3冠馬同士の対決

今年の3冠牝馬デアリングタクトに続いて、3冠牡馬コントレイルのJC参戦が発表されました。競馬の醍醐味の1つである強い馬同士の対決が実現するということで、今からワクワクします。
2頭とも無敗ということなので、JCでどちらか、あるいは両方に土が付くことになります。ファン目線からもちょっともったいない気がしますが、関係者としてはそれ以上でしょう。それにもかかわらず参戦を決めた両陣営に、まずは拍手を送りたいと思います。

この2頭を含めて、過去に牡馬は8頭、牝馬は6頭の3冠馬がいますが、生まれた年が微妙にあいていることもあり、3冠馬同士の対決はいままで4回しかありません。
そのうち3回は1歳違いだったミスターシービーとシンボリルドルフによるもの。そして残る1回は同じく1歳違いだったオルフェーヴルとジェンティルドンナによるものです。
それぞれがどんな対戦だったのか、簡単に振り返ってみましょう。

最初の対戦は、1984年のジャパンカップ(JC)。
その年の菊花賞で史上初の無敗の3冠馬となったシンボリルドルフの陣営が、初の古馬との対戦の場として選び、そこに前年の3冠馬ミスターシービーも出走してきたのです。

JCが日本競馬の国際化を目指して初めて開催されたのが1981年。その第1回目はアメリカでハンデ戦のG2勝ちしかなかった6歳(現5歳)牝馬のメアジードーツに、東京芝2400mのレコードを1秒も更新して勝たれ、日本馬は5着が最高という衝撃的な結果でした。
その後も日本馬は勝てず、ようやく第3回の前年にキョウエイプロミスがアタマ差の2着で初めて連対する状況だったのです。

この年は日本を代表する3冠馬2頭が出走するということで、1番人気は前走天皇賞(秋)(この年から芝2000m)を最後方から鮮やかな追い込みで、レコードで制したミスターシービーが、日本馬としては初めて支持されます。そしてシンボリルドルフは体調不良が報道されたことと中1週というローテーションから、生涯最低の4番人気。

レースはミスターシービーの末脚を警戒したために各馬動けず、結果として楽に逃げたカツラギエースが逃げ切って、初の日本馬優勝という結果に終わります。シンボリルドルフの岡部騎手も仕掛けが遅れ、生涯最速の上りを記録したものの無念の3着。ミスターシービーは末脚不発で10着に敗れてしまいます。

次はその年の有馬記念。
ここはJCの雪辱に燃えるシンボリルドルフが1番人気、ミスターシービーは2番人気となります。
JCを勝ったカツラギエースと3頭が単枠指定されるという珍しい状況でしたが、シンボリルドルフは、ミスターシービーではなく逃げるカツラギエースを2番手で徹底的にマークするという戦法で、結果的に2馬身差でレコードの圧勝。ミスターシービーはインをついて前がふさがったこともあり、カツラギエースも捉えられず3着まで。

そして3戦目は、翌1985年天皇賞(春)。
日経賞を4馬身差で楽勝したシンボリルドルフと、大阪杯をハナ差で競り負けたミスターシービーという対照的な前哨戦から臨み、その通りに1番人気はシンボリルドルフ、2番人気がミスターシービーとなります。

ここでミスターシービーはなんとかシンボリルドルフに勝とうと、向こう正面で後方から進出して3コーナー手前で先頭に並びかけるという、いつもとは違うレースを仕掛けます。しかし直線では脚が上り、あっけなくシンボリルドルフに交わされてしまいます。
結果はシンボリルドルフが2 1/2馬身差で圧勝して5冠を達成し、ミスターシービーは2秒近く離された5着に沈みます。

こうして1歳違いの2頭の3冠馬の対決は、1歳下のシンボリルドルフの3戦3勝となりました。これは2頭の力の差もあったのかもしれませんが、好位抜け出しのシンボリルドルフと、最後方からの追い込みのミスターシービーという脚質の違いも大きかったように思います。

そして4戦目は記憶に新しい2012年のJC。
前年の2011年にクラシック3冠と有馬記念を制したオルフェーヴルは、2012年の阪神大賞典で気の悪さを出し、謎の逸走をして2着。その影響か折り合いに専念した天皇賞(春)では直線全く伸びずに11着と大敗します。

それでも立て直して宝塚記念を勝つと、秋は渡仏して前哨戦フォア賞を勝って臨んだ凱旋門賞で、いったん抜け出し、勝ったかと思わせたものの最後に差されて2着。その帰国初戦としてJCに出走します。

対するジェンティルドンナはチューリップ賞こそ4着に負けたものの、3冠レースはいずれも強い勝ち方で制して3冠馬となり、初の古馬対戦の場としてJCに出走してきました。

牡馬で凱旋門賞好走ということもあり1番人気はオルフェーヴル。対するジェンティルドンナは3歳牝馬には荷が重いと思われたのか4番人気まで。
レースは先行するジェンティルドンナに対して、オルフェーヴルは後方から進めます。そして3コーナーから進出開始したオルフェーヴルは、内で下げたジェンティルドンナよりも先に直線へ。
内から猛然と追い出したジェンティルドンナにオルフェーヴルが外から馬体を合わせに行き、逃げるビートブラックの後ろにジェンティルドンナを閉じ込めようとオルフェーヴルが外からふたをしようとしたときに、ジェンティルドンナの岩田騎手はオルフェーヴルを弾き飛ばして外に出ます。
ここで一瞬ひるんだオルフェーヴルは再度馬体を合わせて壮絶な叩き合いを200mびっしり行います。しかしそこでついた差は最後まで響いて、結局オルフェーヴルは交わせず、ハナ差でジェンティルドンナが勝利。

この進路の取り方が強引だったと岩田騎手は2日間の騎乗停止となりましたが、3歳牝馬なのに年上の牡馬を弾いて進路を確保し、しかも追い負けないジェンティルドンナの精神力の強さに本当に驚かされました。

このように過去の3冠馬同士の戦いを見てみると、いずれもドラマチックで好勝負であることがわかります。それに加えて、今年は同世代かつ無敗の2頭の戦いということで、より一層盛り上がるでしょう。

さらに先日芝G1 8勝の偉業を達成した2年前の3冠牝馬アーモンドアイが参戦することになれば、なんと3冠馬3頭が戦うという、まさに空前絶後ともいえる夢のようなレースが見られるかもしれません。

コロナウイルスの影響で競馬場での観戦がかなわない中、なかなか見られないような歴史的偉業が3週続けて達成された今年の秋競馬ですが、それを締めくくるにふさわしいすばらしい戦いを、期待したいと思います。

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