今年の2歳マイルG1のキーは京都の馬場か ~朝日杯FS

今年の2歳牡牝のマイルG1は、阪神競馬場改修工事のためにともに京都競馬場で行われましたが、京都での開催がロングランになったことが、大きく影響したように思えます。
1週間前の阪神JFは、馬場が荒れてきた影響もあり、前走芝1800mのレースで上位に入り、外目を差してきた馬が上位に来ました。スタミナがある馬で、馬場の良いところを走ってきた馬が有利だったわけです。

この結果を受けて朝日杯FSについて考えた時、真っ先に目についたのは、前走京都芝2000m黄菊賞から距離を短縮してきたミュージアムマイルでした。その勝ちっぷりは、4コーナーで早めに外から先行勢に並びかけると、直線先頭に立ち最後は3馬身突き放すという優秀なもの。同じように考えた人も多かったのでしょう。3.7倍の2番人気に支持されます。
父は朝日杯FSを2015年に勝ったリオンディーズで母父はハーツクライという血統。リオンディーズは2000mの新馬を勝ち弥生賞でも2着に入るなど決してマイラーではありませんでしたが、母シーザリオ同様にマイルもこなす器用さもあります。またハーツクライ産駒のドウデュースがやはり朝日杯FSを勝っているように、血統背景からはマイルも十分こなすイメージがありました。

実は予想に当たっては、やや重で強いレースをしたサウジアラビアロイヤルC組も、荒れ馬場適性では負けないだろうと上位評価していたのですが、アルテヴェローチェ(1番人気 3.3倍)のパドックでのテンションの高さを見て、やはりミュージアムマイルを中心にすることにしたのです。

ミュージアムマイルはスタートで大きく出負けしてしまいますが、C.デムーロ騎手が懸命に押して内からポジションを上げて行き、3コーナーでは4,5番手につけます。最初の600mが35.4とかなりスローな流れとなったのですが、結果的にその判断が奏功したと言えるでしょう。
4コーナーで外目に出すと、直線は先に抜け出したアドマイヤズームを目指して懸命に脚を伸ばしますが、逆に突き放されてしまいます。3着以下には差をつけたものの、2 1/2馬身差の2着。しかし出遅れたことを考えると、十分に持ち味は出したといえるでしょう。

勝ったのは5番人気(9.1倍)のアドマイヤズーム。10月の新馬は4着に敗れたのですが、前走京都芝マイルの未勝利でハイペースの2番手を追走すると、1番の上り35.0で3馬身突き放すという強い勝ち方を見せていました。
しかし前走未勝利勝ちから連対したのは、過去10年では2020年に1着となったグレナディアガーズただ1頭。傾向的には大きくは押せない馬でしたが、その強い勝ち方と友道厩舎が関西リーディング2位の川田騎手を継続して乗せてきたという勝負掛かりの雰囲気から、無視はできないと思っていました。血統は父モーリス、母父ハーツクライとマイルから2000mが最適なイメージ。

レースでは好スタートを切ると積極的に前に行って、逃げるダイシンラーをやや離れた2番手で追います。そのまま2番手で4コーナーを回ると、直線に入ってすぐに先頭に立ち、追ってくるミュージアムマイル以下を突き放していきます。残り100mで3馬身近く離すセーフティリードで、余裕の先頭ゴール。
2番手で行きながら、上りは最速の33.6をマークする強い勝ち方で、力的には抜けている印象を与えました。

アドマイヤズームが来年どの路線をとるかはわかりませんが、マイル路線なら各マイル重賞上位馬を大きく離していることから確勝級でしょうし、クラシック路線でも少なくとも皐月賞ではかなり有力となるでしょう。それぐらいインパクトのある勝ち方でした。

ところで3着は1戦1勝馬のランスオブカオス(9番人気 45.8倍)が脚を伸ばして入り、1,2着馬には離されたものの、4着馬は2馬身離して驚かされました。新馬戦は減量で54kgのルーキー吉村騎手だったので、56kgの定量となるここでは厳しいかと見ていたのですが、上位では唯一後方から差してきて、新人騎手らしからぬ騎乗ぶりでした。ただしパドックではとても良く見せていて、少し気になる存在ではあったのですが。

そしてこの上位3頭の共通点が、前走京都のレースを勝っていたこと。アドマイヤズームとミュージアムマイルは11/10に、ランスオブカオスは12/1に勝っており、ともに荒れ始めた馬場も気にせずに対応できたと言えるでしょう。そのあたりが、やや重とはいえ開幕週の良い馬場だったサウジアラビアロイヤルC組とは、違っていたのかもしれません。
残念ながら来年は使えない傾向ではありますが。

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