2012年にゴールドシップが皐月賞と菊花賞の2冠馬になった際に「2冠馬の不思議」を書き、2014年にワンアンドオンリーが日本ダービーと菊花賞の2冠になれなかったときに「再び2冠馬の不思議」を書いたのですが、今回再び同じテーマで書くことにしました。
今回日本ダービーと菊花賞の2冠に挑んだのが、皐月賞除外後に9番人気で日本ダービーを勝ったダノンデサイル。奇しくも2014年に挑んだワンアンドオンリーと同じ、横山典騎手が乗ります。
2014年の時にもダービー馬の菊花賞挑戦が少なくなっているということを書いたのですが、その後この10年で菊花賞に挑んだダービー馬は、2020年コントレイル、2023年タスティエーラ、そして今年のダノンデサイルとわずか3頭のみ。コントレイルは3冠への挑戦だったので、菊花賞との2冠に挑んだのは2頭。
これは最近の傾向として顕著であり、21世紀になって菊花賞との2冠に挑んだダービー馬は、2001年ジャングルポケットを加えて24年間でわずか4頭ということになります。これは3冠に挑んだ馬(5頭)よりも少ないのです。
その理由として2014年にあげたのは下記のようなことでした。
・ダービーで目一杯の走りをしたことも影響したと思われる故障
・距離適性等を考えて別路線を選択
これらは現在でも主要な理由であり、そのほかにも海外への挑戦ということも増えています。実際にダービー2着のジャスティンミラノは、距離適性から天皇賞(秋)を目指していましたが10/11に屈腱炎が判明。3着のシンエンペラーは凱旋門賞を目指して渡仏しました。
そしてこれも有名な話ですが、そもそも日本ダービーと菊花賞の2冠制覇は、とてもハードルが高いのです。個人的には、これも挑戦する馬が少ない理由の一つではないかと思います。意外とジンクスを気にする人は多いのではないでしょうか。
昨年までの牡馬クラシック2冠以上の頭数は下記になります。
・3冠馬 8頭
・皐月賞とダービーの2冠馬 16頭
・皐月賞と菊花賞の2冠馬 8頭
・ダービーと菊花賞の2冠馬 1頭(他にオークスも勝った変則3冠牝馬クリフジがいる)
時期が近い皐月賞と日本ダービーの2冠馬が多いのはわかりますが、時期も距離も大きく異なる皐月賞と菊花賞の2冠馬より、日本ダービーと菊花賞の2冠馬ははるかに少ないのです。これは日本競馬界の7不思議とも言われます。
その希少な1頭は1973年のダービー馬タケホープ。圧倒的人気のハイセイコーを日本ダービーで倒すと、菊花賞では逃げ込みを図るハイセイコーを離れた外からハナ差で差し切って2冠を達成しました。
今年の菊花賞では、その2冠を目指すダノンデサイルが2.9倍の1番人気になったのですが、この強力なジンクスは予想に際しては気にせざるを得ません。
結局個人的にはダノンデサイルを本命にはしなかったのですが、その大きな理由の1つとしては、やはりジンクスがあります。そのほかに、今年の日本ダービーは1000mが1.02.2とかなりのスローで流れ、それを内ラチ沿いの経済コースから先行して抜け出して勝ったダノンデサイルは、展開に恵まれた面も大きかったと思われました。
またダービー以来の休み明けというローテーションも不安を感じさせたのです。
そのダノンデサイルは、好スタートから前目の3,4番手につけますが、1周目の坂の下りではやや掛かっているように見えます。道中は出入りが激しくなり、先頭がかなり入れ替わったのですが、そんな中で内ラチ沿いのダノンデサイルはどんどんポジションを下げていきます。
向こう正面では中団に下がり、2週目の4コーナー手前では何と後方から3番手。外も前もふさがれて、どんどんポジションを悪くした感じです。直線はようやく外に出して追いこんできますが、先頭ははるか前方で絶望的な位置取り。メンバー2位の脚で追い込んでダービー馬の意地は見せますが、0.7秒差の6着に終わりました。
これで今年も日本ダービーと菊花賞の2冠馬誕生はお預けとなりました。これだけ強力だと、今後も達成できないという方に賭けた方が得なように思えます。果たして今後この2冠馬が誕生することはあるのでしょうか。
そして勝ったのはセントライト記念からの連勝となった2番人気のアーバンシック。
京成杯ではダノンデサイルの3/4馬身差2着に入り、皐月賞は4着に好走したものの、日本ダービーはスローな展開で追い込み切れず11着と大敗。そこからの巻き返しでの勝利となりました。
鞍上は2週連続のG1制覇となったルメール騎手。じつは前走で手綱を取った馬が4頭参戦していたのですが、その中から選んだのがアーバンシック。毎度のことながらその選択眼の確かさに感心させられますが、2着ヘデントールも3着アドマイヤテラも前走で自らが勝利に導いた馬たち。
前走ルメール騎手が乗った4頭のボックスを買っていれば、4点で3連複5,200円がとれたというオチでした。