今年の桜花賞は、デビュー以来阪神JF、チューリップ賞を含む4連勝中のソウルスターリングが、1.4倍の圧倒的な1番人気に支持されました。しかも阪神JFは2番の上りで1 1/4馬身差、チューリップ賞も2番の上りで2馬身差と、同世代の強い馬が集まるレースをともに圧勝しており、その評価は妥当でしょう。
ただし少しだけイヤな予感がしたのは、この2年、桜花賞で圧倒的な1番人気に支持された馬が、ともに4着以下に敗れていることでした。
まずは2015年のルージュバック。デビューから3連勝で、牡馬相手にきさらぎ賞を快勝し、そこから桜花賞を狙ってきました。3戦とも上りは最速で、新馬戦は32.8。しかも3戦は1800mと2000mでスタミナ的に問題なく、先行もできて安定感もあります。
そのため1.6倍の圧倒的な1番人気に支持されました。しかし初の多頭数にとまどったのか、道中は中団からどんどんポジションを下げてしまい、スローで逃げ切ったレッツゴードンキから1.0秒差の9着に終わりました。
2016年はメジャーエンブレムがデビューから5戦4勝2着1回で、阪神JFとクイーンCを圧勝して臨みました。しかもクイーンCは、1.32.5の好タイムで5馬身差をつけて逃げ切り楽勝。そのスピードは3歳牝馬とは思えないものでした。
そのため1.5倍のまたもや圧倒的な1番人気に支持されたのです。しかし今まで先頭か2番手から競馬を進めていたのが、抑えてポジションを下げて中団。さらに直線は馬群に押し込められそうになってバランスを崩し、最後は外から差してきた馬に交わされて0.4秒差4着まで。
当然この2頭のことは予想に際して意識しました。しかもソウルスターリングも含めて3頭とも関東馬。過去10年で桜花賞馬を制した関東馬は、2010年のアパパネと2013年のアユサンの2頭しかおらず、西高東低の中では苦戦してもおかしくないのです。
しかしソウルスターリングがルージュバックやメジャーエンブレムと違うのは、勝ち馬を最も多く輩出しているトライアルのチューリップ賞を勝っているということでした。今年こそは大丈夫と、多くの人が思ったことでしょう。
ところが「2度あることは3度ある」の格言が当たってしまいました。
ソウルスターリングはいつもよりやや後方の6,7番手の外を進むと、直線は外から脚を伸ばし、先に抜け出したレーヌミノルにじりじりと迫ります。しかしいつものような伸び脚はなく、レーヌミノルを交わせないどころか、ゴール前では後ろから差してきたリスグラシューに交わされて3着に終わりました。
レーヌミノルもリスグラシューも阪神JFでは3,2着に下しており、さらにリスグラシューにはチューリップ賞では2 1/2馬身差をつけて、勝負付けは済んだ印象を与えていました。
敗因としては、ルメール騎手も言っているように、やや重という馬場状態が影響したことはあるでしょう。いつものような伸び脚が見られませんでした。しかし個人的に気になったのは、今までゴール前の追い比べを経験していなかったことでした。チューリップ賞も並ぶ間もなく早めに抜け出して突き放していました。しかし桜花賞では、前を行くレーヌミノルとの追い比べとなり、最後はあきらめてしまったようにも見えました。
キャリアの少ない3歳春では、どんなことが災いするか、あるいは幸いするかわかりません。古馬と違って、ちょっとしたことで結果が違ってしまうことは、よくあるのでしょう。
そのあたりも考えて予想をする必要があると、改めて感じました。