牝馬の時代を象徴する結果でした ~有馬記念

1年の締めくくりである有馬記念は、その年を象徴する結果になることがありますが、今年はまさにそのとおりになりました。

勝ったのは4歳牝馬のクロノジェネシス。G1は昨年の秋華賞、今年の宝塚記念に続く3勝目で、見事にファン投票1位および1番人気に応えました。また宝塚記念からのグランプリ連勝ということで、これは牝馬では昨年のリスグラシューに続く史上2頭目の快挙になります。

有馬記念の牝馬の優勝は、ガーネット(1959年)、スターロッチ(1960年)、トウメイ(1971年)、ダイワスカーレット(2008年)、ジェンティルドンナ(2014年)、リスグラシュー(2019年)に次ぐ7頭目。
そして2着も5歳牝馬のサラキアでしたが、牝馬のワンツーは史上初のこと。また4着にラッキーライラック(牝5)、5着同着にカレンブーケドール(牝4)と掲示板に4頭の牝馬が載ったのですが、そもそも複数の牝馬が載ること自体が初めてのことだったのです。
まさに今年の強い牝馬の年を象徴する結果と言えるでしょう。

クロノジェネシスは、アイビーSを勝つなど2歳時から注目はされていましたが、阪神JF2着、桜花賞とオークスは3着と、好走はするものの、なかなかG1は勝てませんでした。
秋華賞は得意のやや重馬場だったこともあり2馬身差で勝って、ようやくG1ホースとなります。しかし続くエリザベス女王杯は2番人気に支持されるものの、初めて馬券圏内を外す5着。
4歳になって初戦の京都記念は得意の重になり2 1/2馬身差で圧勝するものの、大阪杯はラッキーライラックに差されてクビ差2着と、なかなかG1では勝ちきれないレースが続きます。

そんなうっぷんを晴らしたのが、宝塚記念でした。
いったん良に回復した馬場が、直前の大雨で再びやや重に悪化するという幸運もありましたが、中団から早めに先頭に立つと、6馬身差の圧勝。初めてその持つポテンシャルの全貌を見せたレースだったと思います。これが今日の1番人気の大きな要因だったのでしょう。

秋初戦の天皇賞(秋)では、時計の速い軽い馬場への対応を不安視されたものの、メンバー2番の32.8という上りでアーモンドアイの1/2馬身+クビ差の3着に入り、あらためて力のあるところを見せました。

そして今日の有馬記念。クロノジェネシスは好スタートを切るも、下げて中団後ろで馬群を見る位置を、1頭だけで追走します。当面の相手と思われるフィエールマンは好位につけ、1000m1.02.2というスローペースの展開を考えると、ちょっと後ろ過ぎるのではないかと不安になります。ところがこれは宝塚記念でも感じた不安だったので、結果的には杞憂だったということになるのですが。
向こう正面でも後ろから5頭目の位置をキープし、北村友騎手はどうするのだろうと思っていたのですが、残り1000mぐらいから外を通って進出開始。3コーナーでは3,4番手のカレンブーケドールの外、フィエールマンを射程に入れる位置まで一気に上がってきます。
そして4コーナーでは馬なりでフィエールマンに並びかけ、コーナーワークでいったんは離されるものの、直線に入ってバビットを交わして先頭に立ったフィエールマンを猛追。
クロノジェネシスは、残り200mを過ぎてフィエールマンを捉えて先頭に立つと、内で粘るフィエールマンと馬体を離して叩き合いに。最後は1/2馬身フィエールマンの前に出て、外から追い込んできたサラキアをクビ差抑えて1着でゴールに飛び込みました。

最速の上りがサラキアの35.4で、クロノジェネシス自身は2位タイの上りとはいえ36.2とかなり時計が掛かる馬場であったことは、有利に働いたと言えるでしょう。
しかし天皇賞(秋)で示したように、良の上りの速いレースでも対応できる現状では、もはや怖いものはないとも言えます。

先日引退したアーモンドアイに加えて、今日好走したサラキアとラッキーライラックもこれで引退となります。
しかしクロノジェネシスに加えて、最強短距離馬のグランアレグリアや無敗で3冠を達成したデアリングタクトは来年も現役を続けてくれそうなので、まだしばらくは牝馬の時代が続くかもしれません。
来年の競馬も楽しみです。

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