2020年の振り返りとJRA賞予想&ベストレース

今回も恒例の2020年を振り返って総括し、JRA賞を個人的に予想するとともに、ベストレースを選んでみたいと思います。

2020年は振り返ってみると、コロナウイルス一色という感じになってしまいました。JRAも開催が中止になることはありませんでしたが、3月から10月初めまで無観客競馬が続きました。その中で歴史的な快挙が続いたのは、ある意味皮肉ではありましたが、関係者の何とか競馬を盛り上げ、みんなに元気になってもらいたいという思いが通じたのかもしれません。

その中でまず取り上げるべきなのは牝馬の活躍でしょう。昨年もアーモンドアイやリスグラシューの活躍があったのですが、今年はそれに輪をかける大活躍でした。
現在古馬の牡牝混合G1は年間12戦あるのですが、そのうち牡馬が勝ったのはわずかに3戦。芝に限ると、天皇賞(春)のフィエールマンだけだったのです。これはもちろん、グレード制が確立されてから初めてのことです。

そしてその強い牝馬を代表するアーモンドアイの、歴代最多の芝G1 9勝も大きな話題となりました。しかも3歳3冠馬2頭を抑えての快挙。3冠馬3頭の対決となった最後のJCは、大変な盛り上がりとなりましたが、観覧できる観客数が限られたのはとても残念でした。

そしてもちろん、無敗の牡牝3歳3冠馬の誕生。同じ年に牡牝ともに3冠馬が出現するだけでも快挙なのに、ともに無敗ということで、この秋は本当に盛り上がりました。ただし返す返すも、多くの人が競馬場で直接その快挙を見ることができなかったことが、本当にもったいなかったと思います。

そして騎手に関しては、外国人の入国が制限されたこともあり、昨年大挙して来日した短期免許による外国人騎手も下半期は0。その中で昨年はついに0になったJCの外国馬ですが、今年はフランスからウェイトゥパリスが来てくれました。スタッフは2週間前に来日し、自主隔離しての参戦ということで感謝しかありません。残念ながら成績は振るいませんでしたが、JCの華やかさに貢献してくれたと思います。

それでは、JRA賞について各部門ごとに振り返りながら予想してみます。
まずは確実なところから。

●最優秀2歳牡馬
3年前にホープフルSがG1に昇格し、2歳牡馬のG1馬が2頭生まれることになり、毎年どちらが選ばれるかが焦点になります。最初の2年は朝日杯FSの勝ち馬が選ばれ、昨年初めてホープフルSの勝ち馬が選ばれました。
今年朝日杯FSを勝ったグレナディアガーズは、前走未勝利勝ちからということもあり7番人気の伏兵。対するホープフルSの勝ち馬ダノンザキッドは無敗の3連勝で、前走は東スポ杯を勝っていて1番人気での勝利。グレナディアガーズはクラシックを目指さない方針ということもあり、ダノンザキッドが選ばれるでしょう。

●最優秀2歳牝馬
ここは毎年阪神JFを勝った馬が選ばれる無風の部門ですが、年によっては異論がでることもあります。しかし今年勝ったソダシは新馬、札幌2歳S、アルテミスSからの無敗の4連勝で、2歳牝馬では唯一の重賞3連勝でのG1制覇と文句なし。着差が少ないとはいえ、展開に恵まれたわけではなく、勝ちきったところに意義があります。しかも白毛馬初のG1馬。白毛は目立つので初心者にもわかりやすく、来年はもっと人気が出るでしょう

●最優秀3歳牡馬
G1を勝った3歳牡馬は、コントレイル(皐月賞、ダービー、菊花賞)、ラウダシオン(NHKマイルC)の2頭。もちろん無敗で3冠を制したコントレイルが抜けている印象です。
菊花賞こそクビ差の辛勝でしたが、皐月賞1/2馬身、ダービー3馬身といずれもサリオスに差をつけており、さらに3着以下も離しています。さらに菊花賞から中4週のJCで、アーモンドアイに食い下がり2着。ここは満票での選出となるでしょう。

●最優秀3歳牝馬
今年のG1勝ち馬は、デアリングタクト(桜花賞、オークス、秋華賞)ただ1頭。桜花賞は重を後方から追い込み、オークスは前がふさがって何度も進路を探して方向を変える場面がありながら1/2馬身差で差し切り、秋華賞は直線余裕で抜け出し、それぞれ強い勝ち方。史上初めて無敗の3冠牝馬となりました。
JCでも競り合いを制して3着に入り、こちらも満票になると思います。

●最優秀短距離馬
マイル以下の古馬G1では、高松宮記念は繰り上がりでモズスーパーフレアが勝ったものの、安田記念、スプリンターズS、マイルCSとすべてグランアレグリアが1着。その他に香港スプリントをダノンスマッシュが勝っています。
グランアレグリアは高松宮記念こそハナ差2着に敗れましたが、安田記念はアーモンドアイに2 1/2馬身差の圧勝、スプリンターズSはスプリント戦ではありえないような後方一気で2差の完勝、マイルCSは着差こそ3/4馬身でしたが、マイルG1馬インディチャンプ、アドマイヤマーズを下す堂々の勝利。モズスーパーフレアもダノンスマッシュも破っており、短距離界NO.1を証明しました。

