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2017年04月30日

2強は並び立たなかったが ~天皇賞(春)

両雄並び立たずはかなり信頼性の高い競馬の格言だと個人的には思っています。実際にどちらか一方、時には両方が飛ぶ確率が、割と高いのではないでしょうか。
今年の天皇賞(春)は、その2強対決になりました。そして今回の2強はかなり強力で、正直どちらが勝つのかわかりませんでしたし、どちらも着外に沈むシーンは想像もできませんでした。今回こそは2強が並んでゴールするようなシーンがあり得るのではとも思えたのです。

その2強のうちの1頭は、昨年に続く連覇を狙うキタサンブラック。ダービーで大敗した以外は3着をはずしたことがなく、昨年も逃げていったん交わされるも差し返すという強い勝ち方。3000m以上は2戦2勝で、前走大阪杯もG1でありながら、着差以上の余裕と実力差を感じさせる勝ち方で、まさに現役最強と言える走りを見せてくれました。

そしてもう1頭が、昨年の有馬記念でそのキタサンブラックをクビ差交わして優勝したサトノダイヤモンド。ダービーでハナ差2着に敗れた後は、菊花賞を2 1/2差で完勝し、有馬記念1着に続いて今年初戦の阪神大賞典は1 1/2差の強い勝ち方で4連勝。こちらも3000m以上は2戦2勝でともに完勝し、同じく負けるシーンが想像できません。

この2頭の評価も微妙で、金曜販売ではキタサンブラックが1.4倍の1番人気に対して、サトノダイヤモンドが3.7倍の2番人気とずいぶん離れていたのですが、前日の土曜日締め切り時点では、サトノダイヤモンドが2.1倍の1番人気と逆転し、キタサンブラックが2.7倍の2番人気。最終的にはキタサンブラックが2.2倍の1番人気で、サトノダイヤモンドが2.5倍の2番人気となりました。

実は天皇賞(春)は近年はかなり荒れるG1として定着しており、1番人気は2006年のディープインパクト1着を最後に10年間連対できず、しかも2008年3着のアサクサキングス以外は3着以内もないという体たらく。
その中には、3冠レースと有馬記念を含む6連勝から逸走しながら2着になった阪神大賞典を経て、1.3倍の圧倒的な1番人気に支持された2012年のオルフェーヴル(11着)や、菊花賞から有馬記念、さらには阪神大賞典と圧勝を続けてきて同じく1.3倍の1番人気になった2013年のゴールドシップ(5着)と、およそ負けるシーンが想像できなかった馬も含まれるのです。
そのことがジンクスのようになっていて、今年の2強も意外にあっさり沈むシーンがあるのかもと、個人的には一抹の不安を抱かされたのも事実でした。

レースは予想通りヤマカツライデンが逃げてキタサンブラックは2番手、サトノダイヤモンドは中団を進みます。途中からヤマカツライデンが大きく引き離すものの、天皇賞(春)7勝の武騎手はあわてず離れた2番手をキープ。3コーナーでばてて下がってきたヤマカツライデンを4コーナー手前で交わすと、直線は早くも先頭。
対するサトノダイヤモンドは4コーナー手前から外を通って進出すると、直線ではキタサンブラックとの距離をどんどん詰めていきます。残り200mで内のシュヴァルグラン、アドマイヤデウスをとらえるものの、そこからは伸びず、いったん並んだシュヴァルグラン、アドマイヤデウスにも前に出られて4番手に。
その間にも先頭のキタサンブラックは力強い末脚で後続を寄せ付けず、危なげないレースぶりで連覇を達成。シュヴァルグランが2着をキープし、最後に再び伸びたサトノダイヤモンドは、アドマイヤデウスは交わしたものの3着まで。

やはり2強は並び立たなかったものの、サトノダイヤモンドは最低限の3着はなんとかキープし、3連単は3,780円とディープインパクトが勝った2006年(3連単4,320円)以来久しぶりに万馬券にならない、固い決着となりました。

今日の結果を見ると、やはりステイヤーの資質がキタサンブラック、シュヴァルグランの方が、サトノダイヤモンドよりも上だったということだと思いますが、逆に言えば距離が短くなれば十分逆転の可能性はあると思います。
キタサンブラックは来年も現役続行と、大阪杯のあとにオーナーの北島三郎さんが言っていましたが、ということはまだ何回も2頭が対戦する機会はあるでしょう。互いに切磋琢磨して、またわくわくするようなおもしろいレースを見せてもらいたいと思います。

2017年04月16日

牝馬には牡馬の”圧”が厳しかった? ~皐月賞

今年の皐月賞は、牝馬のファンディーナの参戦で、69年ぶりの牝馬による快挙なるかが大きな話題となりました。デビュー3連勝がいずれも先行して楽勝で、特に前走のフラワーCは直線で突き放して5馬身差の圧勝。今年の3歳牡馬は弱いという評価もあって、そのファンディーナは最終的に2.4倍の圧倒的な1番人気に支持されたのです。

