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2016年10月30日

モーリスのすごさを再認識しました ~天皇賞(秋)

今年の天皇賞(秋)は、オッズから見れば混戦という評価が妥当でしょう。1番人気のモーリスの単勝オッズは最終的に3.6倍で、1桁人気が4頭、20倍以下が半分近い7頭。またモーリスも今日の午前中まではエイシンヒカリに次ぐ2番人気でした。
その大きな原因の一つは、やはりモーリス=マイラーという印象が強く、2000mは長いのではないかと思われたことでしょう。たしかに昨年5連勝で安田記念、マイルCSと制したときも、4勝は1600mで残る1勝は1800m。さらに香港でマイルG1を連勝し、連覇を狙った安田記念は2着に敗れましたが、ほぼマイルのみで活躍してきました。

そんなモーリスですが、実は3歳までは500万を勝っただけの並みの馬(!)でした。栗東の吉田厩舎からデビューしたモーリスは新馬を快勝した後、いきなり京王杯2歳Sにムーア騎乗で挑戦し、1番人気に支持に支持されるも6着。3戦目に500万を勝つと、クラシックを狙ってシンザン記念、スプリングS、京都新聞杯と重賞に出るも、5,4,7着に終わり、クラシック戦線に乗ることはかないませんでした。

その後OP白百合S3着を最後に、美浦の堀厩舎に転厩します。そして4歳1月の1000万下若潮賞から連勝が始まるのです。その転厩後、今日の天皇賞(秋)までの成績が、香港のレースも含めて8・2・0・0。
1000万から国内G1、さらに国際G1まで、7連勝を記録したのです。まさに3歳までとは別の馬のようです。

そのモーリスが安田記念で2着に敗れて連勝が途切れたあと、休み明けで出てきたのが、札幌芝2000mのG2札幌記念。その時点で陣営は天皇賞(秋)への挑戦を考えていたのでしょう。7着に敗れた京都新聞杯以来生涯2度目の2000m以上のレースでしたが、マイル路線とはいえ圧倒的な成績から1番人気に支持されました。
レースは同厩のネオリアリズムの絶妙の逃げを捉えられず2着に敗れたものの、力のいる洋芝の2000mをクリアして距離のめどが立ったこともあり、天皇賞(秋)に駒を進めます。

しかし札幌記念で2着とはいえ敗れたことで、距離への不安を完全に払拭できたわけではないことが、今日の微妙なオッズになったのでしょう。
レースは、エイシンヒカリが1000m1.00.8の平均ペースで逃げます。モーリスは中団の外を折り合って進むと、徐々にポジションを上げていって、4コーナーは5,6番手の外。直線に入って追い出すとジリジリと伸びて、残り200mで先頭。そこから力強く抜け出すと、後方から追い込んできたリアルスティールに1 1/2差をつける完勝。
距離不安の声をあざ笑うような圧勝でした。

以前から東京のマイルをこなせれば、2000mは勝てると言われており、実際にニッポーテイオーやヤマニンゼファー、アグネスデジタル、ウオッカなどが安田記念と天皇賞(秋)の両方を勝っています(ヤマニンゼファー以外は安田記念の前に2000m以上のG1を勝っていたので距離不安云々はなかったのですが)。そのため個人的にはあまり距離の不安は感じていなかったのですが、その勝ち方は予想を上回るものでした。

今日のレースが国内では最後と言われており、あとは香港Cを目指すようですが、そこも勝てばさらに種牡馬としての価値も上がるでしょう。スクリーンヒーロー×カーネギーというやや地味(?)な血統から、こんなに強い馬が出るのは少し意外ですが、それもブラッドスポーツ競馬の魅力といえるのでしょう。

2016年10月16日

トライアルの評価 ~秋華賞

今年の秋華賞の予想で、人気を見て一番違和感を覚えたのが、紫苑S組が上位に支持されていることでした。上位では、1番人気ビッシュ、3番人気ヴィブロス、4番人気パールコードが紫苑S組。対するローズS組は2番人気ジュエラー、5番人気レッドアヴァンセと、明らかに紫苑S組の方が人気があったのです。

その紫苑Sは、秋華賞の関東におけるトライアルのオープン特別として2000年に創設。当初は中山芝1800m(2002年は新潟芝1800m)で行われていましたが、2007年から中山芝2000m(2014年は新潟芝2000m)となり、今年からG3に格付けされ、同時にそれまで2着までだった秋華賞への優先出走権が、3着までに拡大されました。

