今年の6歳馬と外国馬は実は強かった ~マイルCS

今年のマイルCSで個人的に注目していたのは、ソウルラッシュとチャリンでした。

まずソウルラッシュですが、6歳のここまでマイルG1には6回挑戦して0・1・1・4という成績。昨年のマイルCSで抜け出して勝ったかというところを、大外からナミュールに差されてクビ差2着に敗れたのが、もっとも惜しいレースでしたが、2年連続で大敗していた鬼門ともいえる安田記念で、今年1/2馬身差3着に入るなど、衰え知らずの成績は残してきたのです。しかしG2でも2・2・1・0とやや勝ちきれない面もあり、アタマで狙うのは勇気がいるのが正直なところでした。

しかも京都で行われた過去10回のマイルCSの年齢別成績は下記の通り。
 3歳  2・0・1・30 連対率6%
 4歳  5・5・3・27 連対率25%
 5歳  2・4・5・51 連対率10%
 6歳  1・1・1・23 連対率8%
 7歳上 0・0・0・15 連対率0%
これを見る限り、6歳馬を中心に据えるのはやはり躊躇せざるを得なくなります。

ここで気になるのが、世代別の実力差です。
今年前半のG1では昨年のクラシックで活躍したタスティエーラやソールオリエンスなどが力を出せず、唯一4歳馬が制したのが大阪杯のベラジオオペラだけということで、例年に比べて4歳世代は力が落ちるのではと言われました。
しかしそれに対して、6歳世代は大活躍したのです。古馬G1で6歳馬は4勝(ペプチドナイル:フェブラリーS、テーオーロイヤル:天皇賞(春)、テンハッピーローズ:ヴィクトリアM、ロマンチックウォリアー:安田記念)。これは世代別ではもちろん1番ですし、しかもG1出走馬の3着内率は6歳馬が驚異の41%。ちなみに4歳馬:7%、5歳馬:19%、7歳馬17%なので、他の世代を圧倒していることがわかります。

現6歳世代といえば、牡馬はエフフォーリア、シャフリヤール、タイトルホルダー、レモンポップ、ジャックドール、牝馬はソダシ、ユーバーレーベン、アカイトリノムスメ、ジェラルディーナ、ソングラインなどが活躍した世代。古馬になっても息長く活躍する馬が多い印象があります。

そして遅まきながらソウルラッシュも、今日のマイルCSでG1馬の仲間入りをすることができました。
調教も良かったのですが、パドックでは素軽い歩様で集中して歩いており、トモの踏み込みも力強く毛ヅヤも含めてとても良く見えたので、今日こそは期待できるのではと思ったのですが、期待に応えてくれました。

スタートはやや後手を踏む形になり、道中は後方の内につけます。バルサムノートのつくるペースは600m33.8と例年よりも速めで、後方の馬に有利な流れ。
3コーナーから馬群の中央に出すも、4コーナーでもまだ後方。どうするのかと見ていたのですが、4コーナーで大きく馬群が横に広がって前が空きます。そこで外目に出すと、一足早く抜け出したウインマーベルをめがけて団野騎手が大きなアクションで追い出します。そのまま脚を伸ばすと、残り200mを過ぎたところでウインマーベルを捉えて先頭。あとは後続を離す一方で、ゴールでは最後に2着に上がったエルトンバローズに2 1/2馬身差をつける快勝。

ゴール前で団野騎手が思わず大きくガッツポーズをしてしまったのはご愛敬ですが、ここまでなかなか大きな舞台で結果を残せなかった馬だったので、ようやく勝てたということで喜びも大きかったのでしょう。
団野騎手自身も、昨年の高松宮記念(ファストフォース)に続くG1 2勝目ということで、今後の活躍も大いに期待できます。

そしてもう1頭注目したのはイギリスから参戦したチャリンでした。外国馬の参戦は2011年のサプレザ以来13年ぶり。しかも今年フランスのG1ジャックルマロワ賞とイギリスのG1クイーンエリザベス2世Sを制した、ヨーロッパのトップマイラーが本気で参戦するというので、期待せざるを得ませんでした。
例年だとBCマイルを目指す馬が多いそうなのですが、来年からの種牡馬入りを前にその価値をあげたいということで、何度も来日して日本の競馬もよく見ているヴェリアン調教師(奥様はシェイクモハメド主宰の奨学制度ダーレーフライングスタートをはじめて卒業した日本人)が満を持して連れてきたのです。

しかし近年はジャパンCでも多くの外国馬が苦しむ、いわゆる軽い高速馬場に対応できるのかというのが、一番の懸念事項でした。
それを覆してくれたのが、京都競馬場の芝コースで見せた最終追いきりでした。実にスムーズで気合十分の走りは、体調の良さを感じさせたうえ、ヨーロッパのトップホースの走りというものを強く印象付けるものだったのです。

ところがスタートを切ったチャリンは、ムーア騎手が大きなアクションで追うものの、着いていくことができずに後方に下がってしまいます。向こう正面でいったんはポジションをあげるも、3コーナー手前でペースが上がるとまた後方3番手。
そのまま4コーナーでは大外を回すと、直線はじりじりと脚を伸ばしてきます。途中では届かないかと思ったのですが、最後は2着争いの3頭に外から並びかけたところがゴール。2着馬とはタイム差なしの5着となりました。

その上りタイムはメンバー2番で、勝ったソウルラッシュと並ぶ33.6。おそらく生涯で最速の上りタイムだったと思われますが、それを初めての日本の馬場で出したのですから、あらためてヨーロッパトップマイラーの底力を感じさせられました。
残念ながら勝つことはできませんでしたが、速い時計で走れることも証明し、種牡馬としての価値をあげることには成功したと思います。

そしてこの結果は、来週のジャパンCに出走する3頭の外国馬の陣営にも、大いに勇気を与えたと思います。特にディープインパクト産駒のオーギュストロダンは力があることは間違いないので、うまく馬場にあった走りができれば、十分に上位を狙えるのではないでしょうか。
日本を代表する馬たちとのレースが今から楽しみです。

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