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2013年05月26日

勝ち方を知っていることの差か ~日本ダービー

今年のダービーは4強の争いと言われてきました。

まず2歳で大きく注目を集めたのがコディーノでした。札幌2歳Sに続いて東スポ杯を持ったままで抜け出して圧勝。その時点で、クラシックは決まったかとまで思わせるほどの勝ち方でした。
しかしそのコディーノに、朝日杯で待ったをかけたのがロゴタイプ。直線で先に抜け出したロゴタイプにコディーノが迫ってきたときは、あっさり交わすかと思われたものの、結局抜かせずにゴール。ロゴタイプのM.デムーロ騎手の差しだした手を、首を振って断ったコディーノの横山典騎手の姿が、そのショックの大きさを表していました。
片やラジオNIKKEI杯では評判の良血エピファネイアがあっさりと抜け出して3連勝。このときキズナは先行しながらエピファネイアに交わされ3着。やや差がある印象を残してしまいます。

年が明けて、ロゴタイプ以外の3頭は弥生賞で顔を合わせます。エピファネイア、コディーノ、キズナの順に1~3番人気に支持されますが、コディーノの3着が最高で3頭とも連対できず。ロゴタイプはスプリングSを勝ったものの、にわかにクラシック戦線は混戦模様のイメージとなりました。
そして弥生賞で5着にやぶれたキズナは皐月賞をあきらめ、毎日杯、京都新聞杯からダービーを目指す路線を選択します。
皐月賞はロゴタイプ、エピファネイア、コディーノの3頭が人気どおりに1~3着を占め、毎日杯、京都新聞杯を後方一気で連勝して、ようやく脚質が定まったキズナと、4強という体勢が整ったわけです。

この4頭は実力的には甲乙つけがたいと思いますが、鞍上の選択は大きく分かれました。
主戦の佐藤騎手が負傷して乗り変わってからは4戦連続武豊騎手が手綱をとるキズナと、デビュー以来弥生賞以外の4戦で福永騎手が手綱を取るエピファネイア。対してロゴタイプは皐月賞を勝ったM.デムーロ騎手が帰国してかわりに弟のC.デムーロ騎手に乗り代わりになり、コディーノは横山典騎手からウィリアムズ騎手に代わりました。

ダービーでは過去10年を振り返っても、騎手が乗り代わって勝った馬は1頭もいません。これは、レースで乗った経験がなければ、どれぐらいの脚を使うのかわからないということもあるでしょうが、やはり思い入れや信頼関係という面での違いが大きいのではないでしょうか。
もちろんC.デムーロ騎手もウィリアムズ騎手も、技術的にはすばらしいものを持っていますが、勝ちたいという気持ちで、どうしても数多く一緒に戦ってきた騎手には、少しだけ及ばない部分が出るのではないかと思います。

そして武豊騎手と福永騎手は、勝ちたいという気持ちの強さは、おそらく遜色ないと思いますが、違いはやはりダービーを勝った経験の有無ではないでしょうか。

武豊騎手も96年のダービーでは、ダンスインザダークでやっと勝ったと思った瞬間、フサイチコンコルドに差しきられて2着に破れて悔しい思いをしました。それが、98年のスペシャルウィークで、大きく抜け出しても最後まで追うことをやめなかった騎乗に現れていると思います。
さらに99年は、早めに抜け出した若手騎手2人の乗る人気のナリタトップロード、テイエムオペラオーを、後方からワンテンポ遅く追い出したアドマイヤベガで差しきるという、見事な騎乗で連覇を飾っています。

今年も、福永騎手は掛かり気味のエピファネイアをうまくなだめて中団を追走し、追い出すタイミングもすばらしかったと思いますが、最後にキズナが使う脚を熟知している武豊騎手に、ゴール寸前で鮮やかに差し切られてしまいました。

