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2016年03月27日

騎手のペース判断はキャリアの長さによる? ~高松宮記念

今年の高松宮記念は、昨年の勝ち馬香港のエアロヴェロシティと、阪神C2着からシルクロードSを差し切ったダンスディレクターの有力馬2頭が回避し、かなりの混戦となりました。戦前からどの馬が勝ってもおかしくないと言われ、1番人気の単勝が最終的に3.9倍と、とても人気通りでは収まらない雰囲気でした。
こんな時にカギになるのが展開ですが、逃げ馬が多く、ペースが速くなることが予想されていました。近走逃げることが多いのはアクティブミノル、ローレルベローチェ、ハクサンムーンと3頭いて、さらに前走阪急杯を逃げ切ったミッキーアイルも、音無調教師が行かないと包まれるとハナを主張。この中で個人的に注目したのは、若い騎手が乗るローレルベローチェとミッキーアイルの出方でした。

ローレルベローチェは昨秋から逃げて3連勝のあと、前走シルクロードSもうまく逃げて1 1/2差2着に粘りました。その鞍上は5年目の中井騎手。重賞勝ちはありませんが80勝をあげており、特にローレルベローチェとは昨年初めからコンビを組んで11戦4勝。自らの手で人馬ともに初めてのG1出走に導いたこともあり、かなり気合が入っていることが想像できます。

ミッキーアイルは浜中騎手が乗ってNHKマイルCを逃げ切り、昨年の高松宮記念も好位から3着に入りましたが、主戦の浜中騎手が落馬負傷で乗り替わったのが8年目の松山騎手。前走の阪急杯はその松山騎手が絶妙の逃げで1年4か月ぶりの勝利をミッキーアイルにもたらし、晴れてコンビ続行で高松宮記念に臨んできました。前日発売で1番人気に支持されており、自身初のG1勝利に向けて気持ちが高ぶっていたことでしょう。

2頭の逃げが予想される馬に若手が騎乗することで、もしかしてかなりのハイペースになるのではと危惧したのですが、その心配は現実のものとなりました。
好スタートを切ったのはミッキーアイルでしたが、その外から激しく押してローレルベローチェがかなり強引にハナを奪いに行きます。さらに逃げてこその酒井騎手のハクサンムーンがからんでいって、ミッキーアイルは3番手。やや離れた4番手に、直前で1番人気に上がった福永騎手のビッグアーサーがいて、もう1頭の逃げ馬藤岡康騎手のアクティブミノルは中団を進みます。

前の3頭はこうなったら行くしかないのですが、特に若手騎手は経験が少ない分、冷静なペース判断ができないことが危惧されます。それもあってか600mの通過が32.7と、過去10年で唯一の32秒台と断トツの速さ。
ビッグアーサーの福永騎手とすれば、当面の敵のミッキーアイルがハイペースに巻き込まれて、かつ自身がそれを見る位置で進むという絶好の展開と思われ、さすがベテランの冷静な判断と思って見ていました。

そして直線に入ると懸命に粘るローレルベローチェ、ハクサンムーンを差して残り200mでミッキーアイルが先頭に立ちます。マイルG1を制した底力が生きるかと思ったところ、ビッグアーサーがじりじりと迫ってきてゴール直前でミッキーアイルを交わし、最後は3/4馬身差をつけて、1.06.7のレコードで初重賞制覇がG1という偉業を達成しました。

ハイペースを逃げ馬の直後につけ、いったんは先頭に立ち3/4差2着のミッキーアイルは地力のあるところを示しましたが、前半にあそこまで前に行かなければ勝てた可能性もあったのではとも思います。しかし自身初のG1制覇の可能性が十分にあり、かつ調教師に逃げを指示されていては、逃げ馬を追いかけた松山騎手を責めることはできません。
また思い切って逃げた中井騎手のローレルベローチェは1.2秒差16着に沈みましたが、こちらも自分の持ち味と力を存分に発揮したといえるでしょう。

これを見ていて、距離も展開も異なりますが、1999年のダービーを思い出しました。4コーナーを回ってこらえきれずに早めに追い出したテイエムオペラオーの和田騎手。それを見て慌てて追い出したナリタトップロードの渡辺騎手。その若手騎手の乗った人気の2頭を最後に差し切ったのが、冷静に展開を見ていたアドマイヤベガの武豊騎手でした。