牝馬による牡馬クラシック勝利といえば、2007年のウオッカによるダービー制覇が思い浮かびますが、逆に言うと近年ではそれしかないわけで、だからこそ快挙だったのです。そのウオッカは前走の桜花賞で2着に負けていたこともあり、当日の評価は10.5倍の3番人気。牝馬の牡馬クラシックでの1番人気は、1995年菊花賞でダンスパートナー(レースではマヤノトップガンの4着)が支持されましたが、それ以外は記憶にありません。

そのファンディーナの評価ですが、個人的には上位の可能性はあるものの、勝つまでは難しいのではと思っていました。その根拠として、年明け3戦の厳しいローテーションや、先行しての楽勝ばかりでもまれた経験がないこと、3戦全勝馬の成績が振るわないことなどもありますが、やはり牡馬の迫力というか圧力のようなものが、かなり影響するのではと思ったのです。
それはダンスパートナーの菊花賞の時にも感じたのですが、3歳牝馬にとって牡馬の圧力は想像以上に大きいのではないかと思うのです。

いわゆる女傑と呼ばれる牡馬まさりの牝馬は過去にも何頭かいました。エアグルーヴ、ヒシアマゾン、ウオッカ、ダイワスカーレット、ブエナビスタ、ジェンティルドンナなど、牡馬を相手にG1で好勝負を演じた牝馬が何頭も思い浮かびますが、3歳で牡馬相手にG1を勝ったのはウオッカだけで、その多くが古馬になってから勝っているのです。
これは競走能力だけではなく、牡馬相手に勝つだけの精神力も必要なのではないでしょうか。それを3歳春の時点で求めるのは、かなりハードルが高いのではないかと思うのです。
しかし予想のプロであっても、ファンディーナを高く評価する人はかなりいて、中には負けるシーンが想像できないというような表現もあって、ちょっと驚きました。

レースでは、ファンディーナは横一線のスタートから前に行くものの、人気ゆえのマークもあり、どんどんポジションを下げてしまいます。4コーナー手前から押して出していき、直線に入って一瞬先頭に立つものの、内から1着になるアルアインが追い出し、外から3着になるダンビュライトが迫ってくると、その迫力に押されるように下がってしまいます。そこから懸命に前を追うものの、結局0.5秒差の7着に終わりました。
ファンディーナは牝馬としては馬格があり、今日の馬体重は504kgありましたが、やはり牡馬の”圧”に押されたように見えました。

勝ったのは9番人気のアルアインで、2着は4番人気のペルシアンナイト。連対した2頭の前走は毎日杯1着とアーリントンC1着。ともに過去10年の連対馬にはない臨戦過程で、トライアル組では唯一弥生賞3着のダンビュライトが3着に入るだけと、過去の傾向とは大幅に異なる結果になりました。
昨年までの5年で4勝を挙げていた前走共同通信杯組は、スワーヴリチャードが6着と敗退。思えば2012年にゴールドシップが共同通信杯からの直行で勝ってから傾向が変わり、共同通信杯が主要な前哨戦となったのですが、今年の結果を受けてまた傾向が変わるかもしれません。来年以降に注目です。

しかしこれでダービーがわからなくなりました。過去10年で6番人気以下の人気薄の馬が皐月賞を勝ったのは3回ありますが、そのうち2回は皐月賞不出走馬がダービーを勝ち、昨年は皐月賞2着馬(3番人気)がダービーを勝ちました。
これを当てはめると、今年は皐月賞不出走馬かペルシアンナイトがダービーを勝つことになりそうです。個人的には、ダービーはぜひ誰もが納得するような強く実績がある馬に勝ってほしいと思います。

2017年04月09日

3年連続で圧倒的1番人気が負けました ~桜花賞

今年の桜花賞は、デビュー以来阪神JF、チューリップ賞を含む4連勝中のソウルスターリングが、1.4倍の圧倒的な1番人気に支持されました。しかも阪神JFは2番の上りで1 1/4馬身差、チューリップ賞も2番の上りで2馬身差と、同世代の強い馬が集まるレースをともに圧勝しており、その評価は妥当でしょう。
ただし少しだけイヤな予感がしたのは、この2年、桜花賞で圧倒的な1番人気に支持された馬が、ともに4着以下に敗れていることでした。

まずは2015年のルージュバック。デビューから3連勝で、牡馬相手にきさらぎ賞を快勝し、そこから桜花賞を狙ってきました。3戦とも上りは最速で、新馬戦は32.8。しかも3戦は1800mと2000mでスタミナ的に問題なく、先行もできて安定感もあります。
そのため1.6倍の圧倒的な1番人気に支持されました。しかし初の多頭数にとまどったのか、道中は中団からどんどんポジションを下げてしまい、スローで逃げ切ったレッツゴードンキから1.0秒差の9着に終わりました。

2016年はメジャーエンブレムがデビューから5戦4勝2着1回で、阪神JFとクイーンCを圧勝して臨みました。しかもクイーンCは、1.32.5の好タイムで5馬身差をつけて逃げ切り楽勝。そのスピードは3歳牝馬とは思えないものでした。
そのため1.5倍のまたもや圧倒的な1番人気に支持されたのです。しかし今まで先頭か2番手から競馬を進めていたのが、抑えてポジションを下げて中団。さらに直線は馬群に押し込められそうになってバランスを崩し、最後は外から差してきた馬に交わされて0.4秒差4着まで。