武豊騎手も全盛期に比べればかなり勝ち鞍も減っており、2年前はG1を勝てなかったり、衰えたかのような声も聞きますが、やはり勝ち方を知っており、落ち着いて対処できるのは、長年の経験の賜物だと思います。
ダービー5勝というのは、おそらく空前絶後の記録だと思いますが、まだまだ伸ばしていって欲しいと思うと同時に、やはりそれを上回るような騎手も、ぜひ現れて欲しいものだと思います。

キズナ
【キズナ】武豊騎手、5度目のダービー勝利でも、とてもうれしそうでした。
キズナ
【キズナ】先週の武幸騎手に続くクラシック兄弟制覇。今年の春のクラシックはデムーロ兄弟と武兄弟の手に。

2013年05月19日

まさに人気の落ちた実力馬でした ~オークス

オークスは9番人気のメイショウマンボが、見事な末脚を見せて1冠を奪取しました。
個人的には、桜花賞ではかなり中心視をして、メイショウマンボから少し流したりしたのですが、今回は完全な抜けとなってしまいました。

桜花賞では4番人気に支持されていたのですが、それもそのはず、OP紅梅Sではレッドオーヴァルの2着に入り、マイルの500万特別を勝って、フィリーズRでは後方一気で見事に優勝。フィリーズR勝ちでありながら、マイルにも実績があるということで、人気になっていたのです。
ところが桜花賞では中団から伸びずに、5 3/4馬身差の10着大敗。これで一気に人気を落としてしまいました。

個人的にも、これは距離適性がないのかと決め付けてしまったのですが、桜花賞後にスクミ(筋肉痛)が出たということで、何かそのあたりが影響して、走らなかったのかもしれません。しっかり調教をして、かつ輸送があっても+10kgと、充実していたにもかかわらず、それを見落としたのは痛恨でもありました。

今年は桜花賞もフローラSも勝ちタイムが遅く、その上位馬を信じられるのか気になっていたのですが、桜花賞を人気で大敗した馬+フローラS1,2着で決まるという、微妙な結果となりました。ただし桜花賞馬も4着には入っており、大きな傾向としては、今までの流れを外していないと思います。
しかし、毎年思うのですが距離適性みたいなものには、悩まされます。気にしすぎてもいけないし、逆に気にしなさ過ぎても、当たりません。アユサンは明らかに距離が長すぎたようですし、逆にメイショウマンボは1400mで実績があっても、長い距離にもちゃんと対応できました。

3歳牝馬G1では、今年の桜花賞まで4戦連続ディープインパクト産駒が優勝しており、今回のオークスもディープ産駒の優勝が有力視されて、連勝記録が続くかと思われていたのですが、それを破ったのがスズカマンボ産駒でした。これも距離適性の差なのかもしれませんが、ディープ産駒はしっかり2~4着を独占しています。
これからも3歳クラシックは、ディープ産駒が中心に展開されていくのでしょうけれども、意外な種牡馬の産駒の活躍と、個人的にはそれを見抜くことを、ぜひ期待したいと思います。

メイショウマンボ
【メイショウマンボ】勝って戻ってきたところ。武幸騎手は7年ぶりのG1制覇でした

2013年05月12日

牝馬は格より調子・・・ではなかった ~ヴィクトリアM

ヴィクトリアマイルは、G1で4度の2着と悔しい思いをしてきたヴィルシーナが、ついにG1 5戦目にして念願のG1ホースとなりました。関係者の皆さん、おめでとうございます。

メンバーを見れば、ヴィルシーナのG1で連対4回という実績は、G1連対3回のホエールキャプチャを除けばかなりのものであり、しかもそのホエールキャプチャが絶不調であるので、圧倒的な1番人気となってもおかしくない状況でした。しかし、休み明けの産経大阪杯で、牡馬相手ではあるものの6着という微妙な着順に破れたこともあり、1番人気とはいえ3.1倍という、信頼感今ひとつという評価になってしまいました。
たしかに昨年のクイーンC以来、1年3ヶ月も勝ち星から見放されているので、不安に思うのも仕方ないでしょう。