今日の結果は、松山騎手、中井騎手にとってはとても悔しいものだったと思いますが、これを糧にいつの日か大きなレースを制してほしいと思います。和田騎手も渡辺騎手も、その後G1を勝つことができたのは、あのダービーの経験も大きかったのではと個人的には思っています。

2016年03月06日

2016クラシックの展望 ~その2

この土日は、クラシックに向けての重要なトライアルが行われました。牡牝ともにやや抜けた存在がすでに2月の重賞を勝っており、その有力な対抗馬が現れるかが大きな関心事でしたが、どちらも期待に沿う結果になったと思います。

まず3/5(土)に行われた桜花賞トライアルのチューリップ賞から。
1番人気はシンザン記念を後方から1番の上り34.5でクビ差2着に迫ったジュエラー。2番人気はOP紅梅Sを後方から上り33.7でハナ差1着のシンハライト。
2頭ともに後方集団のほぼ同じ位置から4コーナーで外に出し、直線は馬体を接したまま外から追い込み、最後はハナ差でシンハライトがジュエラーを下しました。タイムは1.32.8と優秀で、上りもともに33.0。勝敗はつきましたが、上りは同じで着差もないに等しく、まさに実力伯仲の2頭。3着は1 1/2馬身差ついており、この2頭がやや抜けた力を持っていると言えるでしょう。

問題はクイーンCを圧勝して、目下牝馬クラシック戦線では抜けた存在のメジャーエンブレムとの力関係ですが、単純に持ちタイムはメジャーエンブレムがクイーンCで出した1.32.5に軍配が上がるものの、上りは差し脚質の2頭が、当たり前ですがかなり優秀。
ただメジャーエンブレムは自分でレースを作れて、しかも速いペースで行っても最後まで脚が上がらないというのは、数字以上の強さを感じさせます。おそらくペースは後ろから行くシンハライトとジュエラー向きになるでしょうが、果たしてメジャーエンブレムを差せるか。
いずれにしても、桜花賞はかなりおもしろい戦いになりそうです。

そして今日行われた皐月賞トライアルの弥生賞。
朝日杯FSの1,2着馬リオンディーズとエアスピネルに加えて、父ディープインパクトと同じ戦績で若駒Sを上り32.6で圧勝して無敗で出てきたマカヒキの3強という状況になりました。
結果としては3強が1~3着を占め、しかも3着と4着が5馬身離れたので、今日のメンバーではこの3頭のみがクラシック候補と言えるでしょう。

レースは久々のリオンディーズとエアスピネルがやや掛かったのに対して、マカヒキは折り合って後方で進めます。特にリオンディーズは後方2番手から追い込んだ朝日杯FSとは一転して、M.デムーロ騎手が懸命に抑えるものの先行集団のすぐあとの4番手を追走。エアスピネルもそれをマークするようにその直後を進みます。
リオンディーズは4コーナー手前から馬なりで進出し、直線で追い出すと一気に加速。掛かったにもかかわらずこの強さかとちょっと驚いたのですが、それに追いすがってきたのがエアスピネルとマカヒキ。そのままリオンディーズが振り切るかと思ったのですが、外からじりじりと迫ってきたマカヒキがエアスピネルを交わし、さらにゴール直前でリオンディーズも交わして、クビ差1着でゴール。エアスピネルはリオンディーズから2馬身差の3着。

マカヒキは1/23から1か月半の間隔だったのに対して、リオンディーズとエアスピネルは12/20から2か月半ぶりのレース。かなり掛かりながらもクビ差2着のリオンディーズは、逆にその強さを見せて決して悲観するような内容ではありませんでしたが、マカヒキも父に劣らない力の持ち主であることを見せたと思います。
ただしエアスピネルは2戦続けてリオンディーズには完敗で、2000m以上ではちょっと逆転は難しいかという印象でした。

こちらも、きさらぎ賞を圧勝したサトノダイヤモンドとの力関係がどうかですが、距離も異なるので比較するのはかなり難しいです。ただし掛かる素振りもなく好位から抜け出したサトノダイヤモンドの安定したレースぶりはかなり印象深く、もしリオンディーズが掛かるようなら厳しいですし、マカヒキが今日のように後ろから行くと脚を余す危険が多い気がします。

ただし各陣営とも当然対策をしてくるでしょうし、ともに折り合って同じような位置で進めた場合、どうなるかはかなり微妙で、皐月賞もとても興味深いレースになりそうです。

牝馬はフィリーズRやフラワーC、牡馬はスプリングSや毎日杯が残っており、そこからどんな馬たちが出てくるか、まだまだ目が離せません。