当然この2頭のことは予想に際して意識しました。しかもソウルスターリングも含めて3頭とも関東馬。過去10年で桜花賞馬を制した関東馬は、2010年のアパパネと2013年のアユサンの2頭しかおらず、西高東低の中では苦戦してもおかしくないのです。
しかしソウルスターリングがルージュバックやメジャーエンブレムと違うのは、勝ち馬を最も多く輩出しているトライアルのチューリップ賞を勝っているということでした。今年こそは大丈夫と、多くの人が思ったことでしょう。

ところが「2度あることは3度ある」の格言が当たってしまいました。
ソウルスターリングはいつもよりやや後方の6,7番手の外を進むと、直線は外から脚を伸ばし、先に抜け出したレーヌミノルにじりじりと迫ります。しかしいつものような伸び脚はなく、レーヌミノルを交わせないどころか、ゴール前では後ろから差してきたリスグラシューに交わされて3着に終わりました。

レーヌミノルもリスグラシューも阪神JFでは3,2着に下しており、さらにリスグラシューにはチューリップ賞では2 1/2馬身差をつけて、勝負付けは済んだ印象を与えていました。
敗因としては、ルメール騎手も言っているように、やや重という馬場状態が影響したことはあるでしょう。いつものような伸び脚が見られませんでした。しかし個人的に気になったのは、今までゴール前の追い比べを経験していなかったことでした。チューリップ賞も並ぶ間もなく早めに抜け出して突き放していました。しかし桜花賞では、前を行くレーヌミノルとの追い比べとなり、最後はあきらめてしまったようにも見えました。

キャリアの少ない3歳春では、どんなことが災いするか、あるいは幸いするかわかりません。古馬と違って、ちょっとしたことで結果が違ってしまうことは、よくあるのでしょう。
そのあたりも考えて予想をする必要があると、改めて感じました。

2017年04月02日

年度代表馬にふさわしい勝ち方でした ~大阪杯

昨年までのG2産経大阪杯が、今年からG1に昇格し、新たに大阪杯と名前を変えて行われました。

産経大阪杯というと、天皇賞(春)のトライアルでありながら距離が1000m以上短いこともあり、天皇賞(春)を目指さない中距離馬の出走も多くて、個人的にはやや中途半端なイメージがありました。やはり王道としては、阪神大賞典あるいは日経賞から天皇賞(春)というのが、ふさわしいと思えるのです。
実際に過去10年の天皇賞(春)の勝ち馬を見ると、産経大阪杯から臨んだのは、2007年メイショウサムソン、2011年ヒルノダムール、2016年キタサンブラックの3頭。決して多いとは言えないでしょう。

G2からG1に昇格するためには、過去の出走馬のレーティングがある基準を満たさないといけないそうですが、春シーズンに古馬の中距離に適当なレースがないこともあり、毎年G1馬の出走があり、その意味ではレベルの高いG2ではあったと思います。
今年の大阪杯ですが、残念ながらフルゲートには満たなかったものの、昨年の1,2着馬アンビシャス、キタサンブラックを初め、昨年のダービー馬マカヒキ、昨年末の香港ヴァーズを制したサトノクラウンと、なかなかのメンバーが集まりました。

その中で1番人気に支持されたのが、昨年の年度代表馬キタサンブラック。昨年は天皇賞(春)、ジャパンカップのG1 2勝を初め、有馬記念僅差の2着など6戦3勝2着1回3着1回と、負けてもクビ差の安定した成績でした。
ただし負けた3戦がいずれも鋭い末脚の馬に差されたもので、そのうち2戦が2000mの産経大阪杯と2200mの宝塚記念。3歳時は距離不安がささやかれたのですが、今は逆に2000mでは距離不足ではということが、唯一の不安とされたのは皮肉なことです。

レースはマルターズアポジーとロードヴァンドールの2頭の逃げ馬が引っ張り、さらにキタサンブラックやサトノクラウンがつつくことで速めのペースになるのではと思われたのですが、マルターズアポジーが離して逃げたものの、1000m59.6と意外に遅めの流れ。特にやや離れた3番手を追走したキタサンブラックには楽なペースとなりました。
そのため4コーナーを回ってすぐに追い出したキタサンブラックは、早めに先頭に立ったものの、最後まで脚色は衰えず、2着ステファノスに3/4馬身差とはいえ、着差以上の強さを見せつけて優勝しました。さすが昨年の年度代表馬という、堂々とした勝ち方だったと思います。
末脚に賭けたアンビシャスやマカヒキは、いずれも33秒台の末脚を見せたものの、さすがに楽なペースで行ったキタサンブラックを捉えることはできませんでした。

今年からG1レースが2つ増えて、G1完全制覇まであと1つとしていた武豊騎手は、一気に残り3となってしまったのですが、早速1つを取って、残り2つとしました。まあ産経大阪杯を過去に6勝と得意にしていたので、時間の問題ではあったと思いますが。
残り2はいずれも年末の2歳G1。今年一気にというのは難しいと思いますが、どうなるのか楽しみです。