展開の利と、それを打ち破る強さ ~大阪杯

大阪杯はG1に昇格してから今年で7年目ですが、過去6回で比較的明確な傾向が表れています。
・先行馬の連対率が圧倒的に高い
・関東馬の連対がない
・連対はほぼ4,5歳馬
・1~4枠の連対率が高い

特に展開面での先行馬有利の傾向はかなり強力で、過去6回で4コーナー6番手以下から連対したのは、わずか1頭しかいません。
さらに今年のメンバーを見ると、差し馬が多く、前に行く馬から買うことは的中の必須条件だろうとまで思われました。

そしてメンバーを見てみると、どうしても目につくのがジャックドール。逃げ脚質の5歳の関西馬で、枠は5枠ですが、1頭分外をぎりぎり許容範囲と考えれば、条件はぴったりです。
昨年は前走の金鯱賞を逃げてレコードで圧勝したことから、エフフォーリアに次ぐ2番人気の支持を受けたものの、レコードの反動か5着に敗れてしまいました。
その教訓から今年はここが今年初戦。しかも休み明けは3戦3勝と得意で、調教の様子も抜群。昨秋は不振だったものの、それを覆して好走してくれるだろうと、個人的にも大いに期待していました。

そしてレースでは、ジャックドールは好スタートから予定通りハナに立つと、1000m58.9秒と絶妙のペースで逃げます。直線に入るとダノンザキッドにじりじりと詰められますが抜かさせず、最後は後方から一気に差を詰めてきたスターズオンアースに迫られるも、ハナ差抑えて初G1制覇となりました。
鞍上の武豊騎手は、54歳19日とJRA最年長G1制覇の記録を更新。さすが名手という競馬を見せてくれました。

1着馬は逃げたジャックドールということで、展開的にも過去の傾向からもばっちりな結果だったのですが、問題は2着のスターズオンアースでしょう。
連対実績のない関東馬で、過去6年で1連対の6枠。前走秋華賞は出遅れて後方から追いこむも3着まで。後方から行く脚質で展開的に傾向に合わないことに加えて、実績も同世代牝馬では上位も、牡馬相手の重賞は未経験で実力は未知の部分が大きかったのです。それで1番人気となると、配当を考えると買わないという選択をした人も多かったのではないでしょうか。
個人的にも微妙だとは思ったのですが、その牝馬ばなれしたレースぶりや、調教での調子の良さを見ると、重い印を打たざるを得ませんでした。

実際にスターズオンアースは、今回もスタートはうまく出ずに後方から。道中も逃げるジャックドールからはかなり離れた、後方から4番手を追走。4コーナーでも外に出さずに、秋華賞同様に馬群の中に突っ込んでいきます。やや外目のヴェルトライゼンデとヒシイグアスの間を抜けると、前を行くジャックドールを猛追。ゴール直前で内のダノンザキッドを交わすと、ジャックドールに並びかけたところがゴール。
残念ながらハナ差交わせず2着も、上りタイムはジャックドールの35.3を1秒近く上回り、圧倒的にメンバー1の34.4(2番はジェラルディーナなど3頭の34.9)。

展開的にぴったりのジャックドールが勝ったのは想定通りだとして、展開的に合わないスターズオンアースが、牡馬相手の古馬G1でも勝ちに等しいパフォーマンスを見せたということは、規格外の強さを見せたともいえるわけで、今後の展望が大きく広がる結果と言えます。
スターズオンアースの今後の活躍は、大いに期待をもって注目していきたいと思います。

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