文字通り着差以上の強さでした ~桜花賞

今年の桜花賞は、オッズではリバティアイランドの1強という形でした。その倍率は1.6倍。2番人気のライトクオンタムが8.0倍なので、圧倒的と言っていい支持を受けたのです。

前走の阪神JFが2.6倍だったので、その阪神JFでの走りが、この評価を生んだといえます。その走りは、直線で抜け出すと後続を一気に突き放すという、かなり衝撃的なものでしたが、キャリア3戦の若駒なので、それが再現できるのかという疑問もありました。
また今回10頭の重賞勝ち馬が顔をそろえたことが、過去最多タイ記録と話題になりましたが、その半数がリバティアイランドとは初対戦ということで、力関係がわかりにくい面もありました。しかしいずれもリバティアイランドほどの衝撃的なパフォーマンスではなかったのも事実で、それらがオッズに反映されたのでしょう。

リバティアイランドは3番と内枠だったこともあり、包まれる危険を川田騎手がどうさばくかが焦点でもあったのですが、いきなりスタートで立ち遅れて、後ろから3~4番手を進むことになります。
逃げたモズメイメイは600m34.0と近年ではやや速めのペースで縦長の展開。リバティアイランドは包まれる心配はないものの、直線に入った時は前に15頭ほどがひしめく状態。そこから外に出して、追い込みに賭けます。
逃げるモズメイメイを、残り300mで2番手にいたコナコーストが交わして先頭に立った時も、リバティアイランドは後方から3,4番手の外。さらに好位からペリファーニアがコナコーストに迫った残り200m地点でも、リバティアイランドはようやく脚を伸ばして来たものの9番手。
しかしそこから1頭だけ違う脚色で、一気に先頭争いの2頭に迫ってきます。残り50mを切って2頭を差し切ると、コナコーストに3/4馬身差をつけて、見事に1冠目を奪取しました。

その上りは、唯一33秒を切る32.9。2番目のキタウイングが33.6なので、その差は0.7秒。
しかも2,3着馬は先行しており、4,5着馬も4コーナーでは10番手以内にいた馬で、それを後方3番手から差し切ったのですから、まさに1頭だけ次元が違う脚を見せたといえるでしょう。着差は3/4馬身でしたが、まさに着差以上の強さを見せたレースでした。

あの脚を見て、ライバル陣営はかなりショックを受けたのではないでしょうか。すでにオークスは当確ともいえるようなパフォーマンスを見せられたのですから。アクシデントがない限り、2冠獲得はかなり濃厚なのではないかと思わされました。

ところで、今日BSフジの競馬中継を見ていたのですが、CM明けで過去のレース映像が流れます。そして桜花賞出走直前に流れたのが、2014年にハープスターが勝った桜花賞でした。
この時も川田騎手が騎乗して、4コーナー最後方というとても届くとは思えないところから一気に差し切ったのですが、そのビデオをもう一度見せられたのかと思うような結果で、本当に驚かされました。
そのハープスターと同じ上り32.9で差し切ったリバティアイランドですが、勝ちタイムはハープスターの1.33.3を1.2秒も上回る1.32.1。ペースも馬場状態も違うので単純に比較はできませんが、桜花賞レコードのソダシの1.31.1には及ばないものの、グランアレグリア(1.32.7)やスターズオンアース(1.32.9)、アーモンドアイ(1.33.1)を上回る優秀なもので、歴史的な名牝になる可能性は十分にあると思います。

ハープスターは、オークスではヌーヴォレコルトをクビ差捉えられず2着に敗れたものの、札幌記念ではゴールドシップに競り勝って勝利を収めると凱旋門賞に挑戦。
距離や馬場状態を考えると、さすがに無謀な挑戦ではないかと個人的には思っていたのですが、後方からじりじりと差を詰めると、ジャスタウェイ、ゴールドシップを抑えて日本馬最先着となる6着と好走。とても驚かされたことを覚えています。
結局桜花賞を最後にG1は勝てなかったものの、その後方一気のレースぶりや意外性から、かなり印象深い馬だったことは確かです。

リバティアイランドも川田騎手とのコンビで、これからどんなレースを見せてくれるか、とても楽しみになる今日の勝ちっぷりでした。

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