クロフネの思い出

クロフネが、功労馬として繋養されていた社台スタリオンステーションで、1/17に老衰のために亡くなりました。享年23歳でした。

クロフネ産駒といえば、つい先月に阪神JFを無敗で制したソダシもいて、まだ現役なのかと思っていたのですが、2018年のシーズンを最後に、種牡馬を引退していたとのこと。
一昨年会ってきたウイニングチケットが、当時29歳でも元気だったことを考えると、23歳で老衰は早いようにも思えるのですが、それぞれ個体差があるということなのでしょう。

クロフネといえば、2001年のクラシックを戦った世代なのですが、無敗で皐月賞を制して無事なら3冠馬と言われたアグネスタキオンを初め、個人的に思い入れが強かったジャングルポケットや、菊花賞を勝った後一流馬に上り詰めたマンハッタンカフェなど、タレントが多かったイメージがあります。
そしてこの年からクラシックが、一定の制約があるとはいえ外国産馬にも開放されることになり、そこにクロフネというインパクトのある名前で乗り込んできたのですから、大きな話題となりました。そしてその名前通りに、初の外国産馬として、ダービーに参戦することになるのです。

初めてその名前を意識したのは、たぶんラジオたんぱ杯3歳Sの時だったと思います。その夏の札幌3歳Sを札幌競馬場で生で見て、そこで勝ったジャングルポケットを追いかけてみようと思っていたので、ラジオたんぱ杯は注目していたのです。
1番人気は、新馬、エリカ賞と連勝で来たクロフネ。2番人気は新馬戦を33.8の上りで3 1/2馬身差で勝ってきたアグネスタキオン。そして3番人気は新馬、札幌3歳Sと連勝し休み明けのジャングルポケット。今から思えば、夢のようなメンバーです。
しかしクロフネは1.4倍という圧倒的人気を裏切り3着。ちょっと期待先行だったかなと感じたことを覚えています。そしてアグネスタキオンが、2着のジャングルポケットに2 1/2馬身差で圧勝し、一気にクラシックの主役に躍り出ました。

クロフネは4歳(現3歳)になって毎日杯を5馬身差で圧勝すると、ダービーの出走条件を満たすためにNHKマイルCに出走します。それまで外国産馬のダービーと呼ばれたレースで、初めて鞍上に武豊騎手を迎えると、それまでの先行策とは違って後方から進めます。そして直線で一気に伸びると、逃げ込みを図るグラスエイコウオーを1/2馬身差で差し切って初のG1制覇。
ちなみにクロフネは1.2倍の圧倒的1番人気ながら、グラスエイコウオーは13番人気で馬連は6,880円もつきました。そのグラスエイコウオーを、パドックの気配の良さと初ブリンカーという理由で押さえて、高額配当をゲットしたのもいい思い出です。

そしてクロフネは勇躍ダービーに向かいます。無敗の皐月賞馬アグネスタキオンは残念ながら屈腱炎で戦線離脱。皐月賞で出遅れながら3着と好走したジャングルポケットが東京得意のトニービン産駒ということもあり1番人気に支持され、きついローテーションと距離に若干の不安もあり、クロフネは2番人気。
レースでは、前走同様に後方から進めたものの、直線で前走のような伸びはなく、ジャングルポケットに0.9秒差5着に敗れてしまいます。

秋は、天皇賞(秋)を狙って賞金加算のために神戸新聞杯に出走するも3着に敗れ、外国産馬に与えられた2頭の枠には賞金不足で入れなくなってしまいます。ちなみにこの年の天皇賞(秋)を勝ったのは、クロフネを抑えて出走した外国産馬のアグネスデジタルでした。

そこで一度走らせてみたかったというダートの武蔵野Sに出走。ここで驚きの走りを見せます。初ダートということもあってかスタート今一つも、外からどんどんポジションを上げていき、直線に入って先頭に立つとあとは後続を離す一方。武豊騎手が途中で追うのをやめるも、9馬身という圧倒的な差で勝利。
そのタイム1.33.3は、従来のレコードを1.2秒更新し、まさに芝並みの時計。いまだにダート1600mのレコードとして残っており、ダート適性の高さを、衝撃的なパフォーマンスで示したのです。

続くJCダートも、出負けして2コーナーまでは後方も、向こう正面でポジションを上げていくと、3コーナーで一気にペースをあげて前に取り付きます。4コーナー手前で早くも持ったままで先頭に立つと、武蔵野S同様にそのまま後続を突き放し、前年の優勝馬ウイングアローに7馬身差の圧勝。
さらにタイムも前年のレコードを1.3秒更新し、こちらも今に至るまでレコードタイムとして残っており、2戦続けて驚異的なレースを見せたのです。
この日は用事があって、残念ながら東京競馬場には行けなかったのですが、歴史的なレースを直接見られずに、とても残念に思ったことを覚えています。

そのレースぶりから、当然翌年のドバイをはじめとする海外での活躍が期待されていたのですが、年末に屈腱炎が判明。そのまま引退することになりました。怪我は強いパフォーマンスとのトレードオフという面がありますが、その強さが驚異的だっただけに、あっけない幕切れに呆然とするしかありませんでした。

その後種牡馬入りしましたが、コンスタントに活躍馬を出した印象があります。
G1(J・G1、交流G1含む)を勝った産駒は、フサイチリシャール(2005年 朝日杯FS)、スリープレスナイト(2008年 スプリンターズS)、カレンチャン(2011年 スプリンターズS、2012年 高松宮記念)、ホエールキャプチャ(2012年 ヴィクトリアM)、アップトゥデイト(2015年 中山GJ、中山大障害)、クラリティスカイ(2015年 NHKマイルC)、ホワイトフーガ(2015年、2016年 JBCレディスクラシック)、アエロリット(2017年 NHKマイルC)、ソダシ(2020年 阪神JF)と昨年末までに9頭。
特にマイル以下で活躍する牝馬が多かったものの、残念ながら自身に匹敵するような実績を残す産駒は、現在のところ現れていません。
今年の3歳世代が最後となりますが、その中からソダシを含めて大いに活躍する産駒が出てくることを期待したいものです。

最後に、以前撮った生前のクロフネの姿を紹介して、冥福を祈りたいと思います。

社台スタリオンステーションにて 2007年9月16日
社台スタリオンステーションにて 2007年9月16日
社台スタリオンステーションにて 2007年9月16日
ディープインパクトとの2ショット 社台スタリオンステーションにて 2007年9月16日

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。