ヴィクトリアマイルと言えば、4年前に3連単で2000万円馬券が出たように、荒れるイメージが強いレースです。そして今年は単勝1番人気が4.3倍と中心馬不在で、まさに宝くじを買うような、当たればラッキーという感覚でした。
こういう時は展開がカギになると思い、まずは逃げ先行馬が多いことからペースが早めになると予想し、先行してこそのアエロリットやミッキーチャームの狙いを下げ、末脚鋭いプリモシーンやノームコアを重視したのですが、まさにその通りの結果となりました。
とはいえ、クロコスミアまでは手が出ませんでしたが・・・。
そんなヴィクトリアMですが、今年の結果を見て注目されたのは馬よりも騎手だったでしょう。それはオーストラリアから短期免許で来日し、4/27から騎乗しているダミアン・レーン騎手です。
近年はムーア騎手やモレイラ騎手など世界的に活躍する騎手が短期免許で乗りに来ることも多く、その活躍もあたりまえのようになりました。昨年末から騎乗したマーフィー騎手も印象的でしたが、レーン騎手はそれを上回るような強さを見せています。
レーン騎手は今回が初来日で4/27から騎乗を始めたのですが、翌28日の東京5Rで初勝利を挙げると、その日だけで4勝の固め打ち。3日開催の翌29日は新潟記念で重賞初制覇。しかも7番人気の馬で中団から差し切ったのです。
翌週は土曜日に1勝すると、初のG1となるNHKマイルCにも騎乗。レーン騎手への期待もあり騎乗馬グルーヴィットは4番人気に押されましたが、残念ながら10着に敗退。
そして今週の土曜日は東京で3勝した後、メインの京王杯SCは騎乗停止となったルメール騎手の代打騎乗となった1番人気のタワーオブロンドンを、見事にレコードで優勝に導きます。この時点で重賞2勝を含む10勝と、まさに神騎乗と呼べる大活躍。
さらに日曜日は4Rで11勝目を挙げた後、2回目のG1騎乗となったヴィクトリアMで5番人気のノームコアで中団から外を通って差し切り、初騎乗から7日目でのG1制覇となりました。しかも1.30.5と2日連続のレコードタイム。
ノームコアは昨年の紫苑Sを圧勝し、力があることはわかっていましたが、前走中山牝Sでは内に包まれて7着に敗れるなど運にも恵まれず、今回人気を下げていました。
しかしその良さを初騎乗で最大限に発揮し、クビ差で勝利したのは、騎手の力が本当に大きいと感じさせられました。
ルメール騎手がダービーまで乗れないことになり、レーン騎手はその代打としてオークスはフラワーCを逃げ切ったコントラチェック、そしてダービーは皐月賞を勝って1番人気が見込まれるサートゥルナーリアに乗ることになりました。
本人もまさかそんなことになるとは思っていなかったでしょうが、日本的に言えば騎手冥利に尽きるという感じでしょうか。まだ25歳とは思えない度胸のある落ち着いた騎乗で、今後どんな活躍を見せてくれるのか、とても楽しみです。