毎年秋になると、世代間の比較が話題になります。特にその年の3歳世代と4,5歳の力量の比較は、その後の予想に大きく影響するので、気になるところです。
この話題について取り上げたのが去年のことでした。去年の秋シーズンは、最初のG1スプリンターズSで3歳馬としては14年ぶりにピクシーナイトが勝ち、さらに天皇賞(秋)をエフフォーリア、最終的に有馬記念もエフフォーリアが勝って、秋の古馬G1では3歳馬が3勝をあげました。
その前に3歳馬旋風が起きたのが2018年。
この年はマイルCSをステルヴィオ、ジャパンCをアーモンドアイ、チャンピオンズCをルヴァンスレーヴが勝ち、最後に有馬記念をブラストワンピースが制して、秋の古馬G1で4勝を挙げたのです。
そして今年も天皇賞(秋)でイクイノックスが勝ち、ダノンベルーガが3着に入って、3歳世代が強いのではと言われていましたが、今日のマイルCSでセリフォスが勝って、その説が現実味を帯びてきました。
そのセリフォスは、2歳時から新潟2歳S、デイリー杯2歳Sを勝って、朝日杯FSとNHKマイルCではともに1番人気に支持されており、今年の3歳世代のマイル路線ではNo.1の評価を得てきました。しかし朝日杯FSではドウデュースに競り負けて2着に敗れ、NHKマイルCでは最内で伸びるも、最後は外の各馬にかわされて4着と、ともに人気に応えることはできませんでした。
安田記念で古馬相手に3/4馬身差4着と好走すると、夏を越して前走の富士Sで後方から伸びて久々の勝利をあげます。そして6番人気でマイルCSに臨んでいたのです。
実績の割に評価が低いと感じたのですが、それはやはり2度のG1で1番人気に応えられなかった勝負弱さが感じられたことと、前走の富士Sでクビ差2着のソウルラッシュより3kg、1/2馬身差3着の同世代ダノンスコーピオンより2kg軽かったのが、今回前者とは1kg差で後者とは同斤ということも影響したのではないでしょうか。
しかしレースでは、1000m35.1のスローな流れを抑えて後方から追走し、直線は大外に出すと、残り200mを切って一気に末脚を発揮。最後は内から抜けてきたダノンザキッドに1 1/4馬身差をつけて、念願のG1初勝利を飾りました。その上りはメンバー1の33.0と破壊力を発揮。これまでのうっ憤を晴らすような、見事な優勝でした。
安田記念以降のレースぶりを見ても、すでにマイラーとしてトップクラスであることは間違いなく、今後のマイル界を引っ張っていくことを期待したいと思います。
そして驚かされたのは、2着に好走したダノンザキッドでした。
デビュー3連勝でG1ホープフルSを勝つものの、皐月賞を1番人気で惨敗すると、怪我でダービーは回避と結局クラシックはとれませんでした。
その後マイル路線に切り替えて、昨年のマイルCSで3着と好走するものの、勝ちきれないレースが続きます。その成績は、今年のキラ星のようなメンバーの中ではどうしても見劣りしてしまい、気にはなったものの手が出ませんでした。
ただ、好走のヒントになったのは、マイルCSでのリピーターの多さでした。ペルシアンナイトやインディチャンプ、グランアレグリアなど、ここ数年を見ても連続して好走する馬が多いのです。逆に前年4着以下に負けていた馬は、ほぼ好走することがなく、サリオスなどはその法則にはまってしまいました。
来週のジャパンCで国内3歳馬で唯一登録のあるダノンベルーガは出否未定ですが、出てくれば有力馬の1頭であり、もし勝つようなら早くも3歳馬による古馬G1 3勝目ということになります。
さらにイクイノックスは有馬記念を目指すという情報もあり、2018年に並ぶ古馬G1 4勝も夢ではありません。今後の馬券戦略にかかわることでもあり、注目していきたいと思います。