片や昨年の覇者のホエールキャプチャは、昨年勝ってから5戦連続2桁着順と沈んだままで、大方の見方としては、もう終わったのではないかという評価が定着していたと思います。
実績を見れば圧倒的な2頭であるにもかかわらず、その組み合わせで馬連8,030円もついたのは、それだけ2頭の調子に疑問を持った人が多かった証拠でしょう。

競馬の格言のひとつに、「牝馬は格より調子」というのがあります。これは、牝馬戦の場合は、しばしば格上の馬が上り調子の格下馬にあっさり負けることが多いことから言われるのですが、このヴィクトリアMに限っては、どうもこの格言があてはまらないようです。
過去の成績を見ると、3歳クラシックで上位に入った馬が圧倒的に強いことがわかりますし、またウオッカ、アパパネ、昨年のホエールキャプチャは、前走で連対を外しながら、ヴィクトリアMでは優勝しています。
今年のヴィルシーナ、ホエールキャプチャも、ともに前走で掲示板を外しながらも、きっちりと巻き返しました。
特にホエールキャプチャは、まったく復活の兆しも見えないようなレースぶりを続けていたので、今回の復活は本当に驚きました。

レースは、当然毎年出るメンバーも、またそれぞれの状況も違うのですが、毎年見続けていくと特有の傾向が出てくるのが興味深いところです。来年もこういう傾向が引き継がれていくのか、忘れないように注意して見続けていきたいと思います。

2013年05月06日

久々の大荒れも実は必然? ~NHKマイルC

ここ3年は1番人気が買って、比較的順当な結果に終わっていたNHKマイルCですが、4年ぶりに馬連万馬券および3連単100万超えの大波乱で終わりました。
勝ったマイネルホウオウは、4年前のジョーカプチーノと同じく10番人気で、2着のインパルスヒーローは6番人気(4年前は5番人気のレッドスパーダ)。3着は8番人気のフラムドグロワール(4年前は13番人気のグランプリエンゼル)で、3連単は123万円超えと、NHKマイルC史上では4年前の238万円超に続く記録となりました。

そもそも人気どころ(1~4番人気)が、みな先行脚質というのは気になっていたのですが、昨年のカレンブラックヒルが逃げ切ったのが記憶に鮮やかで、それまで逃げ馬がまったく連対していないという事実を忘れさせてしまった面もあると思います。
安田記念でさえ、逃げ馬はニッポーテイオーのような抜けた存在でなければ、まず歯がたたないわけで、そういう東京競馬場のマイルの特徴をよく理解していれば、先行馬は危ないということは、大きな前提として考えられたと、終わってみて改めて思います。

また、前走は1600mよりも長い距離のレースを使って上位に来て、そこから距離短縮で臨んでくる馬の成績がよいことも、よく知られています。特に前走あるいは前々走に毎日杯やスプリングSで好走した馬が上位に来ることも、過去の成績から明らかです。

こう考えると、マイネルホウオウは決して買えない馬ではありません。また調教もとてもよく、前走のニュージーランドT7着に目をつぶれば、ここまで人気が落ちる必然性はないと思います。
インパルスヒーローも、マイル実績がないのは不安でしたが、3連勝で重賞を制するという、昨年のカレンブラックヒルと似たような(カレンブラックヒルはマイル実績がありましたが)戦績は、考慮する必要があったといえるでしょう。

レースは有力な先行馬が淀みのない流れを作ったこともあり、ゴール前で一気に後続が押し寄せて、結果として後方にいて早い上がりの脚を使った2頭が、上位に来ることになりました。
ただし、今年はオッズが割れたことからもわかるように、力は拮抗しており、流れ次第ではガラッと結果が変わってもおかしくないと思います。そういう意味では、上位馬にとってはうまくはまったとも言えるでしょう。

上位3頭はいずれも関東馬で、これで桜花賞からG1では関東馬の4連勝となりました。しかも3歳戦はすべて関東馬が勝つという、近年には珍しい結果となっています。
来週のヴィクトリアMも、有力馬には関東馬が多く、この傾向は継続するかもしれません。これがいつまで続くのか、また関西馬の逆襲はいつあるのか、なかなか興味深い戦いが、これからも続きます。