今年の朝日杯FSを勝ったのは1番人気のジャンタルマンタル。前走デイリー杯2歳Sの勝ち方は強く、さらにこの10年で5頭の連対馬を出している主要な前哨戦の勝ち馬なので、当然の結果と言えるかもしれません。
鞍上はテン乗りの川田騎手でしたが、前半は馬群中団の内に入れて行きたがるのを抑え、そのまま内ラチ沿いぴったりを回って、4コーナーではいつの間にか逃げたシュトラウスの直後まで上がってきます。
そのまま内から抜けて先頭に立つと、馬場の良い外に誘導して後続を突き放していき、最後は大外から追いこんできたエコロヴァルツに1 1/4馬身差をつける快勝でした。
これで川田騎手は、ダノンプレミアム、グレナディアガーズに続く朝日杯FS3勝目。2頭とも古馬になっても活躍しましたが、ジャンタルマンタルも、ホープフルSの結果次第ではありますが、最優秀2歳牡馬も狙えるような強い勝ち方だったと思います。
ところでジャンタルマンタルの父ですがパレスマリスという耳慣れない馬。それもそのはず、パレスマリスは2013年のベルモントステークスを勝ってアメリカで種牡馬になった馬。そのパレスマリスを受胎した母インディアマントゥアナを社台ファームが輸入した持ち込み馬だったのです。
しかしそれだけではなく、パレスマリスの母パレスルーマーも、パレスマリスを生んだ後日本に輸入され、弟妹たちは日本で走っています。
そのうちの2頭が、アイアンバローズ(父オルフェーヴル 2017年生まれ)、ジャスティンパレス(父ディープインパクト 2019年生まれ)の兄弟。アイアンバローズは先日ステイヤーズSを8番人気ながら逃げ切って勝ち、ジャスティンパレスは今年の天皇賞(春)を勝って天皇賞(秋)では2着と、今年大いに活躍を見せています。
そして来週の有馬記念には揃って登録があり、特にジャスティンパレスはファン投票で3位となって、出走予定馬の中では最上位。イクイノックスが去った競馬界を盛り上げていくことを、大いに期待されている1頭なのです。
この2頭から見るとジャンタルマンタルは甥にあたり、ジャンタルマンタルからは2頭は叔父ということになります。
現状ではジャンタルマンタルはマイル路線で、アイアンバローズ、ジャスティンパレスは長距離得意ということで、すぐに対決が見られる感じはありませんが、もしジャンタルマンタルが今後距離を伸ばしていくようなことがあれば、もしかしたら対戦があるかもしれません。
アメリカ由来の親戚同士の戦いが日本で見られるというのも、おもしろそうです。
そしてジャンタルマンタルの活躍が影響したのか、父のパレスマリスが2024年から、ダーレー・ジャパンによって日本で供用されることが発表されました。日本の馬場に合うと判断されたのでしょう。
調べてみると、これまでパレスマリス産駒は日本で6頭が走っており、そのうち3頭が勝ち上がっています。2勝以上したのはジャンタルマンタルだけですが、2歳馬のノーブルロジャーが11月に東京芝1600m新馬戦を1番人気で勝っており、今後に期待が持てそうです。
インドで18世紀のムガール帝国時代につくられた天文台の名前に由来するというジャンタルマンタル。不思議な語感は逆に記憶に残りやすく、親しまれるのではないかと思います。来年どの路線を選ぶのかはわかりませんが、近年の朝日杯FS勝ち馬はアドマイヤマーズ、サリオス、ドウデュースなど、マイルだけでなくクラシックも含めて活躍する馬が多く、期待が高まります。
来年以降の活躍を楽しみに待ちたいと思います。