最後もやはり3歳馬 ~有馬記念

今年の有馬記念は、オッズで見ると明らかな2強対決でした。
1頭は3歳代表のエフフォーリア。皐月賞を圧勝し、ダービーこそ1番人気でハナ差の惜敗でしたが、それ以来の休み明けで臨んだ天皇賞(秋)はコントレイル、グランアレグリアに続く3番人気にも関わらず、2頭を抑えて見事に優勝。
有馬記念のファン投票では26万票を超える史上最高の得票で1位となり、今日も2.1倍の1番人気に支持されます。

そしてもう1頭が5歳牝馬のクロノジェネシス。3歳春のクラシックはともに3着と勝てなかったものの、秋華賞でG1初制覇。昨年は宝塚記念を6馬身差で圧勝すると有馬記念も1番人気で勝ちます。さらに今年の宝塚記念で連覇を飾ってグランプリ3連勝。
史上初のグランプリ4連勝を狙ってファン投票では2位。人気も2.9倍の2番人気となります。

成績的には2頭は甲乙つけがたい印象でしたが、人気を分けたのは、クロノジェネシス陣営から出た、ややマイナスなコメントの影響もあったでしょう。馬主を慮ってか無難なコメントを出す厩舎が多い中、斉藤崇師は正直な状態を話すことが多く、今回もいい時に比べると物足りないという話をされていました。
実際に追い切りでも先行馬に内から併入しただけで、抜くことはせず、少し不安を感じさせる内容ではあったと思います。ただし脚色は悪くなく、またパドックにおいても気合を表に出して、気迫あふれる歩きで、決して悪い感じはありませんでした。

しかしエフフォーリアが人気になったのは、それ以上に、今年の3歳馬の活躍が影響したのではと思います。
秋の古馬G1では、スプリンターズSでいきなり3歳馬のピクシーナイトが勝つと、天皇賞(秋)を同じく3歳馬のエフフォーリアが完勝。その後は勝てないまでもエリザベス女王杯ではステラリアが2着、マイルCSではシュネルマイスターが2着、ダノンザキッドが3着、JCではシャフリヤールが3着と芝G1では全レースで3歳馬が1頭は3着以内に入ったのです。
またG1ではないものの、昨日のG2阪神Cでもグレナディアガーズが後方一気で復活の勝利を飾り、2着にもホウオウアマゾンが入り3歳馬のワンツーとなりました。
これらの成績が、強い3歳馬という印象をより強めたのは間違いないでしょう。

それは有馬記念の単勝人気にも反映されました。
1桁人気はわずか3頭で、僅差の上位2頭に続くのは3歳馬のステラヴェローチェ(7.9倍)。そして10.2倍の4番人気も大外を懸念されながらも今年の菊花賞馬タイトルホルダー。5番人気の4歳馬ディープボンドは20.9倍で、6番人気以下は30倍以上と、実質的には上位4頭から勝ち馬が出ると思っている人が大半だったと思われます。その4頭のうち3頭が3歳馬だったのです。

そして今日のレース。逃げると思われたパンサラッサが引っ張り、菊花賞を逃げ切ったタイトルホルダーが2番手と予想された通りの態勢で、1000m通過は59.5と近年ではアエロリットが逃げた2019年に次ぐ速めの流れ。
それをクロノジェネシスとエフフォーリアはほぼ同じ中団の位置で追走します。まず仕掛けたのはエフフォーリア。2周目の3コーナー手前で、外から早めにクロノジェネシスを交わしにかかります。負けじとクロノジェネシスも促しますが、前に馬がいて出られず。スムーズに上がっていったエフフォーリアがクロノジェネシスの前に出て直線に向きます。
そのままエフフォーリアは外から追い出すと、内で粘るタイトルホルダーを交わし、さらに内から馬体を合わせてきたディープボンドとの競り合いを制して、3/4馬身差で1着。
見事に今年3度目のG1制覇となりました。
クロノジェネシスはやや後手を踏んで、懸命に差を詰めてくるも3/4+1/2馬身差の3着まで。

これでエフフォーリアは今年JRA G1 3勝となり単独1位。ほかにラヴズオンリーユーが海外G1を3勝していますが、唯一の国内戦となった札幌記念でソダシの2着に敗れていることもあり、おそらくエフフォーリアが年度代表馬に選ばれるでしょう。
エフフォーリアの成績は、ここまで7戦6勝2着1回とほぼパーフェクトな成績。こうなるとハナ差で負けたダービーの悔しさが、あらためてよみがえります。

しかし終わったことを悔やんでも仕方ないので、来年以降のエフフォーリアの活躍に期待したいと思います。おそらく距離適性を考えて、春は大阪杯から宝塚記念。秋は今年出ていないJCから有馬記念連覇あたりが目標になるのでしょう。
今年コントレイルやクロノジェネシス、ラヴズオンリーユーなどの実力馬が相次いで引退したことを考えると、来年はエフフォーリアを中心とした現3歳世代が中心になっていくでしょう。

そしてもう一つ注目したいのが、主戦の横山武騎手の活躍です。
今年エフフォーリアに乗って皐月賞で初G1&初クラシックを制すると、天皇賞(秋)、有馬記念に加えて、タイトルホルダーでも絶妙な逃げで菊花賞を勝ち、G1を4勝。まだ23歳とは思えない落ち着いた騎乗で、100勝超えで関東リーディングも確定。その成長は目を見張るものがあります。
ところが昨日は中山5Rで、決勝線手前で動作を緩めてハナ差2着となったことで、2日間の騎乗停止の制裁を受けており、今日の勝利騎手インタビューでも最初に謝っていましたが、まだまだ若さを見せる部分も多くあります。
しかし潔く自らの過ちを認めて謝る態度は、逆に好感が持て、応援したくなります。おそらく今後のJRAを背負っていく騎手となっていくでしょうから、今後の活躍を大いに期待したいと思います。

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