意外な結果に終わった後は、いつも思い込みを排除することが大事だとつくづく思います。オークスの場合は、桜花賞組重視というのが個人的な大前提でした。実はこれはかなり自信があって、今年も予想に当たって初めから桜花賞組を中心に考えていました。
もちろんそれには根拠があるわけで、何度か桜花賞組を軽視して痛い目に合ってきたのです。
実際にこの10年で桜花賞組が連対できなかったのは、2011年の1回だけ。この年は1着が500万、忘れな草賞と連勝で臨んだエリンコート(7番人気)で、2着はフローラS3着から逃げ粘ったピュアブリーゼ(8番人気)。馬連は42,750円と大荒れになりました。
逆にこの年以外の9回は桜花賞組が必ず連対しており、しかも2015年のミッキークイーン(前走忘れな草賞1着)以外は、すべて桜花賞からの馬が1着になっているのです。
また連対馬の前走は、桜花賞、フローラS、忘れな草賞の3つに限定されており、その意味ではとても予想しやすいレースだとも言えます。
今年1番人気になったのは、デビュー3連勝で前走忘れな草賞を3馬身差で楽勝したラヴズオンリーユーでした。血統はディープインパクト×ストームキャットの成功例の多い組み合わせで、リアルスティールの全妹とオークス1番人気にふさわしいものだと思います。
しかし、3戦すべて9頭立て以下の少頭数で、18頭のフルゲートは今回が初めて。忘れな草賞は楽勝といっても勝ちタイムは2.00.6で上りも34.6と平凡。東京への輸送も初で、春の時点の3歳牝馬には乗り越えないといけないことが多すぎるように思えました。
それに対して個人的に中心視したのは、桜花賞3着から臨んだクロノジェネシスでした。阪神JFは1番の上り33.9で1/2馬身差2着で、桜花賞は2番の上り32.9で2 1/4馬身差3着。東京は2戦2勝でクイーンCは後方からクビ差1着。
やや勝ちきれないところは気になりますが、実績的にも経験も明らかにラヴズオンリーユーよりは上と踏んだのです。
ただしもちろんクロノジェネシスにも不安はありました。その一つは前向きな気性です。調教師も桜花賞はぎりぎり我慢が効いたと言っており、実際にパドックで見たクロノジェネシスは、馬体はすばらしいものの時々小脚を使うなどテンションは高めで、2400mの距離を考えると若干の不安が残ります。
対するラヴズオンリーユーは、初の長距離輸送にもかかわらず落ち着いており、雄大な馬体とゆったりとした歩様が印象的でした。
レースでは、好スタートから逃げたジョディーのペースが意外に早く、1000mは59.1と去年1頭で離して逃げたサヤカチャンよりもさらに速いペース。それをいつもより前の4番手で追走したクロノジェネシスは想定よりもハイペースとなってしまったのでしょう。直線は早めに抜け出したカレンブーケドールを懸命に追うものの、ラヴズオンリーユーには並ぶ間もなく交わされ、カレンブーケドールにも離され、3着を確保するのがやっとという結果に終わりました。
対するラヴズオンリーユーは中団外を折り合って追走し、直線は外に出すとすばらしい末脚を披露して、 粘るカレンブーケドールを 1番の上り34.5で競り落とし優勝。カワカミプリンセス以来13年ぶり5頭目の無敗のオークス馬となりました。展開が向いたのもありますが、やはり力が違ったという印象です。
そしてそのラヴズオンリーユー以上に驚かされたのは、2着のカレンブーケドール。こちらもスイートピーSからは来ないという前提で、ほぼ無条件に馬券の対象外としてしまいました。
とはいえ、13年前のカワカミプリンセスはスイートピーSから連勝でオークスを勝っており、絶対来ないというわけではないのです。
よく決まった前走以外からは来ないという安易な予想をすることがありますが、考えてみればどんなローテーションを取ろうが強い馬は強いわけで、ローテーションではなくその馬の力をきちんと見るのは当たり前なことなのです。
とはいえ、カレンブーケドールもスイートピーSは快勝していたものの、その前のクイーンCではクロノジェネシスに並ぶ間もなく交わされて1馬身差の4着。負けるにしても、もう少し惜しい負け方をしていてくれたら・・・。
3歳馬は短期間で成長する馬もいて、そういうことは終わってからわかることも多いのですが、血統などで推測することは全く不可能ではないでしょう。まあ実際には難しいですが。
こういうレースを当てるには、思い込みを排して、しっかりと観察し考えることが大切だと、あらためて感じた次第です。