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2014年06月29日

ジンクス?法則?傾向? ~宝塚記念

今年の宝塚記念は、1番人気のゴールドシップが連覇がないというジンクスをひっくり返して、見事に連覇を飾りました。しかしそれ以上に、宝塚記念のジンクスというか、法則というか、傾向が明らかになってきたと言えるのではないでしょうか。
そこで、気づいたものをいくつかあげてみたいと思います。

1.ステイゴールド産駒が強い
これはいろいろなところで取り上げられているし、誰でもすぐに気づくでしょう。
それにしても、今年を入れてこの6年で5頭の勝ち馬がステイゴールド産駒というのは、ちょっと異常な感じもします。ステイゴールド産駒が初めて古馬になったのが2007年なので、参加可能(3歳馬の参加は稀なので2006年は除く)になった8年で5勝ということで、とんでもない高確率といえるでしょう。
しかも連覇は今回が初で、4頭で5勝と1,2頭の超強い馬だけが稼いだわけでもありません。こうなるとステイゴールド産駒は、やはり間違いなく宝塚記念に強い血統と言えると思います。来年以降もステイゴールド産駒には注目が必要です。

2.前年の上位馬が強い
これは連覇がないという今年で終わったジンクスと一見矛盾するような気もしますが、勝てないまでも連続して好走する傾向にあるとはいえると思います。たとえば過去10年で見てみましょう。
メイショウサムソン 2007年 2着 → 2008年 2着
アーネストリー 2010年 3着 → 2011年 1着
ブエナビスタ 2010年 2着 → 2011年 2着
ゴールドシップ 2013年 1着 → 2014年 1着
もちろん今年のジェンティルドンナのようにこれに反する例も多いのは事実ですが、馬券検討の参考になるぐらいの傾向としては使えるのではないでしょうか。

3.直近の中距離重賞の上位馬が馬券対象に来る
実はこれが顕著な傾向としてあげられると思います。
2011年までは金鯱賞組がこれにあたるのですが、2008年から2011年は必ず3着以内に1頭は入っていました。しかも2008年3着のインティライミ(11番人気)、2011年1着のアーネストリー(6番人気)など人気薄も含まれています。
そして2012年以降はそれが鳴尾記念になりました。中京芝2000mのG2から、阪神芝2000mのG3と条件は変わりましたが、その傾向はどうやら引き継がれていることが、この3年を見るとわかってきました。しかも2012年3着ショウナンマイティ(6番人気)、2013年2着ダノンバラード(5番人気)、2014年2着カレンミロティック(9番人気)と、その爆発力は大きくなっています。
もちろん検討の時にこの傾向は気にはなったのですが、さすがにこのメンバーで上位は無理だろうと軽視してしまいました。

特に最後のジンクスというか傾向は、来年以降も気になります。そのもっともらしい理由として考えられるのは、G1を好走してきた実力馬がシーズン末期で疲労が溜まっているのに対して、G1には出ていないが調子の上がってきた馬が、好走してしまうということかもしれません。
それにしても実力馬があっさり負けてしまうのはかなりショッキングなシーンではあり、一方その方が馬券的においしいのも事実で、なかなか悩ましいところです。しかし推理ゲームとしては、間違いなくおもしろく、他のG1とはかなり色合いが異なるレースと言えるのではないでしょうか。

2014年06月08日

ジャスタウェイって、いつの間に強くなったの? ~安田記念

今年の安田記念は、ジャスタウェイが単勝170円という圧倒的な支持に応えて、見事に優勝しました。これでG1 3勝を含む4連勝。しかもその中にはドバイデューティフリーの6 1/4馬身差圧勝もあり、そのために現時点で世界のレーティングで130ポンドと、日本馬として初の首位という快挙も成し遂げています。

