ラッキーライラックの教訓が生きたスワーヴリチャード◎ ~ジャパンカップ

今年のジャパンカップ(JC)は、39回目にして初めて外国馬の出走がないということで、その存在意義が問われることになりました。しかしそれ以上にさみしいと感じたのは、クラシックを初め今年のG1勝ち馬の出走が1頭もなかったことです。
天皇賞(秋)を勝ったアーモンドアイが香港への出走を決めたことが象徴するように、JCの重要性が日本馬の中でも下がっているのではないでしょうか。今後JCをどうしていくのか、いろいろ意見を聞いて考えていく必要があるのではと思います。

とはいえ、1着賞金3億円と高額なG1である以上、可能性のある馬の陣営は当然本気で挑んできますし、混戦のため予想のしがいのあるレースとなったことは間違いありません。

予想するうえでもっとも参考にすべきレースは、天皇賞(秋)でしょう。過去10年の勝ち馬のうち半分の5頭が天皇賞(秋)から臨んでおり、最も勝ち馬を出す可能性が高いからです。
残念ながら上位3頭はJCには出走しないので、注目したのは後方から鋭く追い込んできた4着ユーキャンスマイルと5着ワグネリアンでした。特にワグネリアンは同じ舞台のダービーを勝っており、半年の休み明けで臨んだ今年の大阪杯を3着と好走。改めてその強さを見せつけました。しかも今年の秋の古馬G1はすべて4歳馬が勝っており、その世代の代表であるワグネリアンがJCの勝ち馬として最もふさわしいとも思えるのです。
そのため当初はワグネリアン中心で考えていたのですが、引っかかったのは、古馬G1で好走しながら連対まではできていないことと、末脚を生かすタイプには不利な馬場悪化でした。同じことは、菊花賞3着しかG1で馬券圏内のないユーキャンスマイルにも言えました。

そこで注目したのは、天皇賞(秋)は休み明けもあり7着に敗れていたスワーヴリチャードです。実は個人的に共同通信杯の勝ち馬は毎年応援するのですが、特にスワーヴリチャードには思い入れがあり、皐月賞は惨敗したものの、ダービーは2着で悔しいながら馬券は取らせてもらい、その後も追い続けてきたのです。
しかし去年の大阪杯を勝った後は、安田記念で1番人気3着となったのをきっかけに、好走するも連対することはなくなってしまいました。
そのレースぶりは、好位を追走するも伸びきれず、前の馬を捉えられなかったり、後ろの馬に差されたりして惜敗するというもの。もうあの強かったスワーヴリチャードを見ることはないのかもしれないと、ちょっとあきらめの境地にもなってきていました。

今回のJCでも、当初は連対までは難しいのではと思っていました。しかし思い出したのは、エリザベス女王杯で見せたラッキーライラックのパフォーマンスだったのです。
ラッキーライラックも以前から好きで、桜花賞もオークスも追いかけたのですが、古馬になってから好位から伸びきれずに負けるというレースを繰り返すようになりました。その印象が強くて、エリザベス女王杯でも勝つイメージがわかず、軽視してしまったのです。
しかし鞍上にスミヨン騎手を迎えて、今までラッキーライラックのレースぶりでは見たことのないような末脚を見せて、内から一気に突き抜け、約2年ぶりのG1制覇を飾りました。

それまでのなかなか勝てなかったラッキーライラックのレースぶりが、最近のスワーヴリチャードのレースぶりと重なり、もしかしてスワーヴリチャードもO.マーフィー騎手の騎乗で、違ったパフォーマンスを見せてくれるのではと思ったのです。
考えてみれば、昨年のJCもアーモンドアイとキセキがとんでもないレースをしてしまっただけで、3着のスワーヴリチャードも当時のアルカセットのレコードタイムより速い時計で走っていたのです。しかも上位2頭がいない今年は、スワーヴリチャードが1着になっても不思議ではありません。

そしてスワーヴリチャード本命で臨んだ今日のJC。パドックで見たスワーヴリチャードは程よい気合乗りで馬体もすばらしく、トモの踏み込みも力強く、あらためて本命を確信したのです。

レースでは、大きな集団となった中団の内でワグネリアンを見る位置を進んだスワーヴリチャードは、コーナーワークで徐々にポジションを上げ、4コーナーを回って直線に入ると3番手の内ラチ沿い。
前のカレンブーケドールが馬場の外に進路をとると、天皇賞(秋)のアーモンドアイのように内を突いて一気に進出。逃げたダイワキャグニーを内から交わすと、外から再度伸びてきたカレンブーケドールとの叩き合いに。残り200mで1馬身ほど差をつけると、そのままの差を保って1着でゴール。昨年の大阪杯以来のG1 2勝目を飾りました。

昨年短期免許をとって大ブレークし、その後イギリスでリーディングジョッキーにまで登りつめたマーフィー騎手は、これが初のJRA G1制覇。キラ星のような外国人ジョッキーの中で、大きな存在感を示しました。

そして大きく印象に残ったのが、2着のカレンブーケドール。重賞未勝利ながら、G1はオークス、秋華賞に続く3度目の2着。近年3歳牝馬の活躍が目立つJCとはいえ、初の古馬牡馬相手にここまでのパフォーマンスを見せるとは驚きました。
しかし2着は陣営にとっては悔しいでしょう。特に鞍上の津村騎手はまたも惜しいところで初G1制覇を逃し、かなり悔しいと思います。また国枝師は昨年1着のアーモンドアイに続き、3歳牝馬で2年連続の連対。アパパネを初め、特に牝馬の育成手腕はすばらしいと思います。
検量室でマーフィー騎手と抱き合って喜ぶ国枝師が映ったのですが、カレンブーケドールの成績を見てみると、未勝利勝ちはマーフィー騎手が乗っていたのですね。不思議な縁を感じました。

【スワーヴリチャード】落ち着きがあるものの適度な気合でいい状態でした

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