニヴァースは、ダービー後に復帰まで10ヶ月かかり、しかも調子が戻らず未勝利のままですし、2着のリーチザクラウンも昨年春にマイラーズCは勝ったものの、3歳時の期待ほどの活躍はできていません。
オルフェーヴルと他の馬たちには、ゆっくりと休んでもらって、また秋には元気な姿を見せてもらいたいものです。

オルフェーヴル
オルフェーヴル 大雨の中でよくがんばりました。しかしすごい末脚でしたね。

2011年05月22日

完成度重視かスタミナ重視か ~オークス

3歳牝馬には過酷といわれる芝2400mのオークスでは、完成度を重視するか、それともスタミナを重視するか、予想に際しては意見が分かれると思います。

最近(個人的な?)の傾向としては、3歳春は距離適性よりも完成度が結果に大きく影響する、つまり桜花賞の成績がそのままオークスに当てはまるという意見が優勢のような気がします。実際に昨年のアパパネなどは母系がスプリンター色が強いといわれながら、1番人気に支持され、それに応えて優勝しました。
またこの10年で桜花賞組が連対しなかった年は、2001年の1回のみで、逆に桜花賞組のみが連対したのが過半数の6回ということも、この考え方を支えていたと思います。
そして今年もその説に乗って(?)、桜花賞で連対したマルセリーナ(単勝2.2倍)、ホエールキャプチャ(単勝3.0倍)が抜けて支持を集めました。

しかしレースは、逃げたピュアブリーゼ(フローラS3着)をエリンコート(忘れな草賞1着)が差して1,2着。最速の上がりで差してくるもハナ差届かなかったホエールキャプチャが3着、前がなかなか開かず脚を余した感じのマルセリーナが4着と、10年ぶりに桜花賞組が連対しないオークスとなりました。

その原因としては、直前に激しく降りだした雨によって、人気2頭の切れる末脚が封じられたというのもあるでしょうが、早めのペースによってスタミナ勝負になったというのもあるかもしれません。実際に過去10年を見ると、2.26.5を切るタイムで決着している年は、4回中3回で桜花賞以外の路線からの馬が連対しているのに対して、それより遅い年は6回中5回で桜花賞組が連対を独占しています。

あとはやはり、傾向は忘れた頃に変わるということかもしれません。実際に昨年は同着とはいえ、フローラSから10年ぶりにオークス馬が誕生しているわけですから。それを転機に傾向が変わったということも考えられます。
さて、来年はどうなるのでしょう。ちょっと気が早いですかね。

エリンコート
エリンコートと後藤騎手 初めてG1を勝った安田記念では号泣していた後藤騎手も余裕でした

2011年05月15日

金子真人オーナーのJRA G1は何勝目? ~ヴィクトリアM

G1で2強対決といわれる場合は、だいたいどちらかが崩れて、その2頭で決まることは極めて稀だと思うのですが、その稀有なケースが今日のヴィクトリアMで実現しました。

単勝1.5倍と圧倒的な1番人気に支持されたブエナビスタに対して、昨年の牝馬3冠馬のアパパネは4.1倍の2番人気。
レースは、ハイペースに流れる中団の外をアパパネが追走し、それをマークするように2馬身ほど後ろにブエナビスタが続きます。そして直線で先行するレディアルバローザを追って先に抜け出したアパパネに対して、坂下までは2馬身ほどの差が詰まらなかったブエナビスタですが、坂を上ってゴール前で一気にクビ差まで詰めます。しかしアパパネはブエナビスタを堂々と振り切って、秋華賞以来のG1奪取となりました。

これでアパパネは、牝馬としては史上最速でのG1 5勝目となり、G1の数でもブエナビスタと並びました。しかしすごいのは、オーナーの金子真人氏(現在の名義は金子真人ホールディングス)。牡馬と牝馬の3冠馬を史上初めて所有したというだけでもすごいのに、さらに他にもG1勝ち馬がキラ星のごとく並びます。
表彰式では、これでJRAのG1は23勝目と紹介されたのですが、何があるのかちょっと調べてみました。