しかしトライアルとはいっても、紫苑Sで優先出走権を得た馬たちの秋華賞での成績は、まさに惨憺たるものでした。2015年までの紫苑S1,2着馬の秋華賞での成績は下記のとおり。
1着馬:0・0・1・12
2着馬:1・0・1・13
1着馬は特にひどく、最高は2001年のオークス馬レディパステルの3着で、それ以外は5着以内もなし。2着馬は2014年のショウナンパンドラが優勝して、初めてにして唯一紫苑Sから連対。あとは2002年のシアリアスバイオが3着に入っただけでした。

その理由として考えられるのが、以下の2点でしょう。
1.西高東低の中、力の劣る関東馬中心のトライアルである
2.力の劣る関西馬は、実力馬の集まるローズSを避けて可能性が上がる紫苑Sを選択
つまり同じトライアルとはいえ、ローズSより出走馬のレベルがどうしても下がるのです。

今年から紫苑SはG3となったものの、桜花賞馬ジュエラー、オークス馬シンハライトはいずれもトライアルとしてローズSを選択。もちろん力のある関西馬にとって、本番も関西で行われる秋華賞のトライアルに、わざわざ輸送が必要な紫苑Sを選択するメリットはなく、今年も傾向は変わらないのではと思えたのです。

ところがローズSを快勝し、本番でも1番人気確実だったシンハライトは故障で秋華賞を回避。代わって紫苑Sを力強く差し切って勝ったビッシュが、オークス3着の実績もあり1番人気に支持されました。
しかし個人的には関東でしか強いパフォーマンスを見せておらず、関西への輸送が初めてというところに不安を感じたのです。しかも春は410kgを切る軽量で、紫苑Sでも420kgしかなく、そのためか軽い追切りで馬体維持を優先しているように見え、不安は増しました。
そしてその不安は的中。ビッシュは見せ場もなく10着に終わりました。

しかし秋華賞のゴール前、先頭で粘るパールコード(前走紫苑S5着)を鋭い末脚で差し切ったのは、紫苑S2着から臨んだヴィブロスでした。なんと紫苑S組の1,2着となったのです。
いきなり紫苑S組が爆発した原因は、重賞昇格によるレベルアップなのか、今のところ原因はよくわかりませんが、もしかして大きく傾向が変わったのかもしれません。しかし紫苑S組は1着馬より2着馬という傾向が変わっていないのは、興味深いところです。

これで来年からは紫苑S組だからと色眼鏡で見ることなく、公平に判断する必要がありますね。

2016年10月02日

最内枠ゆえの難しさ ~スプリンターズS

スプリンターズSは3番人気レッドファルクスが鮮やかに差し切ってG1初制覇となりました。ダートと芝の両方に実績があり、右回りには良績がないという異色の馬でしたが、その勝ちっぷりは見事で、納得の戴冠だったと思います。
それに対して、単勝1.8倍の圧倒的1番人気に支持されたビッグアーサーは、直線前がふさがって行き場がなく、12着に終わりました。

枠順が決まった時に、好枠とはいえ逆に乗り方が難しいなと、少し嫌な予感がしたのは事実です。前走のセントウルSは同じく1番を引いて、その時は逃げて完勝したのですが、今回は先行馬が揃ってペースが上がることが予想されたので、陣営としても逃げずに好位から進めることを選択したのでしょう。

うまくスタートを出て、3コーナーまでは内の4,5番手を進み、そこまでは想定通りだったと思います。そこから少しずつ外に出し、4コーナー手前では外目の5番手という絶好の位置取りでした。
しかし後続が外から進出し、内に押し込められるような形になると、なんとか抜け出せるところを探すも前が壁になって出られません。外から内と進路を変える中で前の馬に触れてつまずき、そこで減速したのが万事休す。結局馬群の中で流れ込むようにして12着でレースを終えました。
結果論ではありますが、4コーナー手前で外に出せていれば、脚は残っていたのでもっと上位に来ることは可能だったでしょう。

今の中山は差しが決まりやすい馬場なので、逃げたくない気持ちはわかりますが、内枠で小回りとなると、逃げないと内で包まれる危険も大きくなります。究極の選択だったと思いますが、イチかバチか前が開く可能性に賭けたのでしょう。これは内枠を引いてしまったが故の、悩みだったとも言えます。

馬券を買う立場からすると、失敗した場合にその選択を責めたくなるものですが、まあそれも含めて競馬だとあきらめるしかないのでしょう。逆にうまくいけば、賞賛されたでしょうから。それこそ、まさにギャンブルですね。

さて今晩はいよいよ、国内で初めて馬券が買える(実際の紙は買えませんが)凱旋門賞です。参加できるというだけで、ちょっと入れ込み方が違うのは、現金なものだとも思いますが・・・。
マカヒキには、日本の悲願というようなプレッシャーは気にせず、力を出し切ってもらえればと思います。