G1で2強対決といわれる場合は、だいたいどちらかが崩れて、その2頭で決まることは極めて稀だと思うのですが、その稀有なケースが今日のヴィクトリアMで実現しました。
単勝1.5倍と圧倒的な1番人気に支持されたブエナビスタに対して、昨年の牝馬3冠馬のアパパネは4.1倍の2番人気。
レースは、ハイペースに流れる中団の外をアパパネが追走し、それをマークするように2馬身ほど後ろにブエナビスタが続きます。そして直線で先行するレディアルバローザを追って先に抜け出したアパパネに対して、坂下までは2馬身ほどの差が詰まらなかったブエナビスタですが、坂を上ってゴール前で一気にクビ差まで詰めます。しかしアパパネはブエナビスタを堂々と振り切って、秋華賞以来のG1奪取となりました。
これでアパパネは、牝馬としては史上最速でのG1 5勝目となり、G1の数でもブエナビスタと並びました。しかしすごいのは、オーナーの金子真人氏(現在の名義は金子真人ホールディングス)。牡馬と牝馬の3冠馬を史上初めて所有したというだけでもすごいのに、さらに他にもG1勝ち馬がキラ星のごとく並びます。
表彰式では、これでJRAのG1は23勝目と紹介されたのですが、何があるのかちょっと調べてみました。
1999年 スプリンターズS ブラックホーク
2001年 NHKマイルC クロフネ
2001年 安田記念 ブラックホーク
2001年 エリザベス女王杯 トゥザヴィクトリー
2001年 JCダート クロフネ
2004年 NHKマイルC キングカメハメハ
2004年 日本ダービー キングカメハメハ
2005年 皐月賞 ディープインパクト
2005年 日本ダービー ディープインパクト
2005年 菊花賞 ディープインパクト
2005年 JCダート カネヒキリ
2006年 フェブラリーS カネヒキリ
2006年 天皇賞(春) ディープインパクト
2006年 宝塚記念 ディープインパクト
2006年 ジャパンカップ ディープインパクト
2006年 有馬記念 ディープインパクト
2007年 NHKマイルC ピンクカメオ
2008年 JCダート カネヒキリ
2009年 阪神JF アパパネ
2010年 桜花賞 アパパネ
2010年 オークス アパパネ
2010年 秋華賞 アパパネ
2011年 ヴィクトリアM アパパネ
この7年は、毎年G1を勝っていることがわかります。すごい馬主運ですね。これで気になるのが、あといくつ勝っていないG1が残っているのかということです。
JRAの平地G1は現在22あるのですが、そのうち金子オーナーが勝っていないのは、高松宮記念、天皇賞(秋)、マイルCS、朝日杯FSのわずか4つ。よく武豊騎手が勝っていないG1として、マイルCSと朝日杯FSがあげられますが、毎年のように有力馬に乗るトップジョッキーとは異なり、自分で買って預託した馬で勝つのだから、その運たるや、すごいものです。
ちなみに武豊騎手と、マイルCS、朝日杯FSが共通しているのが、興味深いところでもあります。
天皇賞(秋)とマイルCSは、ダイワメジャーのような強い中距離馬であれば連勝も可能ですし、案外この秋にアパパネが両方を制してしまうかもしれません。ただ、残る朝日杯FSと高松宮記念は、なかなか難しいかもしれません。
後者はブラックホークの2着があったので、勝っていればという感じですが。
もし達成できればまさに空前絶後の記録だと思いますが、今日の勝利でまた1歩近づいたわけですから、ぜひ期待したいと思います。