マイルCSは、3番人気ミッキーアイルが1.33.1で逃げ切って優勝し、NHKマイルCに続くG1 2勝目を手にしました。600mが34.4と平均ペースで進んだものの、上り最速が34.6と良発表にもかかわらずかかっており、時計のかかる馬場だったことも幸いしたように思います。
2着は好位を進んだイスラボニータ、3着は2番手から粘ったネオリアリズムで、後方からの馬は出番なしでした。展開の予想はだいたいあっていたのですが・・・
そのミッキーアイルですが、ゴール前で大きく外によれて、2着ネオリアリズム、5着サトノアラジン、10着ディサイファ、4着ダノンシャークが大きな不利を受けました。そのために審議になり、久々にドキドキ感を味わいました。
JRAの降着制度が2013年に変更になり、「その走行妨害がなければ被害馬が加害馬に先着していた」と判断した場合」しか降着にならないことになり、大幅に降着になるケースは減ったと思うのですが、それでもいったん当たったと思った馬券が、最終的に外れになるショックは、なかなか大きいものです。もちろん逆に外れが当たりになることもあり、それはラッキーですが、個人的な記憶としては、悔しさの方が強いです。
調べてみるとJRAで降着制度が始まったのは、1991年と意外と新しいのです。それまでは進路妨害は一律失格としていたのですが、馬券購入者への影響が大きいと積極的に適用しない傾向にあり、ラフプレイを助長するということで、降着制度が導入されました。
その初年度に起こったのが、天皇賞(秋)でのメジロマックイーンの1位入線18着降着でした。このレースは、私は馬券を買っていなかったのですが、JRAや武豊騎手へのブーイングがすさまじかったのを覚えています。
その後も何度か大きなレースでの降着は起きていますが、個人的に強く印象に残っているのが、2010年のジャパンカップでのブエナビスタの降着です。とても好きな馬で、その年のJCでも馬券の中心にして応援していたのですが、2馬身近い差をつけて1位入線したにも関わらず、2着に降着となりました。ブエナビスタ自身2度目(1回目は2009年秋華賞で2位入線も3着降着)ということもあり、最後の勝負所で一所懸命になるあまり、よれてしまうのかなと好意的に解釈していました。
進路妨害をすると騎手に制裁がいくように、その責任のかなりの部分は騎手が負っていると思われるのですが、安藤勝騎手やスミヨン騎手という名手をしても避けられなかったということは、やはり馬の癖によるものだったのでしょう。
ただ個人的に馬連を買うので、馬券的には被害がなかったということで、冷静に見られるという面はあるかもしれません。
他に馬券的には救われたのが、1996年のエリザベス女王杯でのヒシアマゾンの2位入線7着降着です。ヒシアマゾンとは個人的にとても馬券の相性が悪かったのですが、この時は長期休養明けで、しかも休養前も大敗していたので、思い切って馬券の対象からは外していたのです。
ヒシアマゾンといえば、後方から追い込むイメージが強いのですが、このレースでは先行して粘り、ダンスパートナーには差されたものの2位で入線します。しかし久々が響いたのか斜行して進路妨害を取られてしまいました。馬券的にはそれで当たりになったのですが、久々のレースで、よれるほど頑張ったヒシアマゾンに対して、申し訳ないような複雑な気持ちになったことを覚えています。
公正を確保し、ラフプレーなどを防ぐ意味で、降着・失格のルールがあることはわかります。しかしその一方で馬券を買う側には落ち度はないわけですが、当たり馬券が外れ馬券になることで、その責任の一端を負わされるように思えて、なんとなく納得いかない思いを個人的には持っていました。
その意味では、新しい降着・失格のルールは、以前よりはよいと思います。
勝負所で苦しくなってよれてしまうのは仕方ないことなのでしょうが、できれば騎手の皆さんにはそれを防ぐような努力をしてもらって、誰もが納得いくようなレースを見せてもらいたいと思います。