昨年までのG2産経大阪杯が、今年からG1に昇格し、新たに大阪杯と名前を変えて行われました。
産経大阪杯というと、天皇賞(春)のトライアルでありながら距離が1000m以上短いこともあり、天皇賞(春)を目指さない中距離馬の出走も多くて、個人的にはやや中途半端なイメージがありました。やはり王道としては、阪神大賞典あるいは日経賞から天皇賞(春)というのが、ふさわしいと思えるのです。
実際に過去10年の天皇賞(春)の勝ち馬を見ると、産経大阪杯から臨んだのは、2007年メイショウサムソン、2011年ヒルノダムール、2016年キタサンブラックの3頭。決して多いとは言えないでしょう。
G2からG1に昇格するためには、過去の出走馬のレーティングがある基準を満たさないといけないそうですが、春シーズンに古馬の中距離に適当なレースがないこともあり、毎年G1馬の出走があり、その意味ではレベルの高いG2ではあったと思います。
今年の大阪杯ですが、残念ながらフルゲートには満たなかったものの、昨年の1,2着馬アンビシャス、キタサンブラックを初め、昨年のダービー馬マカヒキ、昨年末の香港ヴァーズを制したサトノクラウンと、なかなかのメンバーが集まりました。
その中で1番人気に支持されたのが、昨年の年度代表馬キタサンブラック。昨年は天皇賞(春)、ジャパンカップのG1 2勝を初め、有馬記念僅差の2着など6戦3勝2着1回3着1回と、負けてもクビ差の安定した成績でした。
ただし負けた3戦がいずれも鋭い末脚の馬に差されたもので、そのうち2戦が2000mの産経大阪杯と2200mの宝塚記念。3歳時は距離不安がささやかれたのですが、今は逆に2000mでは距離不足ではということが、唯一の不安とされたのは皮肉なことです。
レースはマルターズアポジーとロードヴァンドールの2頭の逃げ馬が引っ張り、さらにキタサンブラックやサトノクラウンがつつくことで速めのペースになるのではと思われたのですが、マルターズアポジーが離して逃げたものの、1000m59.6と意外に遅めの流れ。特にやや離れた3番手を追走したキタサンブラックには楽なペースとなりました。
そのため4コーナーを回ってすぐに追い出したキタサンブラックは、早めに先頭に立ったものの、最後まで脚色は衰えず、2着ステファノスに3/4馬身差とはいえ、着差以上の強さを見せつけて優勝しました。さすが昨年の年度代表馬という、堂々とした勝ち方だったと思います。
末脚に賭けたアンビシャスやマカヒキは、いずれも33秒台の末脚を見せたものの、さすがに楽なペースで行ったキタサンブラックを捉えることはできませんでした。
今年からG1レースが2つ増えて、G1完全制覇まであと1つとしていた武豊騎手は、一気に残り3となってしまったのですが、早速1つを取って、残り2つとしました。まあ産経大阪杯を過去に6勝と得意にしていたので、時間の問題ではあったと思いますが。
残り2はいずれも年末の2歳G1。今年一気にというのは難しいと思いますが、どうなるのか楽しみです。