今年はJRA創立70周年ということで、TVCMなどでも盛んに宣伝されています。その一環として、8年ぶりに馬事公苑で「第49回 愛馬の日」が開催されたので、見に行ってみました。
流鏑馬や相馬野馬追の甲冑競馬などの伝統行事をはじめ、馬場馬術や障害馬術などのデモンストレーションもあって、馬を中心としたさまざまな催しを見ることができて、馬好きにはとても楽しめる1日だったと思います。
その中で有名引退競走馬展示というコーナーがありました。パドックにいたのは2頭の重賞勝ち馬。
奥が昨年のエプソムCを勝ったジャスティンカフェ。秋にはマイルCSで7番人気ながら、ナミュール、ソウルラッシュと差のない3着に好走し、その後が期待されたのですが、今年の2月に屈腱炎が判明して引退。馬事公苑で乗馬になっていました。
そして手前にいたのがメイショウダッサイ。2020年の中山大障害と2021年の中山グランドジャンプとJG1を2勝。ほかにも小倉サマージャンプ(JG3 2019)と東京ハイジャンプ(JG2 2020)を勝った名ジャンパーでした。
個人的に記憶に残っているのが、東京ハイジャンプ。この年は2月から新型コロナにより無観客での開催が続き、ようやく10月になって人数限定ながら指定席の販売が再開されたのです。かなりの倍率だろうと思いながらも申し込んでみると、10/18の東京開催の指定席に当選し、8か月ぶりの競馬開催を見に行きました。
この日の9Rで行われたのが東京ハイジャンプでした。8頭立てとさみしい頭数でしたが、1.4倍の圧倒的な1番人気に支持されていたのがメイショウダッサイ。この年の中山GJでオジュウチョウサンの3馬身差2着に好走していたのです。
ところがパドックで見たメイショウダッサイは、休み明けのせいか気合のかけらもない状態で、これからレースに出るという気配が全く感じられなかったのです。ここまでおとなしい馬はちょっと記憶にないぐらいで、馬券は別の馬から買いました。
しかしレースでは好位で安定した飛越を見せます。最終障害を飛んだあと先頭に立つと後続を突き放し、1 3/4馬身差で完勝。力のあるところを見せました。パドックでの見立てとはかけ離れたレースぶりで、強い印象を残したのです。
次走の中山大障害でも強い走りを見せて、1.7倍の圧倒的な人気に応えて完勝。さらに翌年の中山GJでは、オジュウチョウサンに引導を渡す形で圧勝。残念ながらこのレースを最後にけがで引退することになり、馬事公苑で乗馬になっていたのです。
久しぶりに会ったメイショウダッサイは、3年前に東京競馬場で見た姿とは全く異なり、そわそわと落ち着きを欠いて、狭いパドックの中を走り回っていました。隣のジャスティンカフェを気にしているそぶりもありましたが、久しぶりに多くの人に囲まれていたのも原因かもしれません。
とりあえず元気に暮らしている様子で安心しましたが、あれだけ落ち着きを欠いていると、乗馬としてちゃんとやっていけるのだろうかと、ちょっと心配になりました。そもそもサラブレッドは気性が荒く乗馬には向かないと聞いたことがあるのですが、現役時代に得意だったジャンプ力を生かして、ぜひ馬術で活躍してくれることを祈りたいと思います。
乗馬といえば、この日はJRA職員でパリオリンピックの総合馬術団体で銅メダルを獲得した戸本一真選手によるエキシビジョンも行われました。
障害馬術の飛越を、自らワイヤレスマイクで解説しながら見せており、多くの観客の拍手を受けていました。なかなか競技を生で見る機会は少なく、またどのように走って飛んでいるのかわかりにくいのですが、本人の解説付きで見ると大変理解しやすく、より馬術への親しみがわきました。
競技のすそ野を広げるという意味でも、大変良い試みだったと思います。