そんなジャスタウェイには大変失礼な話ですが、パドックやスタンドでよく聞かれた会話が「ジャスタウェイって、いつの間にこんなに強くなったんだろうね。」というものでした。たしかに個人的なジャスタウェイの印象としては、重賞で好走はするんだけど、なかなか勝てないというのが、強かったと思います。
実際に昨年の天皇賞(秋)でも、毎日王冠で最速の上りで2着だったので注目はしていましたが、あくまでもジェンティルドンナの連下という位置づけでした。それがふたを開けてみると、ジェンティルドンナを4馬身突き放す圧勝。しかし、ジェンティルドンナが休み明けでやや掛かったこともあり、フロック的な見方もあったと思います。
そのためか、次走圧勝した中山記念でも2番人気。
ようやくドバイの快勝で、その強さを認識させられたというのが、本当のところではないでしょうか。

実際にジャスタウェイの戦績を見てみると、2歳では重賞は勝てなかったものの、年が明けてアーリントンCで重賞初制覇。その勢いでNHKマイルC、ダービーと挑戦するものの、6着、11着と歯が立ちませんでした。秋には毎日王冠で2着に好走するものの天皇賞(秋)は6着。結局3歳終わりの時点で2勝馬で重賞1勝という、G1出走馬の中ではかなり地味な成績でした。
4歳になっても勝てず、エプソムC、関屋記念、毎日王冠と重賞で3戦連続2着を記録。この時点で「勝ちきれない馬」という印象が、ほぼ決まったと思います。しかしその次の天皇賞(秋)から快進撃が始まり、今や世界No.1にまで登りつめ、今日の凱旋優勝となりました。

近年強い馬というのは、ほぼみんな3歳の早い時期から活躍する馬が多く、古馬になってから急に強くなる馬というのは、あまり記憶にありません。
クラシックに無縁だった強い馬というと、最近ではロードカナロアが思い浮かびます。しかしそもそも距離適性からクラシックを目指さなかっただけで、すでに3歳春の時点でOPを含む3勝をあげ、かつ5戦すべて連対という状況だったので、古馬になって急に強くなったわけではありません。
その前となると、かなりさかのぼりますがサクラローレルが比較的近いでしょうか。サクラローレルは3歳の1994年に青葉賞3着、セントライト記念8着で結局クラシック出走はかなわず。明けて中山金杯で重賞初制覇を飾ると、中山記念から天皇賞(春)と連勝します。その年は有馬記念も勝って、年度代表馬に選ばれました。
こうしてみると、ジャスタウェイは実に20年に1頭の奇才と言えるかもしれません。

ジャスタウェイの父ハーツクライはダービー2着はあるものの、活躍したのは古馬になってからという印象が強く、実際に初G1制覇は、ディープインパクトを破った4歳の有馬記念でした。その古馬になってから成長する性質は産駒にも受け継がれているようで、ジャスタウェイの他にもウインバリアシオン、アドマイヤラクティなど息長く活躍しているイメージがあります。
しかし今年はオークスのヌーヴォレコルト、ダービーのワンアンドオンリーと2頭のクラシック馬を誕生させ、ちょっと潮目が変わってきた印象もあります。これらの馬が古馬になってさらに成長したら、ジャスタウェイに続く世界的な活躍も夢ではありません。
今後のハーツクライ産駒の動向からは、目が離せませんね。

2014年06月01日

戦法を変える勇気 ~日本ダービー

今年の日本ダービーは、3番人気のワンアンドオンリーが早めに抜け出して、食い下がる1番人気イスラボニータを3/4馬身差で抑えて優勝しました。
騎乗した横山典騎手は2009年に続く2勝目で、管理する橋口調教師は出走20頭目でついに悲願のダービー制覇となりました。特に橋口師は過去4回の2着があり、まさに悲願という言葉がぴったりだと思います。
その中には、勝ったと思ったダンスインザダークがフサイチコンコルドにゴール直前で差された1996年や、横山典騎手が騎乗したワンアンドオンリーの父ハーツクライが、後方から追い込んだもののキングカメハメハに届かなかった2004年の各ダービーもありました。定年まで今年を含めてあと2回しかチャンスがない中で、その喜びたるや、どれだけのものだったでしょう。