それでは、以下は迷うところを。

●最優秀4歳以上牡馬
今年国内の芝G1を勝った4歳以上牡馬は、フィエールマン(天皇賞(春))だけ。ドバイが中止になったり、海外遠征はハードルが高かったりという事情もあり、この部門はとてもさみしい結果に終わりました。
一応フィエールマンは天皇賞(秋)2着、有馬記念3着と好走しており、選ばれるとは思いますが、該当馬なしという票も一定数あるかもしれません。

●最優秀4歳以上牝馬
ここは逆にレベルが高すぎて迷う感じです。海外も含めてG1を勝ったのは、グランアレグリア(安田記念、スプリンターズS、マイルCS)、アーモンドアイ(ヴィクトリアM、天皇賞(秋)、JC)、ラッキーライラック(大阪杯、エリザベス女王杯)、クロノジェネシス(宝塚記念、有馬記念)、モズスーパーフレア(高松宮記念)、ノームコア(香港カップ)の6頭。しかもグランアレグリア、アーモンドアイは3勝、ラッキーライラック、クロノジェネシスは2勝と、例年なら当たり前のように選ばれるレベルです。
勝ち数でグランアレグリアとアーモンドアイの争いでしょうが、グランアレグリアは短距離馬で選ばれるので、こちらはアーモンドアイとなるのでしょう。ただし票は割れると思いますし、ラッキーライラック、クロノジェネシスにも、何らかの栄誉が与えられるといいのですが。

●最優秀ダートホース
JRAのダートG1は、フェブラリーSはモズアスコット、チャンピオンズCはチュウワウィザードが勝ちました。モズアスコットは南部杯こそ2着でしたがその他は着外。一方チュウワウィザードは川崎記念を勝ち、帝王賞、JBCクラシックは勝てないまでも3着好走。
交流G1ではクリソベリルが帝王賞、JBCクラシックを勝ち、オメガパフュームが東京大賞典を3連覇と活躍しましたが、残念ながらJRAのG1では好走できず。ここはチュウワウィザードが選ばれると思います。

●最優秀障害馬
ここは中山GJを勝った絶対王者オジュウチョウサンと、中山大障害を勝ったメイショウダッサイのどちらかでしょう。
オジュウチョウサンは今年は障害に専念し、上半期は阪神スプリングJ、中山GJと連勝。しかし京都JSで4着に敗れて障害の連勝は13でストップ。そこで怪我をして中山大障害は回避してしまいます。
一方メイショウダッサイは中山GJでオジュウチョウサンに食い下がり2着に入ると、東京HJを楽勝して中山大障害は逃げ馬をゴール直前で交わして戴冠。今年4戦3勝2着1回と安定しており、新星誕生の期待を込めてメイショウダッサイが選ばれるのではないでしょうか。

そして年度代表馬ですが、ここが一番の難問です。例年なら間違いなく選ばれるG1 3勝馬が4頭。うち2頭は無敗の3冠馬というハイレベル。
過去の3歳3冠牡馬はすべて年度代表馬となっており(制度ができる前のセントライトは除く)、しかも無敗となればコントレイルで文句なしとも思えるのですが、アーモンドアイは芝G1 9勝という大記録を樹立。しかも直接対決したJCで、アーモンドアイは2頭の無敗の3冠馬コントレイルとデアリングタクトを下しています。
しかし直接対決といえば、安田記念ではグランアレグリアがアーモンドアイを2 1/2馬身という決定的な差で破っているのです。
3頭の3冠馬の対戦を制し、もっとも印象的だったということで、アーモンドアイが選ばれるのではないかと思いますが、こちらもかなり票が割れるでしょう。

続いて2020年のベストレースです。
春のクラシック4戦はそれぞれ印象的でしたし、3冠目の秋華賞、菊花賞も偉業達成ということで強く記憶に残っています。また古馬では予想外に着差が開いた宝塚記念、アーモンドアイが8冠目を達成した天皇賞(秋)など、今年は印象深いレースが多かったと思います。
その中でもベストといえば、やはり3冠馬3頭が直接対決するという空前絶後のレースとなったJCでしょう。今後何年も語り継がれるでしょうし、その価値があると思います。

今年の2歳G1も、無敗のダノンザキッド、ソダシが勝って、来年のクラシックの中心となるでしょう。しかし圧倒的な強さという印象ではなく、これから新勢力の登場も期待できます。
特にディープインパクト産駒は実質的に最終世代となるので、どんな馬を送り込んでくるのか楽しみであるとともに、ポストディープインパクトがどうなるのか、興味深い戦いが期待できると思います。

また強い牝馬を象徴したアーモンドアイやラッキーライラック、海外を転戦したディアドラや、最後の有馬記念で強い印象を残したサラキアは引退しますが、グランアレグリア、クロノジェネシス、そして無敗で3冠を制したデアリングタクトは来年も現役。まだまだ牝馬の時代は続きそうな予感がします。
1日も早く普通に競馬場で観戦できることを祈りながら、2021年の競馬に期待したいと思います。

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