1999年 スプリンターズS ブラックホーク
2001年 NHKマイルC クロフネ
2001年 安田記念 ブラックホーク
2001年 エリザベス女王杯 トゥザヴィクトリー
2001年 JCダート クロフネ
2004年 NHKマイルC キングカメハメハ
2004年 日本ダービー キングカメハメハ
2005年 皐月賞 ディープインパクト
2005年 日本ダービー ディープインパクト
2005年 菊花賞 ディープインパクト
2005年 JCダート カネヒキリ
2006年 フェブラリーS カネヒキリ
2006年 天皇賞(春) ディープインパクト
2006年 宝塚記念 ディープインパクト
2006年 ジャパンカップ ディープインパクト
2006年 有馬記念 ディープインパクト
2007年 NHKマイルC ピンクカメオ
2008年 JCダート カネヒキリ
2009年 阪神JF アパパネ
2010年 桜花賞 アパパネ
2010年 オークス アパパネ
2010年 秋華賞 アパパネ
2011年 ヴィクトリアM アパパネ

この7年は、毎年G1を勝っていることがわかります。すごい馬主運ですね。これで気になるのが、あといくつ勝っていないG1が残っているのかということです。
JRAの平地G1は現在22あるのですが、そのうち金子オーナーが勝っていないのは、高松宮記念、天皇賞(秋)、マイルCS、朝日杯FSのわずか4つ。よく武豊騎手が勝っていないG1として、マイルCSと朝日杯FSがあげられますが、毎年のように有力馬に乗るトップジョッキーとは異なり、自分で買って預託した馬で勝つのだから、その運たるや、すごいものです。
ちなみに武豊騎手と、マイルCS、朝日杯FSが共通しているのが、興味深いところでもあります。

天皇賞(秋)とマイルCSは、ダイワメジャーのような強い中距離馬であれば連勝も可能ですし、案外この秋にアパパネが両方を制してしまうかもしれません。ただ、残る朝日杯FSと高松宮記念は、なかなか難しいかもしれません。
後者はブラックホークの2着があったので、勝っていればという感じですが。

もし達成できればまさに空前絶後の記録だと思いますが、今日の勝利でまた1歩近づいたわけですから、ぜひ期待したいと思います。

アパパネ
パドックでは元気で調子が良さそうでした

アパパネ
見事な勝利です

2011年05月08日

種牡馬の適距離とは ~NHKマイルC

NHKマイルCは、グランプリボスが力強く抜け出して、1番人気に応えて優勝しました。
私もそうだったのですが、グランプリボスに関しては、父サクラバクシンオーがかなり注目を集めたと思います。それは4/30にサクラバクシンオーが死亡したこともありますが、東京のマイルG1を産駒が勝てるかということが、大きかったように思います。

サクラバクシンオーといえば、スプリンターSを2連覇した名スプリンターでしたが、逆に言えばマイル以上ではほとんど活躍できませんでした。私もマイルCSでノースフライトとの1点にかなりつぎ込んで、あやうくサクラバクシンオーが3着に落ちかけて、肝を冷やした記憶があります。

産駒にもそのスプリント能力は受け継がれ、高松宮記念を制したショウナンカンプを始め、シーイズトウショウ、カノヤザクラ、ダッシャーゴーゴーなど、そうそうたるスプリンターが名を連ねます。しかしマイル以上では、ほとんど活躍した馬の記憶がありません。
実際に昨年のリーディングサイアを見てみると、サクラバクシンオー産駒の芝での平均勝ち距離は1,258.9m(73勝)。これはベスト10の中では最短で、産駒が5勝以上している種牡馬では唯一ボストンハーバーが1,200m(5勝)で下回るだけです。

このようにマイルG1ではほとんど活躍していないサクラバクシンオー産駒ですが、グランプリボスが朝日杯FSを制する前に唯一マイルG1で連対したのが、2003年のNHKマイルCで2着になったエイシンツルギザンでした。マイルのニュージーランドトロフィーを制した後に、5番人気でウインクリューガーの2着に入ったのです。

このように、3歳の春ぐらいまでは比較的適距離にも融通が利くような印象があります。実際に過去のNHKマイルC上位馬には、後にスプリント路線で活躍するファイングレイン、キンシャサノキセキ、ローレルゲレイロ、ジョーカプチーノなどもいますし、そうかと思えばダービーを制するタニノギムレット、キングカメハメハ、ディープスカイや、JCダートを圧勝するクロフネなどもいます。

それを考えると、マイルで強い勝ち方をしたといっても、グランプリボスの適距離がマイルなのかは、まだ決められないのではと思います。実際にエイシンツルギザンも最後の頃は1200mで活躍しましたし。

種牡馬といえば興味深かったのは、NHKマイルCで2,3着に入った馬の父がディープインパクトで、4,5着に入った馬の父がロックオブジブラルタルと、それぞれ同じだったこと。ディープインパクト産駒のマルセリーナが桜花賞を制したこともあり、意外とこれらの種牡馬の産駒は、現時点ではマイルに適性があるのかもしれません。