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大一番での大胆な策が明暗を分けました ~日本ダービー

今年のダービーは混戦と言われていました。
そもそも皐月賞の1番人気が牝馬のファンディーナだったように、今年の3歳は牝馬はレベルが高いものの、牡馬は今一つというのが定説でした。また皐月賞の上位馬も、1着アルアインは毎日杯1着から、2着ペルシアンナイトはアーリントンC1着から、3着ダンビュライトは弥生賞3着からと、トライアル連対馬の名前はなく、特に1,2着馬はマイルでの好走が多いことから距離不安がささやかれて、ダービーの中心となるべき馬が見えなかったのです。
しかし皐月賞は昨年のディーマジェスティのレースレコードを0.1秒上回る1.57.8で決着しており、決してレベルが低いわけではないのです。ただダービー出走馬で重賞2勝馬がアルアインとカデナの2頭だけで、3勝以上した馬はいないことからもわかるように、抜けた存在がおらず、またそれぞれに不安もあって、そもそもどの馬が1番人気になるかさえも予想できないような混とんとした状況でした。

そんな中1番人気に支持されたのは、青葉賞を2.23.6の好タイムで2 1/2馬身差圧勝したアドミラブル。たしかにその勝ちっぷりは見事だったのですが、過去に青葉賞1着からも2400mを2勝した馬からもダービーを制した馬はなく、また過去10年で掲示板にすらのっていない8枠18番の大外枠。この10年で1枠1番が4勝しているように内枠有利なダービーでは、かなり不利な枠順でした。
また2番人気レイデオロ、3番人気スワーヴリチャードともに皐月賞で5,6着と負けており、東京で巻き返しは期待できるものの、必ずしも大きく信頼がおける存在でもありません。

レースは横山典騎手のマイスタイルが予想に反してハナに立ち、そのあとうまくスローに落とします。そのペースは1000m1.03.2の超スローペース。遅いことは各騎手もわかっていたのでしょうが、いったん隊列が落ち着いてしまうと、それを壊すのはかなり勇気がいることだと思います。
そんな中で唯一大きく動いたのは、レイデオロのルメール騎手でした。2コーナーを回って極端なスローペースとみると、向こう正面で後方5番手から外を通って一気に進出し、3コーナー手前では2番手まで上がります。よく掛かって行ってしまう馬はいて、そういう馬はだいたい抑える騎手に逆らって行くのですが、レイデオロは折り合いを欠いた素振りもなく、あくまでも騎手の指示に従って自然にポジションを上げていったのです。

これを見て思い出したのは、皐月賞のペルシアンナイト。皐月賞はスローではなかったのですが、開いている内を一気に後方から進出したペルシアンナイトは、好位から内を突いて伸び、アルアインには交わされたもののクビ差2着に入りました。内と外との違いはありますが、いずれも大胆な騎乗で、しかもそれが好成績につながったのですから、結果的にはすばらしい判断だったと言えます。
そのペルシアンナイトに乗っていたのがM.デムーロ騎手。ダービーでは1番人気のアドミラブルに乗って後方にいたのですが、ダービーではスローにもかかわらず後方のままで直線に賭けます。1番人気だったことや直線の長い東京だったこともあるでしょうが、そこで行かなかったことが結果的に明暗を分けたのではないでしょうか。

2番手を追走したレイデオロは、直線に入ると先週のオークスでのソウルスターリングとまさに同じように、馬場中央に持ち出すと早めに追い出して、最内で粘るマイスタイルと大きく離れて壮絶な追い比べ。残り200mでも並んだままで、さらに後ろからスワーヴリチャードもじりじりと迫ってきます。
しかし残り150mでマイスタイルを競り落とすと、3/4馬身差まで迫ったスワーヴリチャードにそれ以上差をつめさせず、力強い足取りで見事にダービーを制しました。

これでルメール騎手は、ヴィクトリアMのアドマイヤリード、オークスのソウルスターリングに続くG1 3連勝で、42年ぶりの同一年オークス、ダービー制覇の偉業を達成。藤沢和師も開業30年での初のダービー勝利で、かつルメール騎手と同じく同一年オークス&ダービー勝ちを成し遂げました。
それもこれも、向こう正面でのルメール騎手の、馬の力を信じた好判断がなければ、なかったかもしれません。後方集団にいたアドミラブルは、メンバー1の上り33.3で猛然と追い込むものの2馬身差の3着まで。レース自体の上りが33.8なので、今の東京の馬場ではこれを差し切るのは無理でしょう。

個人的な予想が当たったということもありますが、強い馬と才能ある騎手の好騎乗によるすばらしいレースを見ることができて、まさにダービーを堪能できた1日でした。そして改めてダービーというのは、みんなが勝ちたい特別なレースなんだと実感できました。
そして早くも来週から、来年のダービーを目指して2歳戦が始まります。どんな馬たちがどんなレースを見せてくれるのか、とても楽しみです。

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