有馬記念から1週間たちましたが、年が明けてしまうと去年の競馬もずいぶん前のことのように思えてしまいます。そこで2014年を振り返ってJRA賞を個人的に予想するとともに、ベストレースを選んでみたいと思います。
2014年は、オルフェーヴルやロードカナロアなどの実力馬が引退し、全体的に混戦が多かった印象があります。特にJRAのG1レースを複数勝った馬がいないということで、年度代表馬争いは混とんとしているのではないでしょうか。しかし、ドバイでのジャスタウェイの走りは、世界トップのレーティングを獲得するなど印象深いものがありましたし、JCでのエピファネイアの圧勝は、かなり驚かされました。
それでは、各部門ごとに振り返ってみます。
まずは確実なところから。
●最優秀2歳牡馬
朝日杯FSが中山から阪神に移り、従来のラジオNIKKEI杯が中山2000mのホープフルSになるなど、将来を見据えてレース体系が変わったイメージがありますが、クラシックを狙う馬が朝日杯を回避する傾向が強まってきているので、ある意味妥当ではないかと思います。朝日杯のコースもトリッキーな中山よりも阪神の方がよいでしょう。
その朝日杯FSですが重賞勝ち馬5頭が顔をそろえたものの、いずれも4番人気以下で勝ったこともあり混戦模様。そこを制したのは500万を制したばかりのダノンプラチナでした。唯一のディープインパクト産駒ということで、マイルでのディープ産駒の強さを改めて示しましたが、1番人気での勝利でもあり、ダノンプラチナで問題ないでしょう。
●最優秀2歳牝馬
2014年の阪神JFは、重賞勝ち馬5頭が顔をそろえた2013年とは異なり、重賞勝ちは前哨戦勝ち2頭を含む3頭だけとやや小粒な印象でした。そこで勝利を収めたのが牡馬と同様に500万勝ちで出走馬中唯一のディープインパクト産駒ショウナンアデラ。着差は1/2馬身でしたが、1頭だけ違う脚で差し切ったレースぶりは見事でした。ということで、こちらもショウナンアデラでいいでしょう。
●最優秀4歳以上牝馬
G1を勝ったのは、ヴィクトリアマイルのヴィルシーナ、エリザベス女王杯のラキシス、有馬記念のジェンティルドンナの3頭。この3頭は有馬記念で激突してジェンティルドンナが勝ちましたし、やはり牡馬混合のG1を勝ったという価値は高く、ジェンティルドンナで間違いないと思います。
●最優秀障害馬
中山GJを5馬身差で圧勝した昨年の最優秀障害馬アポロマーベリックと、中山大障害をディープインパクト産駒として初めて制したレッドキングダムの戦いでしょう。ただアポロマーベリックは中山大障害でも2着と安定しており、中山限定という感じもありますが、アポロマーベリックでよいのではないでしょうか。
●最優秀ダートホース
JRAのダートG1は2戦しかなく、フェブラリーSを勝ったコパノリッキーか、チャンピオンズCを勝ったホッコータルマエのどちらかが有力です。それぞれの成績を見ると、ホッコータルマエはフェブラリーSで2着だったのに対して、コパノリッキーはチャンピオンズCでは12着大敗。交流G1はそれぞれ2勝ずつですが、東京大賞典でもコパノリッキーを抑えてホッコータルマエが勝っており、印象度からもホッコータルマエで決まりでしょう。
今年はかなりの混戦で、迷うところが多いのですが・・・。
●最優秀3歳牡馬
3冠の勝ち馬がすべて異なり、また古馬との対戦で結果が出ていないこともあり、かなり悩ましい状況です。菊花賞を勝ったトーホウジャッカルはそれ以外の実績が少ないので、皐月賞を勝ったイスラボニータとダービーを制したワンアンドオンリーの争いとなります。直接対決は2勝2敗ですが、イスラボニータは天皇賞(秋)3着がやや有利。しかしダービー馬の称号は重く、またダービーでイスラボニータを下したということから、ワンアンドオンリーが選ばれる可能性が高いように思います。
●最優秀3歳牝馬
ここは桜花賞馬ハープスターとオークス馬ヌーヴォレコルトの一騎打ちでしょう。ハープスターはオークスは2着も札幌記念でゴールドシップを下して優勝し、凱旋門賞では日本馬最先着の6着。JCも5着に好走しています。片やヌーヴォレコルトは桜花賞は3着に敗れたものの、秋は秋華賞、エリザベス女王杯と連続2着で安定。オークス以降は路線が異なるので難しいのですが、海外や牡馬相手の好走を評価してハープスターが選ばれるのではないでしょうか。
●最優秀4歳以上牡馬
ここが最も難しいのですが、候補は安田記念を勝ったジャスタウェイ、宝塚記念を勝ったゴールドシップ、JCを勝ったエピファネイアの3頭でしょうか。ジャスタウェイはドバイでの圧勝と世界No.1のレーティングが印象的ですし、ゴールドシップは両グランプリでの安定感、エピファネイアはJCでの4馬身差圧勝が強く記憶に残っています。ただ、昨年のバランス配分を参考にすると、ジャスタウェイには最優秀短距離馬に回ってもらって、JC圧勝のエピファネイアを来年への期待を込めて選ぶというのが妥当かなという気がします。
●最優秀短距離馬
上の最優秀4歳以上牡馬を受けて、ここは必然的にジャスタウェイでしょうか。ただ、JC2着、有馬記念でも僅差の4着に来た馬を短距離馬と呼ぶのは、どうもしっくりこないのですが・・・。
そして年度代表馬ですが、上記から選ぶとすれば、やはりジェンティルドンナでしょうか。JC連覇や芝のG1を7勝など、過去の名馬たちと比べてもそん色のない素晴らしい成績を上げてきましたし、初コースとなる有馬記念での走りも見事でした。
続いて2014年の個人的なベストレース。
ダービーの2頭の戦いもかなり印象深かったのですが、驚いたという意味でエピファネイアが4馬身差で圧勝したJCを選びたいと思います。東京の2400mを先行して、かつ直線で4馬身離して圧勝するというのは、一流馬が集結するJCでは、なかなか見られないシーンです。ただ惜しむらくは、そのエピファネイアの安定感がないことです。強い時のエピファネイアのパフォーマンスを常に発揮することができれば、とんでもなく強い馬になれると思うのですが。
それはまた2015年の競馬に期待しましょう。