そのワンアンドオンリーですが、戦績を見ると必ずしも順調にダービーに至ったわけではありません。
OP2着から初めて重賞に挑戦した東スポ杯では、中団から伸びずにイスラボニータに2 1/2馬身差の6着。7番人気のラジオNIKKEI杯を中団から差して制し、一躍クラシック有力候補の1頭になったものの、弥生賞はハナ差届かず2着。
皐月賞は後方から目の覚めるような追い込みを見せたものの1 3/4馬身差の4着まで。
直線が長い東京ではその末脚が生きると思われましたが、逃げると思われたウインフルブルームの取り消しによりスロー必至となり、そのためか3番人気という微妙な評価になりました。

個人的にも、横山典騎手がどう乗るのか、とても興味がありました。横山典騎手といえば、よく最後方から決め打ちするような乗り方をするイメージがあり、特に枠順が内の2番に決まって、外に出すためには最後方に下げることも考えられました。
今開催の東京は、NHKマイルCとヴィクトリアマイルがともに逃げ切りで決まったように、先行有利の印象があります。開催が進んで差しも決まるようになってきましたが、先週のオークスであのハープスターも追い込み届かなかったように、ワンアンドオンリーも脚を余す危険があると思われました。

しかしレースでは、予想に反して横山典騎手はワンアンドオンリーをイスラボニータの直後の5番手につけて進めます。これまでもワンアンドオンリーは追い込み一手ではありませんでしたが、ほぼすべてのレースで真ん中よりも後ろから進めてきました。
そういう意味では、大一番で脚質を変えるという賭けに出たわけです。

脚質について理論的には、遅い流れなら前につけて行き、早い流れなら後ろから行くのが得ですが、馬の特質や慣れもあり、もちろんそう簡単に変えることはできません。特に追い込み脚質の場合、無理に前に行くと馬の気分を損ねたり、前半に脚を使って末を失ったりと、良さを出せない危険もあります。
そのため、スローとわかっていても、あえて後ろから行く場面を見る方が多い印象があります。その方が、失敗したときの言い訳もしやすいでしょう。逆に脚質を変えて失敗したら、その批判は騎手が一手に受けることになり、どうしても躊躇してしまうのは、ある意味仕方ないでしょう。

脚質転換といって個人的にまず思い浮かぶのは、ワンアンドオンリーの父ハーツクライが勝った2005年の有馬記念です。
それまで追い込みで戦ってきたハーツクライの主戦がルメール騎手になったのは、2005年の天皇賞(秋)でした。そのレースは休み明けもあり中団から6着。続くJCは後方から追い込んだものの届かず2着。そして臨んだ有馬記念は、無敗で3冠を制したディープインパクトが圧倒的な1番人気に支持されていました。
そのレースで好スタートをきったハーツクライに、ルメール騎手は新馬戦以来の先行という戦法をとらせます。その意外性にも驚かされたのですが、真の驚きはそのままディープインパクトに初の黒星をつけることでもたらされました。
あの時はルメール騎手の機転をたたえる声が多かったのを覚えていますが、もしあれで負けていたら批判はルメール騎手に集まっていたでしょうから、その勇気こそたたえられるべきだったでしょう。

今回の横山典騎手の戦法も大いにたたえられるべきと思いますが、個人的には長くよい脚を使うというワンアンドオンリーの新たな面を見せたということに驚きを感じました。もしかしてわかってやっていたのでしょうか。
しかし冷静に振り返ってみると、ちょっと前によく似たシーンを見たことを思い出しました。そう、先週のオークスでのヌーヴォレコルトとそっくりなレースぶりだったのです。この2頭の共通点と言えば、父ハーツクライ。もしそれを見越してやっていたとしたら、本当にすごいことですね。